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黒龍皇の血統  作者: 現野 イビツ
虹色の巫女と金眼の悪魔
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22/26

第二十一話 早朝の悲劇~二度の連行~

久々の投稿です。

感想や評価、レビューなんかを書いて頂けたら嬉しいです。

「……あぁ。この扉を開けるのが、こんなにもユウウツだなんて……」

「ぼやいてないで、とっとと教室に入ったらどうですか、クロー様?」

「……そうだよね。別に悪いことをしたワケじゃないんだし……」

僕は、鞄の中から顔を覗かせる“変な生物”となったアパの言葉を聞き、溜め息を吐きながらゆっくりと顔を上げる。

そして目の前にある扉を数秒睨みつけて……再び溜め息を吐きながらゆっくりとそれに手を掛けた。

ガラガラガラ!

「──お、おはよう、皆」


「「「おはようっっっ!!!!! クロー(くん)っっっ!!」」」


ピシャッ!

「………………」

ガラガラ!


「──お、おはよ」

「「「おはようっっっ!!!!! クロ」」」


ピシャッ!

「………………………………」

ガラ!


「──お、おは」

「とっとと入ってきなさい、クロー!」

「うわっ!?」

あまりにも大きすぎるクラスメイト達の声に驚いて扉の開閉をしていた僕だが、三度目に扉を開けた瞬間に、扉の前で待ち構えていた彩那によって教室の中に引き込まれてしまう。

そして──、

「おい、すげえじゃねぇか、神刃!」

「聞いたわ! たった一人で合成獣キメラを倒したんですって!?」

「しかも、剣を一振りだけでって聞いたわ!」

「そうそう、ガオンなんてただ這い蹲っていただけらしいじゃん」

「って、オイ! 俺に喧嘩売ってんのか!?」

──何て言うか、まさに混沌カオス

しかも、とてつもなく噂に尾鰭が付いてるし。

「あのさ、皆……。何か、凄く話しが違ってるんだけど……」

「「「と、言うと?」」」

「いや、別に僕は合成獣キメラを一人で倒してないし。ただ、弱っていた所に“天雷完翔閃ライトニング・フルバースト”を叩き込んで追い払っただけだし」

「「「……それでも十分凄いって」」」

「それに、ガオンくんはただ這い蹲ってたワケじゃなくて」

「そうそう」

「一応果敢に挑んだものの、あっさり返り討ちにあった上、相手に呪いを掛けられたせいで這い蹲ってたんだっけ?」

「テメェも喧嘩を売ってるよなっ!?」

「あ、そう言えばさ、彩那──」

「無視するなっ、クロー!」

「「「煩いぞっ、ガオン!!!」」」

「俺が悪いのかっ!? ──って、ハノン? 俺を一体何処へ連れて──」

……何だろう?

ガオンくんが、ハノンちゃんを始めとする何人かの女子生徒に連行されて行ったんだけど。

……大丈夫かな?

前に何人か男子生徒が似たように連行されてたけど、その後に人格変わってたからなぁ……。

「気にしちゃダメよ、クロー」

「……そうするよ、彩那」

彩那の言葉を聞いた僕は、素直に首を縦に振る。

女性の忠告はよく聞くモノだと、カーサも常々言っていたからなぁ……。

「──あ、それで、クロー。何か、私に用事があったんじゃなかったの?」

「……あぁ、忘れるトコだった! 彩那への大事な用事!」

「大事な用事?」

「そうそう。彩那って、今日の放課後は時間空いてる?」

「空いてるけど……それがどうかしたの?」

「あ、うん。昨日、合成獣キメラと戦って心配させたと思うから、そのお詫びに何処か喫茶店でも──」

「え! それって、デートのお誘い──」

「──連れって行ってあげなさいって、カーサが」

「………………そう、カーサさんが。へぇ、カーサさんが言ったから、喫茶店に誘うんだ?」

……あれ?

何でだろう、言葉の途中までは彩那は凄く機嫌が良かったのに、言い終わってみたら何故か黒いオーラが見えるぐらい不機嫌になっていらっしゃるんですけど。

「(……今のは、クロー様が悪いですよ)」

と、鞄の中にいるアパがいきなり声を掛けて来た。

「(え? 僕、何か悪いことしたっけ?)」

僕は、皆にバレず、しかしアパにはちゃんと聞き取れる程度の小声で、そう聞き返す。

「(クロー様が、途中でカーサ様の名前を出すから悪いんです)」

「(あれ? 彩那とカーサって、仲が悪かったっけ? 僕の記憶が正しければ、二人とも結構仲が良かったと思うんだけど……)」

そう。

僕のお目付け役であるアパ(アルビノメイド)や、暇があれば僕の家に来るカーサ、僕の剣の師匠である“天龍”レンソーカことソーカなどのメンバーは、彩那や何人かの友人と面識があるのだ。

……勿論、彼女たちは誰一人として、アパ達がこの国の幹部だなんて(アパ以外は大臣)知らないが。

彼女たちには、アパ達のことを父の部下としか紹介しているのだ。

そして、初等部三年の夏休み、初めて彩那とカーサが出会った時から、二人の仲は結構良かったと思うんだけどなぁ……。

「(……この、唐変木が)」

「(? 何か言った、アパ?)」

「(いいえ、何にも)」

「(……?)」

「(……はぁ。まぁ、取り敢えず、さっさとカーサ様の名前を出したことを謝って、もう一度彩那様を喫茶店にでもお誘い下さい)」

「(……何で?)」

「(いいから、とっととやって下さい。この鈍感大魔じ――ぅぐっ!?)」

どうしよう?

途中からアパが変なコトを言い出したから、思わず思い切り鞄に肘打ちをしてしまったけど、そのせいで彩那に白い目で見られてしまっている。

いや……本当にどうしよう?

――と、僕がそんな風に混乱し始めたその時、

「――あ? ど、どうなってるんだ……この状況?」

何とか女子生徒達から逃げ出して来たのであろうガオンくんが、教室内の微妙な雰囲気に気付いたのか、何とも言えない表情をしている。

後ろからガオンくんを追って来たのであろうハノンちゃん達も、よく状況を理解していないようだ。

だから、たまたま近くにいた魚人フィッシャーマン貝塚かいづかくんが、今の状況をガオンくんを折檻していた数名の女子に状況説明をしてくれたのだが――、

「それは……何と言うか」

「クローくんが悪い、かな?」

「いや、クローくんに悪気はないでしょ」

「いやいや、クローくんって男女分け隔てなく仲良いのに、乙女心が分かってなさすぎるでしょ」

「それは、あれよ。クローくんって、髪切るまでは女の子として扱われてて、私達も特に気にせず接してたし」

「あぁ、だから。男の子として女の子に接するのに馴れてないのね」

――何故か、女の子達から非難がましい目と、その後に、同情するような目を向けられる。

「……って、ちょっと待って、皆! それってつまり、クローくんの唐変木の原因が、私達にあることにならない?」

「「「あ………………………………!」」」

……。

………………。

……………………………………。

「……えと、クローくんに彩那ちゃん? と、取り敢えず――」

「「「――本当にごめんなさい!!!」」」

……何故か、謝られてしまった。

「(どどどどうしよう、アパ! 皆、怪しい宗教団体にでも騙されてるのかな!?)」

「(取り敢えず、一旦落ち着いて下さい、クロー様。そんな宗教団体があるならば、貴方が把握してないなんてことないでしょうに)」

「(で、でもっ!? 何か、一つでも行動を間違えると、彩那に折檻されそうな雰囲気があるんだけど!)」

「(……その空気を読む能力をもう少し別の方向に向けていたら、こんなことにはなりませんでしたよ)」

そんなことを言われても……、と心の中で呟きながら、誰にも気付かれない程度に辺りを見渡す。

教室内には、先程より微妙な雰囲気になっていた。

「(………………これって、僕のせい?)」

「(まぁ、四割り程は)」

「(……はぁ、じゃあ仕方無いかぁ)」

アパの言葉を聞いた僕は、もう一度だけ辺りを見渡した後、覚悟を決めて彩那の顔を見る。

そして――、

「――あ、あのさ、彩那」

「な、何かな、クロー!?」

先程の一斉謝罪で呆気に取られていたのか、彩那は声を掛けられた瞬間に声を出していた。

……が、僕はそれを気にせずに、否、気にするコトも出来ず、少し頬が上気するのを感じながら言葉を続ける。

「えーと、その……。カーサに喫茶店に連れて行けって言われたのは、僕がアドバイスをくれって頼んだからで……だから」

「え!? ……それってその、私を誘おうとしてたってコトっ!?」

「え! あ、まぁ……そうだけど……?」

「「「おぉぉぉーーっ!?」」」

「……え?」

何故か僕の言葉を聞いた瞬間、彩那が小さくガッツポーズをし、周りにいたクラスメート達が一斉に騒ぎ出した。

……え?

何、どうしたの!?

「(……いいですか、クロー様。絶対に“心配かけたお詫びのために”とか言わないで下さいね?)」

「(え? 何で?)」

「(何ででもですっ!?)」

鞄の中にいるアパに小声でそう言われた僕は、若干首を傾げながらも、ゆっくりと頷く。

こうして、平和な一日が始まっていったのだ。











……と、こんな感じで終われれば良かったのだが。

若干、約一名の空気の読めないガオンが、ふと何かに気付いたかのように言葉を漏らした。

「――って、クローのは心配かけさせた謝罪として、風紀委員ちゃんを誘ってるんだろ? だったら、俺やハノンも誘うのが筋なんじゃ……」

「「「………………」」」

ガオンくんがその言葉を言った瞬間、教室内の空気が凍った。

クラスメイト、特に女子生徒からガオンくんに向けて物凄い殺気が放たれている。

……シュヴァルツシルト龍皇国の公開実力ランキング2位から5位(順に、ソーカ・カーサ・“闇龍”バルベル・アパ)に実戦稽古を付けられた僕が、少々本気で怖がるくらいに。

一番最初に動いたのは、彩那とハノンちゃんの二人だった。

「ガ・オ・ン、くんっ♪」

「ちょ〜っと、こっちに来てくれますか?」

二人はそう言って、ガオンくんの肩を掴むと、再び教室の外へ連れ出して行く。

そして、それを見たクラスにいた女子生徒全員が、それに続いて行った。

「………………えと」

呆然とする僕の肩に、後ろから鰭のついた青白い手が置かれる。

振り向くと、貝塚くんを始めとする男子生徒達が、気にするなといいたげに首を振っていた。

それを見た僕は、思わず首を縦に振ってしまう。




結局、その日の放課後は、ガオンくんとハノンちゃんも含む四人で、学生街エリアにある喫茶店に行くことになった。

夏休み中に、日常の方に短編を載せたいなぁと思う今日この頃……。

というワケで皆さん、お久し振りです。

夏休みだし言うのに、補修と宿題に時間を取られて中々投稿の出来なかった現野です。

最近は、上でも言った通り、ほぼ設定集になってしまっている日常の方に久々に短編を載せたいなぁと考えている次第です。

後、二話程進んだ後に乗せたいと思うので、是非お楽しみに。

それでは、次回予告。

次回、放課後の三人(?)をお楽しみに。

以上、現野 イビツでした。

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