聖天使・狛天使 共通
魔王のアドバイスをどう実行に移すか、悶々と考えながらマーベルは通路を歩く。
「…どう…か」
「参…た…ね」
するとなにやら談笑が聞こえるではないか。
盗み聞きはよくないので、通りすぎる事にしたのだが――――
「頼む!!待ってくれ!!」
「いくら師匠と言えど待った、は戦場においてナシです」
今、戦場と聞こえたのだがこれは無視して良い発言なのだろうか
「ほらほら、ゴールドエンゼルシール上げるから!」
あれは金の天使の張り物、一枚ごとに清天使の翼を一羽貰えるという伝説のシールだ。
「いりませんどうぞ自分でお使いください」
{そんな貴重な物がいらないなんて、私なら待つわ!}
「使いたくないなあ」
確かに同性の同級生の翼なんて貰っても微妙だろう。
「…悪魔の羽ならいいんですけどね」
と呟きながらチェックメイト。
「うわああああ…また負けた…」
ショックからテーブルに項垂れる聖天使。
「あの…聖天使様、狛天使くん?」
取りあえず二人は何をしていたのか聞いてみる。
見ての通り‘チェスという一見遊びのように見えても戦いをしていたらしい。
「ここにいるのは私と彼だけなんだ師匠でいいよ…なんなら下の名前で呼んでもいいんだよ」
聖天使はクスりと明るく笑う。
「呼ぶ呼ばないにしても下の名前知らないんですが…狛天使くんは知っている?」
残念ながら自分は尊敬する師匠の名は知らなかった。
「いえ僕も知りません」
もう一人の弟子の彼なら知っていると思ったが知らないみたいだ。
「教えたはずなんだけどなあ」
聖天使は愛弟子二人が師の名を知らない事にいじける。
それにしても師匠と狛天使と3人で話せるなんて、懐かしい感じがする。
「ところで魔王殿と交わした会話、どうだった?」
きっと聖天使が聞きたいのは天使の協力の事だろうとマーベルは考える。
「敵意はないとはいえ、彼は闇を統べる王。恐怖はなかったんですか?」
そちらだったのか、そう思いながら魔王との対峙の事を話す。
「もちろん緊張はしましたけどきっと優しい方だと思ったので…怖くはありませんでした」
彼は圧迫感があったけれど、威厳ある王だった。
「なるほど…じゃあ誰と協力するか決まったのかな?」
「いえ…」
「マーベルさん、よろしければ僕がお手伝いをしましょうか」
「抜け駆けはずるいじゃないか師匠が協力してあげるよマーベル?」
どちらに協力を頼もうか――――――