第40話 帰路3
話のキリが悪いので明日も投稿予定です。
ぶちゅ
え?この柔らかい感触……ままさかホントにエチルさんとチューしちゃった!?
俺はゆっくりと瞼を開けると、目の前にはブラッド・ボアの鼻があった。
ペロ……。香ばしい味わい……うん。これはきっと美味しい猪さんです。
「パンツ。ブラッド・ボアとのキスは楽しめたかしら?」
いつの間にかアイルが俺の目の前にブラッド・ボアの首を抱えてその頭を俺に押し付けていた。
アイルさん、こんなデカい猪抱えるなんて、相変わらずパネェ怪力ですね。
「ほんと油断も隙もあったもんじゃないわね。エチルさん?気を付けて下さいよ?」
「え?えぇ……でもパンツ君……いきなり土魔法使ったわよね?しかも私の土魔法より高さも厚みもあるし!何で!!」
「何でと言われましても………………シュギョウシタカラ。」
「え!?いつの間に?だってこの前ギルドに登録したばかりだったでしょ?」
「シュギョウシタカラ。」
「もしかしてギルドに登録する前から使えたの!?」
「シュギョウシタカラ。」
「……………………………。」
「……シュギョウシタカラ。」
「……………はぁぁあ…。な~んか真面目に魔法の修行をしてたのがバカらしくなるわね。」
「こいつと比較しちゃダメですよ。エチルさん。素手でウェアウルフやキラーアントは倒すわ6属性の魔法使うわ、この前なんか炎の魔法でルク・スエルのかぶぇんぐぐぐぐ……。」
アイルがルク・スエルの壁破壊について口を滑らそうとした為、俺は咄嗟にアイルの口を塞ぐ。
「ちょ、何するのよ!」
「シーッ!!今、俺がルク・スエルの壁を壊した事を口走ろうとしただろ!あれはドラゴンさん(仮)の仕業になってるんだから余計な事を言うな!」
俺は小声でアイルにそう呟く。
「ねぇ?炎の魔法でルク・スエルがどうしたの?」
「いやいや、何でもないんです。ルク・スエルで炎の魔法を使って料理したら美味しかったぁ~、って言いたかったんです。な?アイル!?」
「あ……そ、そうそう。そうだったぁ……。」
「そ、そんな事より、このブラッド・ボアって食べられるんですか?」
俺はまたアイルが口を滑らせる前に話題を転換する。
「ええ。勿論食べれるわよ。中々癖になる味よ?パンツ君は食べた事ない?」
「俺はないですね‥…。アイルとソフィちゃんは食べた事あるのか?」
「「勿論!食べる!!」」
いや、まだ食べる食べないを聞いてる訳じゃないんだが……。
「しっかしシェールのその剣、凄まじい威力ですね。ランクD魔獣を一撃で討伐するとは……。」
「だろ!?だから言ったじゃねーか、カバール!金庫番のお前は止めたけど、このパーティの実質的な前衛は俺しかいないんだから絶対必要だって言っただろ?ジンは前衛とはいえねぇしな!」
「は?さっきは俺に助けを求めて来た癖に何を言ってやがんだ?おめぇは!?『何してんだよ!てめぇ!早く助けろぉ!!キリッ』とか言ってた癖によぉ!(笑)」
「だからしつけぇんだよ!おめぇわ!!」
「しっかしその剣、なっつったっけ?『太陽の剣』だっけか?」
「そうだ。俺達のパーティ、『太陽の風』の名前にピッタリな剣だろ?」
「このブラッド・ボア、まだ少し生焼けだからもう少し焼いてくんねぇ?俺、ウェルダンがいいからよ。」
「ヨシヨシ、直ぐにこいつ(剣)で美味しく焼いて………ってこの剣を調理器具に使うんじゃねぇ!!」
「いいじゃねぇか。減るもんじゃ無ぇし。」
「俺の少ない魔力が減るわ!!」
と言いつつもジンから渡された肉をよく焼きしているシェール。
よし。他の肉も焼いてもらおう。
俺は無言でシェールの横にブラッド・ボアの肉を移動させ積み上げていく。
「パンツ……何で俺の横にブラッド・ボアを持って来るんだ?」
「………え?何ですか?」
「いや、だから何で俺の所に黙って猪を持って来る?」
「シェールがいい感じに焼いてくれるんですよね?よろしくお願いします。」
「俺、調理担当じゃないぞ!?」
「だってその剣、使いたがってたじゃないですか。存分に使っちゃってくださいね!」
「だからこう言う意味で使いたい訳じゃねーから!!」
不満をブツブツ口にしつつも、なんだかんだ言いながらシェールはブラッド・ボアを次々と焼いて行く。
焼きあがったブラッド・ボアをエチルとカバール、ソフィちゃんがそれぞれ切り分け、ジンとアイルは最後に倒した大物のブラッド・ボアの解体をしている。
「ホッホー!こりゃ大物だぜ!この牙!いい値で売れそうだ!!」
「ほんと、私もこんな大きいブラッド・ボア初めて見たわ。」
「こいつ、もしかしたら魔石持ちかもしれねぇぞ?」
「え?ほんと!?」
「あぁ。これだけの大物だ。それにこいつ見ただろ?魔力で牙の形状を変えてやがった。」
「そう言えば、牙が交差したり高速で上下に高速で動いたりしていたわね。」
「ヨシッ!さっさと皮を剥いで、魔石捜索してみっか!」
「おーい!肉焼けたぞぉ~!!」
結局、シェールが大物以外の5頭のブラッド・ボア全て焼いた様だ。
好い奴だな。(笑)
大物の解体をしていたジンとアイルも一先ず手を休め、皆集まって昼食にする。
「やっぱ温かい肉はうまい!!」
シェールがブラッド・ボアの肉をナイフで切り取りそのまま肉に齧り付く。
「「おいしぃ~!!」」
アイルとソフィちゃんも肉に齧り付いている。
「どう?パンツ。初めてのブラッド・ボアのお味は?」
「そうだな……中々、独特な風味のある肉だな。」
「そう?確かにオーク肉とは違った味わいだけど美味しいでしょ?」
アイルが肉にガブリと喰い付き、何の味付けもされていないジビエ料理を堪能しながら俺にブラッド・ボアの感想を聞いてくる。
何と言うか、レバーみたいな味だ。
血抜きをしていないからか?そもそもこういう味なのか?ニラと一緒に食べたくなる味……。
何の調味料もない野性味溢れるブラッド・ボアの丸焼きだからしょうがないか。
あ、そう言えば、今朝胡椒買ったんだった。
「アイル、胡椒ってどこにやった?」
「モグモグ。ばふぁのなふぁよ(馬車の中よ)」
アイルは肉に頬張りながらそう答える。
俺は馬車から胡椒を探し出して猪肉に胡椒を振り食べてみる。
うん。大分食える味になった。
下味をして酒や醤油に漬け込めばもっと美味しくなるかもしれない。
「パンツ君、何振りかけてるの?」
俺が胡椒を振りかけているとエチルさんが興味深そうに話しかけてきた。
「胡椒を振りかけているんです。」
「胡椒!?そんな高価な物を?」
「食べてみます?」
「え?いいの?高いのに……。」
俺は胡椒をエチルさんの猪肉に振りかけるとエチルさんは恐る恐るその胡椒が降りかけられた猪肉に齧り付く。
「!?先ほどより風味が豊かになっていて美味しい!胡椒をかけただけなのに!?」
「素材その物を味わうのもいいですけど、出来るならもっと美味しく食べたいじゃないですか。もっと調味料があれば更に美味しく出来るのになぁ……。」
そう、やはり日本人として外せない調味料『醤油』『味噌』。
この国に無くても他の国にはあるかもしれない。
自分で作るにしても知識がないし……。
大豆があれば何とかなるのか?豆腐も食べたい……。
取りあえず原料の大豆を栽培している国があれば可能性があるかもしれない。
正直、贅沢な悩みだな。今は食べられるだけ有り難い。
しかし、発見できるに越した事はないし探す事はして行こう。うん。
7人でワイルドな昼食で腹を満たしたが、まだ3頭のブラッド・ボアの丸焼きが残っている。
これどうすんだ?このまま放置?
そう思っていると、カバールが肩から下げている巾着袋状のバッグ、バゲットバッグ?に魔力を込め残り3頭のブラッド・ボアに近づけると吸い込まれ始める。
「そ、……カバールさん……それ、なんですか!?」
「え?これは『収納袋』と言うマジックアイテムです。『水革袋』は水だけですが、こちらは主に物品しか入れられないですけどね。」
「凄いですね……。これ、中身、どうなってるんですか?」
「構造は水革袋と変わらず異空間に保管するアイテムですが、これは物品だけに限定されている『冥魔法』ですね。
そう言えばシェールのあの剣は『光魔法』で魔法属性を付与しているそうですよ。私も『製造者』ではないので詳しくは知りませんけどね。」
出ました。異世界ものド定番のアイテムボックス的便利道具!!
冥魔法は聞いてたが、光魔法も物に魔法付与する事が出来る……?
『製造者』?って何だ?ボディビル?筋肉ムキムキ?
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