第48話 襲撃2
「お嬢様!お嬢様!!」
俺がブラッドボアを引き連れて野盗どもがいる場所へ走り込んで来ると、そこにいる全員が一斉に叫び声をあげる。
お姫様?はブラッドボアを見て気絶してしまった為、騎士が無事かを必死に確かめている。
そして俺は野盗のリーダーと思われる奴の後ろに回り込む。
「な、何だぁ!おめぇは!!」
「旦那ァ!!ブラッドボアに追いかけられてちまったんでさぁ!!助けてくだせぇ!!」
「いや、おまえ誰だよ!」
「そんな事より、奴が来ますよ!?」
俺は野盗リーダーの後ろに隠れながらブラッドボアを指す。
ブラッドボアは俺達と対峙し立ち止まり、前足をガリガリと地面を削り、今にも飛び掛からんとしている。
「ブモモモモモオオモォォオオ!!!」
「6回目……。」
「え?何だって?」
「いえ、何でもないです!ほら来ますよ!!」
「チッ!おめぇら!取りあえずブラッドボアを先に片付けるぞ!!矢を放て!!」
野盗の数名からブラッドボアへ矢を射るが、ほぼ全てが跳ね返されている。
ブラッドボアの毛は鉄と同じ程の強度を持っている為、普通の鏃でダメージを与える事は出来ない。
すると鏃をモノともしないブラッドボアが周囲の野盗に突っ込んで行き次々と仕留めていく。
「ぎゃぁぁぁぁあ!!」
「か、かしらぁぁあ!!こいつは俺達だけじゃ倒せね‥…ブギョッ!」
野盗リーダーに報告しながら絶叫する雑魚の野盗子分がブラッドボアに弾き飛ばされ倒れている所に頭を踏み潰され絶命する。
仕留めた野盗の死体を踏みつけながら腕に噛み付き引き千切り、ゴリゴリ、ニチャニチャと咀嚼する音が辺りに響き渡る。
うわぁ……骨ごと食うの……。
グロォ……おぇッ
「……何でこんな時に……ブラッドボアなんか出てきやがるんだ……。後少しでこいつらを殺れるってのに……。
クソッてめぇら!一旦引き上げるぞ!!女騎士とお姫様で楽しめねぇのは残念だが、こいつ(ブラッドボア)が仕留めてくれても問題ない。むしろ好都合だぜ。半刻(1時間)程度してから戻って死体の確認だけすれば良いだけだしな。」
「あっ!旦那あぁ!」
頭と呼ばれた野盗リーダーは俺を引き剥がし、逃走を図る。
その他の野盗もが塵じりになりながら俺を残して逃げて行った。
「ブモモモモモオオモォォオオ!!!」
取り残された俺と対峙している7回目のコピペ咆哮を上げるブラッドボア。
「……やっぱり俺がやらないと駄目か。うぅ、恐ろしい、怖いけど……自分のチート力を信じるしかないか……。」
「ブモモモモモオオモォォオオ!!!」
ブラッドボアが咆哮を上げて猛然と俺に突進して来た。
「クソォオオ~!!その鳴き声8回目だっつ~のぉ!!!このコピペ猪がぁ~!!!!」
「プゴォ!?……………」
俺は右ストレートを突進して来たブラッドボアの鼻先に叩き込む。
するとブラッドボアは鼻先から真っ二つに両断されて俺は返り血で全身血だらけになってしまった。
「最後はコピペじゃなかったな……しかし……おえッ……気持ち悪いし……獣くっさ!おぇえええ!」
ブラッドボアを仕留めた俺は、血だらけ、臓物、内容物だらけになってしまった。
獣臭と血の臭いの入り交じった何とも言えない匂いが辺りに充満する。
自分の力は大体、理解しつつあるが……モンスターを倒すのはやはりまだ慣れないな……。ウプッ……くっさ。オゥエッ……。
「あっ、そう言えば、騎士とお姫様っぽい人がいたな。」
俺は後ろを振り返り馬車を見るとお姫様風の女の子を庇う様に覆いかぶさっている騎士風の人に話しかける。
「あの~、大丈夫ですか?」
全身、ブラッドボアの返り血まみれの俺が語りかけると、騎士風の人間はビクリとしたかと思うと俺に剣先を向ける。
「ヒッ!貴様!何者だ!!」
「あの決してあやし……」
「この化け物め!!貴様も奴等の一味か!!」
「いや、俺は野盗なんかじゃ……」
「うるさい!!この化け物め!!素手でブラッドボアを討伐するなど聞いた事がない!!貴様!悪魔なのか!?」
「え?イヤ、だから俺は化け物でも野盗でも悪魔でも……」
「えええぇい!!うるさいうるさい!!黙れ黙れ!!」
自分で聞いておいて黙れとはこれ如何に。解せぬ。
何か面倒臭そうだからこのまま放置した方がいいのかな?この人達が何者なのかわからんし。それに俺は臓物まみれの血だらけで臭いし汚いし早く身体を洗いたい。さっさと空間転移で途中どっかの川で洗い流したい。
「じゃ、じゃあ、俺はこれで……。まだ他のブラッドボアがいると思いますからお気をつけて……。」
「待て!」
「はい?」
「貴様!何者だ!!」
またふりだしに戻る。
しかしこの娘もかわいいな。
久々の魔眼!『眼見巣琉(ガンミスル―)』はつ☆どう!!
青味ががっていいるロングの髪が綺麗だなぁ。
目元はキッと吊り上って性格がきつそうなお姉さまって感じだが上品さも漂わせている。
どこかルク・スエルの副ギルマスのリッターさんを思わせるな。
うん!カワイイ!Aランク!!……0.5秒
胸は……鎧を装備しているから全くわからんな。
胸元に大きな水色の宝石のネックレスがある。魔石か?
しかしスレンダーでも貧乳でも問題ない!!
カワイイから総合でAランク!!……0.8秒
アイルやリッターさんにも負けず劣らずスタイルがいいな。素晴らしい!!
はい!鑑定終了!そして時は動き出す!!…1秒
続いてお姫様風の娘……は気絶しちゃってる……。
明らかにどっかの王族っぽい雰囲気のドレスを着ているな……。
髪も綺麗な金髪で体つきは華奢だがソフィちゃんと同じく将来有望そうな娘だ。
「貴様!!さっきから何をジロジロと見ているのだ!?」
「え?」
「私はどうなってもいいがお嬢様には手出しはさせんぞ!!」
元気な女だなぁ。まさか『クッころ……』なんて事は今時言わないよな?この騎士さん。
忠義心があるのは結構だけど、そんなに大声あげないで欲しい。
俺、一応恩人だよ?
何者って聞きたいのは俺もなんだけど……。
ステータス確認すればいいのか。
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【 名 前 】ファム・クランシー
【 種 族 】クォル族
【 職 種 】魔法騎士 :水 適正
【 体 力 】203
【 魔 力 】132
【 攻撃力 】291
【 防御力 】230
【 俊敏性 】203
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ふむ。ギルマス達よりか数値は低いがアイル達よりは数値が高い。
冒険者クラスで言えば白金級って感じか。
さてどうしたものか。
「あの、取りあえず俺の話聞いてもらえます?」
「………。」
警戒はしている様だが多少、落ち着きを取り戻して来た様だ。
相変わらず剣を構えて黙って俺を射抜く様なで睨み付けてはいるが。
「俺は偶々、森を散策中にブラッドボアに襲われた只の冒険者です。なのであなた達を襲撃した野盗達とは何の関係もないんですよ。」
「しかし貴様は助けをあの野盗に求めていただろう!」
「まぁ、そうなんですけど、あいつらが倒してくれたら楽かなぁと思ったので……。倒そうと思えば倒せたんですよ?実際、倒したし。」
「……確かにそうだが。」
「早くここから逃げないとあいつらまた戻ってきますよ?『半刻して死体の確認に戻ってくる』みたいな事言ってましたし。」
「何!?………迷っている暇はないか……。突然ですまないが私に雇われる気はないか?」
「え!?俺を雇うんですか?」
「あぁ。ルク・スエルまで私達を護衛して貰えないだろうか。当然、礼はする。何でも聞いてやろう。」
え?何でも?それはムフフな事もOKなのかな?グフ……フグググ。
しかしこんな事、前もあったな。
アイル達と最初に出会った時にウェアウルフを撃退した後、村に帰る迄の護衛を依頼されたんだっけ。
随分昔の事の様だが、まだ1か月経っていないんだよなぁ。
「な、何をニヤニヤしているのだ?………男の考える事だ。そう言う事を要求しようとしているのだろう……。お嬢様さえ無事であれば、私はどうなってもよい……。好きにするがいい。」
「………。」
いやあ確かに?一瞬そう言う事を考えたけどさぁ。
やっぱり見返りにそう言うのって何か萎えると言うか……やっぱり愛?がないとお互いに盛り上がらないと思わない?ねぇ思わない?
『さっさとやれや!』とか言わないで!!俺は雰囲気、ム~ディを大事にする派なの!
それよりも……。
「依頼を受ける前に俺からも質問させて貰っていいですか?あなた達は何者ですか?その身なりと忠義心。とても普通の依頼者と冒険者の護衛には見えないのですが。」
「………。そうだな。護衛を任せるのだ。話しておかなくてはなるまい……。このお方はな。フリオセラ王国の姫君だ。そして私はその直属護衛の親衛隊を務めるファム・クランシーと言う。」
「……………。はぁ、ではそちらで気絶してる子がやっぱりお姫様で、そしてあなたは騎士様って事ですか。」
「……驚かないのか?」
「え?その~、私は田舎から出てきたばかりでして、まだこの辺りの土地勘がないのです……。すみません。」
まぁお姫様って事らしいので高貴な方ってのは分かるけど……。
そもそもそのフリなんちゃら王国がどこにあるのかも知らんしどの程度の国なのかも分からないからリアクションし辛い。
「その……フ、フリ、フリカケゴハン王国?でしたっけ?」
「フリオセラ王国だ!『フリ』しか合ってないではないか!」
「あぁ……すみません。フリオゴニョゴニョ王国ですね。何分田舎者なのでご容赦下さい。それでフリ……フリー素材王国のお姫様が何故こんな所?」
「フリオセラ王国だ!また『フリ』しか合ってない!」
「あぁ……すみません。何分田舎者なので……。」
「貴様、田舎者と言えば許されると思って無いか?」
女騎士は胡乱げな顔をしながら俺の顎先に剣を突きつける。
だってちゃんとツッコんでくれるんだもん。
嬉しかったんだもん。調子に乗りました。ごめんなさい。
俺はドゥゲザーをして謝罪すると、ファムさんは今回の旅の目的について語り始めた。
今、フリオセラ王国では王位継承権争いが起こっているらしく、このお姫様の暗殺の情報を入手したらしい。
そこで王族を守護する親衛隊から子供の頃より御付騎士として護衛を任せられているファムさん含む4名でオースフィギス王国へ『視察』と言う名目で一旦逃れる手筈だったらしいが、道中襲われた所を見るとそれさえも罠だった可能性が高い。
王族ってのはラノベでもこれ系の話ばっかりだったな。
めんどくさそう。ホセ・メンドーサだわ。
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