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第36話 グリフォン便1

前回のあらすじ

ギルドの調査隊に勧誘されたパンツさん達一向。

アイルさんとソフィちゃんの姉妹愛に妄想を膨らませていたパンツさんは殴られた。

「いたた……それでどうするつもりなんだ?調査隊の方は?」

「う~ん。悔しいけど確かに私はその、あれ……あれよ?……時々?道に迷うっちゃう時があるから?そう時々ね!!迷っちゃうから受けてみてもいいかなぁと思うんだけど……。」



まだ認めないのか。方向音痴。

『時々』じゃなく『毎回』じゃないのか?あのギルマスの話しぶりだと。

しかし歯切れが悪いな。



「何か気になる事でもあるのか?」

「うん……私達2人とも村を出て行っちゃうとお父さんとお母さんと二人きりになっちゃうから心配なの……。」



そう言うとアイルは俯いてしまう。

アイル……両親想いのええ子やねぇ!元おっさんの俺は感動して泣きそうですよ!



「それに毎日、メリッサ村から通う訳にもいかないし……。」



そう。アイル達の故郷のメリッサ村からこの都市ルク・スエルの街まで馬車で5日掛かる。

とてもじゃないが毎日通勤なんて出来る筈もない。



「そうか。じゃあギルマスに返事を待ってもらえるか相談して、村に帰ってご両親にも相談してみればいいじゃないか?どちらにしても一旦村に帰らないとウェアウルフの討伐報酬を遺族の皆さんにも渡せないだろ?」

「そうね!そうするわ!ソフィはどう?それでいい?」

「うん。いいよぉ!」

「パンツ、ありがとね。」



アイルは笑顔を作りながら俺に礼を言う。

うん!やっぱり女の子は笑顔でいるのが一番だぜ!!



「それで、いつ村に帰る?俺が依頼を受けたいなんて我儘で付き合わせちゃったから申し訳なかったけど。」

「気にする事ないよ。キラーアントやギガパイさんの臨時報酬もあったし。そうね‥…。明日帰ろっか。」

「そうか。じゃあ今からギルドに戻って、調査隊の件、少し待って貰えないか相談した方がいいかな?」

「そうだね。」



俺達は今、来た道を再び戻り、ギルドを訪れてギルマスに2週間程待って貰えないか相談した所、すんなり了承を貰った。

そしてギルドの1階ロビーに降りて来るなりアイルが小声で俺に話しかける。



「パンツ、ちょっと待ってて貰っていい?」

「ん?何?」

「ちょっと待ってて。」

「え?だから何?」

「……鈍いわね!トイレよ!」



何だ。トイレか。それならそう言ってくれればいいのに。

アイルとソフィちゃんは2人で連れションに行ってしまい俺は一人ロビーで手持無沙汰にしてウロウロしていると再び声を掛けられた。



「パンツく~ん!聞いたわよ~?『調査隊』に入るのぉ~?」



声を掛けて来たのは爆乳受付嬢のプラーニャさんだ。

声を掛けてくるなり俺の腕に手を絡めてなんともけしからん乳を押し付けてくる。



「パンツ君が調査隊に入ってくれたら私も嬉しいなぁ~。」

「な、ななな、何でですか?」



爆乳を腕に押し付けて話すもんだから俺はキョドって返事してしまう。



「え~?だって私も調査隊の一員 だ・か・ら。」

「え?そうだったんですか!?」



確かに出ている所は出ているスタイルグンバツのお姉さんだが、全体的に引き締まっていて只者ではない雰囲気は感じさせてはいた。

元冒険者かと推察してたが……調査隊員だったのか。



「でも、まだ決まった訳じゃないですよ。」

「え~決めちゃおうよ~。私と同じ隊に入ろ~?何ならパンツ君が配属される部隊に転属しちゃおっかなぁ~?」



プラーニャさんて凄い積極的だな。

まるでキャバクラ嬢に接待されてる気分になる。

だからつい鼻の下も伸びてしまう訳で……。


ドカッ!!ズザザザザザザーーーーー……


いきなり背中に強い衝撃を受けた。

そして俺は俯せに倒れエビ反り状で地面に顔面を擦り付けたままギルドの依頼板に当たり止まる。


モンスター!?

モンスターが街中に入り込んで襲撃して来たのか!?

……。

…………。

アイル様の飛び蹴りが俺の背中に炸裂してました。



俺達はギルドを出て明日メリッサ村へ帰る準備の為に宿へ戻る事にした。

すると今まで気づかなかったのが不思議だが、空を舞う物体が……。



「お?おぉぉおぉ!?あれ!!アイル!!あれ!!あれぇぇ!!」

「痛い痛い、な、何よ……痛いなぁ。」



俺は興奮してアイルの肩をバシバシ叩きながらその空舞う物体を指さす。



「あぁ……『グリ便』ね。あれがどうしたの?」



Oh!!此方の反応とは違ってクールな反応!つれないね!!アイルちゃん!!



「あれ!近くで見れないのか!?」

「グリフォンが見たいの?」

「そうそう!シェールから聞いててずっと気になってたんだ!!」

「もう、しょうがないなぁ。分かったわよ。少しだけ寄り道しよっか。」

「アイルちゃんサイコ―!!」

「///な、何言ってんの!もう!」



アイルは頬を赤らめつつそっぽを向いてしまう。

フフ。照れてんの?カワイイ。

そうして俺とソフィちゃんはアイルを先頭にしてグリフォン便、通称『グリ便』のある場所へ移動する。


……………。

「なぁ、アイル?ここさっき通ったぞ?」

「そ、そんな事ないわよ!!ここはあれよ……似た様に作られてるの!!」

「……何の為に?」

「そ、それは、あれよ……あの……敵が攻めて来た時に混乱させる為よ!!!」



んな訳はない。

完全に迷ってる。途中から薄々分かっていた。

と言うか、1歩目から怪しい感じはしていた。

グリフォンが飛び立った所を目指そうとしたらアイルはいきなり逆方向へ歩き出したのだ。

最初はこちらが抜け道か早道なのかと思って黙って付いていったのだ。


アイルがこの街に到着した時、街の事を知り尽くしているって感じだったしな。

しかしどうだ。既に1時間以上歩いているのに全く近付く気配がない。



「アイル……グリフォン便の場所……知らないのか?」


…………。

…………………。

………………………。


「だぁぁあぁってぇぇ!グリフォン便なんて使った事ないし行った事ないんだもぉおおん!!」



アイルは振り返り大泣きしながらそう言い訳する。

鼻水出てるし俺の服でそれを拭くな。



「行けると思ったんだもぉぉおおぉぉおん!!」



Why!?何故行けると思った?方向音痴なのに!?

だがしかし気持ちは少し分かる気がする。

恐らくアイルは一人で抱え込んでしまったのかもしれない。


ソフィちゃんはまだ子供だし、俺はこの世界の事を全く知らない役立たずだし。

自分が何とかしなきゃと責任感が出てしまったのかもしれない。



「アイル、今度から俺達にも相談してくれていいんだぞ?俺達はパーティだろ?」

「うん。お姉ちゃん、ソフィにも相談して!!」

「う、うん。ゴメン。そうだよね。今度からそうする。グス……。ビーーー!」



アイルは涙と鼻水を拭いながら話す。俺の外套で。

さて、グリ便の場所はっと。

俺は久しぶりにマップを展開するとグリ便らしき場所が表示された。



「こっちらしいぞ?」

「え?何でパンツが分かるの?」



…………。

…………………………。

「………………シュギョ……」

「あーはいはい。早く案内して~。」



俺が『シュギョウシタカラ』魔法(偽)を唱え終わる前に俺を先頭に押し出して背中をグイグイ押し始めるアイルさん。

30分程歩くとグリフォン便の発着場と思われる場所が見えて来る。

そこは街の北側に位置する倉庫街であちらこちらに倉庫が立ち並んでいた。



「ここか………。」



グリフォン便と思われる倉庫前の看板には翼がクロスする中央に鳥の横顔の意匠が施されている。



「初めて来た……。」

「私もぉ。」



アイルとソフィちゃんは少し緊張気味にそう呟く。

今回は利用する訳じゃないからそこまで緊張する事もないだろう。

もしかしたら今後、利用する事があるかもしれないし後学の為に利用料金とか発着先とか聞いてみようと思ったのだ。

俺たちはグリフォン便の扉の前にたたずむ。



「ど、どうするの?パンツ?入るの?」

「そうだなぁ。少し料金とか話だけでも聞いてみないか?」

「ソフィも聞きた~い!!」



俺は扉を開けて顔だけ覗き込む。



「こんにち……はぁ……。」

…………。



するとそこには、こちらを眉間に皺を寄せて足を組みタバコをくゆらせている『ライオン』の顔がこちらを睨みつけていた。


Why?

ブクマ登録、ありがとうございます!!


今後とも誤字・脱字・評価・ブクマ等して下さるととても嬉しいです!

感想など頂ければ作品の方向性の参考にもなりますのでよろしくお願いします。

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