第71話 シアの過去……
「忙しいのにごめん……。せっかくだからご飯でも一緒にどうかなって思って……。 みんなも誘う予定なんだけど……。元気がないなら、明日とかでもいいよ……。時間が合った時に色々話し合いたいから……。」
いつもは元気いっぱいというイメージがあるシアだが、今日は若干下を向きながら少し泣き声で話しかけてくる。
こんなシアは見たことがない……。
それに、何か訴えようとしている……。
シア……。
「分かった。行くよ。」
「 ありがとう。ご飯食べ終わったら私が泊まってる部屋にみんなで集まることにするから……。よろしくね……。」
シアはそういいながら、悲しげな表情で去っていった。
そして気づけば、シアとの過ごした時間を振り返り何があったのか?
1度でもあんなに悲しい顔を見たことがあったのか?
など考え、キリのことはすっかり頭の片隅になっていた……。
そんな心配な感情を抱きながらみんなで集合し、伝統料理の「おにぎり」を食べたのだが、美味しそうな顔もなければ、ただ黙々と食べてるだけ。
そして、最後に「美味しかったね」といいながら作り笑いする彼女を見てただただ胸が苦しかった……。
だが、俺にはなにかできるようなこともないし、下手するともっと悪化させてしまうかもしれない。
自分の不甲斐なさにイラつき、悲しみが混じり合わさり、ただただ苦しかった……。
そして昼食後、みんなと一緒にシアが泊まってる部屋に入り、椅子やベッドに腰をかけるとシアが話し始めた。
「ごめんね、急に集まってもらっちゃって……。こないだのこともあって、しっかり言ってみんなに知って貰わないといけないと思って……。実はね、私の故郷はこの世にもうないの……。10年前の魔物のスタンピードによって街は崩壊、大切な人は目の前で殺された……。未だにその時の恐怖が取れなくて、こないだ全く動けなかったんだ……。多分これからも迷惑かけるかもしれない……。最近、武蔵に会って前向きになってたんだけど、やっぱり根元はまだダメみたいだった……。みんな……。ごめん……。ごめんね……。こんなリーダーで……。」
「シア……。」
シアは涙を零しながら、俺たちに過去を話してくれた。
リアは、そんなシアを抱きしめながら「大丈夫。大丈夫だから。」といいながら慰めている。
俺はこないだ加入したばかりだが、ユイ、ムイはこのことを全く知らなかったみたいで少し驚いていた。
そこまで言わなかったことだ。
今日話すことすらものすごく緊張するだろうし、怖いだろう……。
それなのに俺は、 いつも元気で毎日楽しさ全開なことが当たり前のように思っていた……。
シア……。
「リア、ありがとう。でも、もう大丈夫。スタンピードを乗り越えられたと思ったんだけど、やっぱり私は弱いみたいなの……。こんなリーダーじゃ嫌だったら……。ぱっパーティーから」
「シア!!」
「「!!」」
俺は無意識にシアの言葉を遮った。
特に言葉の続きを考えていた訳ではない。
だが、この続きを言ってしまえば、シアはもっと自分を追いつめ元に戻れなくなる気がする……。
「シア。俺はシアがいなかったら生きて街まで辿り着かなかったし、今頃野垂れ死んでたかもしれない。そんな俺を助けたのはシアだよ。もっと自信もって。それに、そんな事言わない。俺が所属するパーティーのリーダーはシアしかいないんだから。」
「武蔵……」
「武蔵のいいこと言う。シアは家族。家族は1人でもかけたらダメ。」
「何かあったらすぐに私にいってー。なんでも絶対に助けるー。シアは大事な人だもんー。もう家族ー。」
「ありがとうみんな……。」
「このパーティーはシアだから回るんだよ。 これからも頼むよリーダー」
「リアも……。」
シアは子供のように声を荒らげて泣いていた。
だが、今回は悲しみの涙ではなく少し嬉しそうな顔をしながら泣いていた……。
シア……。
?!
シアのことを考え完全にキリが消えたというところで、突然キリの表情、感触が一気に浮かんでくる。
そして、再度神アルトへの苛立ち……。
ピロン!!
「武蔵大丈夫? なんか体調悪そうだけど……。」
「ああ。大丈夫、大丈夫。こんなもん後でゆっくり寝たらすぐに治るって。」
「それならいいんだけど……。シア、武蔵も元気じゃないし、しばらくはこの街に滞在しよう。ムイもユイもそれでいいよね?」
「うん。」「もちろんー。」
「それじゃあ、しばらくはここに泊まるからゆっくりしよっか。最近色々ありすぎて疲れてるからね。」
「「うん」」
そこでお開きになり、自室に戻ったり連絡を見ると俺をこの地に呼んだらアカラからだった……。
俺は唾を飲んだあと、少し震える手を動かしながらメールを開いた。




