1月24日(木)。魔法大学受験
かなり短めです。この辺はさくさくっと行きたいと思います。
1月に入ってからぽつぽつと始まっていた私立大学の受験だが、今日は国公立大学の受験日である。ミネルヴァ魔法大学は国立扱いなので、この日が受験日になる。敬が受験する魔法医科大学は公立なので、やはりこの日が受験日だ。
ミネルヴァ魔法大学では、受験は2日にわたって行われる。1日目、つまり今日は筆記試験。2日目は実技試験である。
恭子は魔法医科大学を受験する敬をのぞくいつものメンバーと受験会場に来ていた。理系の悠李、碧とは受験会場が全く別なので早々に分かれた。
ここで少し、ほかの3年生の受験状況を見ておくと、氏家は同じく魔法大学を受験している。彼は教育学部を受験するそうだ。レイチェルは、驚いたことに防衛大学を受験しに行った。美香は京都魔法大学を受験しに行った。
文系の紗耶加や晃一郎とも受験学科が違うので、恭子は現在1人だ。受験番号の書かれた席に座り、試験問題を真剣な表情で見ている。
午前中に国語と英語と社会。午後からは魔法史学と魔法文学の試験がある。今は午前中最後の試験科目である社会だ。一般大学と同じように、社会の中から一つ、受験したい分野が選べる。恭子は日本史だ。
時間が余ったので見直しをしていたところで終了のベルが鳴った。昼食の時間だ。食堂は閉まっているので、弁当持参である。
「あ、恭子。お疲れー」
同じ学部を受験しているので、比較的受験教室の近い晃一郎が迎えに来てくれた。恭子は彼を見て微笑む。
「お疲れ様です、晃一郎」
「恭子も今日は弁当だよね。紗耶加を探しに行こうか」
「はい」
と言うわけで、同じ文系として受験しているはずの紗耶加を探す。まあ、あらかじめ文学部と法学部の受験会場の中間地点を集合場所にしているのだが。
「恭子、晃一郎君!」
先に待ち合わせ場所で待っていた紗耶加はうれしげに手を振った。理系の2人とは少々場所が遠くて昼食を共にできない。なので、この3人だけで『休憩室』と書かれた教室に入って弁当を広げる。
「試験、どうだった?」
「どうって言われても、ねぇ」
紗耶加が意気込んで尋ねたが、晃一郎は苦笑気味だ。ちなみに、同じ文系受験のこの3人は、一般教養の試験科目が一緒だ。ただ、社会は、恭子は日本史を選択したが、晃一郎は現代社会、紗耶加は政治経済を選択しているはずだった。理系は、そもそも社会は受験科目ではない。
「大方出来たと思いますよ。……まあ、さすがに6回目ですし……」
後半の方は声を小さくして恭子は言う。晃一郎も「そうだね」と苦笑した。
「でも、毎回微妙に問題が違うわよね。不思議だわ……」
紗耶加が不思議、と言いつつ楽しげに言った。彼女は勉強が好きなのだ。恭子は微笑んで、「そうですわね」と相槌を打つにとどめた。紗耶加に勉強の話をさせると面倒くさいのである。晃一郎も同感のようで、恭子と同じように「そうだね」とだけ言った。
「午後からは魔法教養系よね。私は魔法法学と方陣学だけど、2人は?」
「わたくしは魔法史学と魔法文学ですね」
「俺は魔法社会学と魔法文学。同じ文学部だから、俺と恭子の受験科目はかぶってるね」
「そのようですわね」
恭子と晃一郎は眼を見合わせて微笑みあった。紗耶加は弁当に入っていた卵焼きを箸で切り分けながら言った。
「悠李と成原君はどんな科目を受験してるのかな」
理系の受験科目は調べたことがないのでよくわからないが、2人とも学科は違うものの理学部を受験しているので、いくらか受験科目がかぶっているはずだ。
「一般教養は知らないけど、たぶん、成原は魔法論理学と魔法数学、悠李は魔法論理学と魔法物理学を受験してるだろうね」
晃一郎の返答に、紗耶加と恭子はそろって「なるほど」とうなずいた。魔法教養の科目はあまり多くないので、選択肢が狭まる。
予鈴が鳴る前に紗耶加と晃一郎と別れ、受験教室に向かう。そこにはすでにほとんどの受験生がそろっていた。恭子は自分の席に座り、午後の試験の開始を待った。
魔法史学と魔法文学は、午前中の一般教養よりもよくできたと思う。まだ早い時間に一日目の試験は終了し、恭子たちは解放された。ぐっと伸びをしてから荷物を持って教室を出る。
「あら、晃一郎君」
「やあ、恭子。お疲れ様……どうする? 紗耶加はもうすぐ来ると思うけど、成原と悠李を待つ?」
「……少し待ってみましょうか」
恭子がそう言ったので、合流した紗耶加とともに受験した建物の前で待つことになった。理系の試験会場は少し離れたところにある。
「おや。先に帰ってくれてよかったのに」
そう言いながらやってきたのは悠李である。おそらく同じ建物内で受験だったのだろう。碧の姿も彼女の隣にあった。晃一郎が近づいてくる2入に笑みを向ける。
「お疲れ様、悠李、成原。試験の出来はどうだった?」
「大丈夫だよ」
「問題ない」
……たまに思うのだが、この2人、少々自信過剰ではないだろうか?
「待っていてくれてありがたいんだけど、僕は家が大学の近くなんだよ」
地下鉄の駅まで歩きながら、悠李はそう言って微笑んだ。まだ日が高いので、彼女は歩いて帰るつもりらしい。
「俺は路線が逆方向だな。先に帰っててよかったんだぞ」
碧にも言われた。言われてみれば、方向が逆である。恭子は紗耶加、晃一郎と顔を見合わせて苦笑した。
「悠李。送っていくか?」
「大丈夫だよ。一駅分だし、危なそうだったら母を召喚するから」
碧の申し出を悠李は微笑んで断ったが、果たして、ドクター香坂は召喚に応じるのだろうか、と思ったが、野暮なことは聞かないことにした。
「では、また明日」
恭子は微笑んで手を振る。また明日。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
短いので2日連続投稿しようと思います。というわけで、次は明日、9月23日、火曜日です。




