第十四話 蝙蝠襲来(1)
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「……クロー、遅いなぁ」
クローと先輩の決闘が終わってから、約十分後。
クローに与えられた控え室代わりの武器庫の中で、私――彩那・アリア・白鏡はそう呟いた。
先程の決闘でクローは、迎撃出来る筈の攻撃に対して、自らの身体を爆発で吹き飛ばすという荒業で回避をしている。
その時に使った魔法──“絶攻雷”のせいで、右手は決して軽くない怪我を負っている筈だ。
「……クロー、大丈夫かな?」
私は、再び誰に問うでもなく、そう呟いた。
……が、その時。
「んなの、アイツのことだから大丈夫だろ」
「え?」
意外にも、その独り言に返事が返ってきた。
驚いて振り返ってみると、武器庫の入り口に私の級友である竜人のガオン・鋼鱗・リザードマンと、魔人のハノン・レイトレードが立っていた。
「ガオンくんに……ハノンちゃん?」
「よっ、風紀委員ちゃん!」
「こんにちわ、白鏡さん」
二人は私に声を掛けると、そのまま武器庫に入ってきた。
「あ、だ、ダメだよ二人とも。ここ本当は、あと二十分はクロー以外は立ち入り禁止なんだから」
「ぁん? 風紀委員ちゃんは入ってるじゃねぇか?」
「それは、私が風紀委員だからってことで」
「……それは、職権乱用じゃないかな?」
私の言葉を聞いたハノンちゃんが、何とも言えない表情で私のことを見てくる。
その件には突っ込まないでほしいなー……なんて。
「あ、あははー」
「「笑い事じゃないからね(な)!?」」
あ、今度はガオンくんも一緒に突っ込んできた。
本当、この二人は仲良くなったものだ。
その事にはとても感心するんだけど……。
「はぁ……」
「……ったく、辛気臭ぇなぁ。風紀委員ちゃんは」
「そんなに心配しなくても、クローくんのことだから大丈夫だよ」
「ふぇっ!?」
二人の言葉を聞いた私は、思わず間の抜けた声を出してしまう。
「な、なんで二人とも、私がクローのこと心配してるって分かったの!?」
「「いや、分かりやすいって……」」
思わず真っ赤になる私の顔を、二人は呆れた表情で見ていた。
「……くそっ!」
彼は、そうやって口汚い言葉を発しながら、急いで移動をしていた。
彼の顔には驚きの表情が張り付き、背中には大量の冷や汗が流れている。
「何者だよ、あのメガネっ!? “鏡面装甲”に気付くだけじゃなく、雷属性の魔法を使って回避するなんて……ただの学生じゃねぇぞ!」
どうやら、それが彼が恐怖している理由らしい。
より詳しく言うならば、彼は目的の邪魔になりそうだった少年──神刃 クローの排除をしようとして、許されない失敗をしたから恐怖をしているのだ。
「……関係ないヤツに手を出しただけならともかく、その襲撃に失敗をして、挙句の果てに尻尾を掴まれそうなんて……。こんなの“あの人”にバレたらタダじゃすまねぇ……」
だからこそ、彼は早いところ目的を遂げるために、走り続けて──辿り付いた。
そこは、ここ──エクシリオン魔導学園の北部のバトルエリアにある“スタジアム”。
その一角であり、現在“標的”が存在する場所──武器庫。
彼は、事前に用意しておいた檻を取り出すと、彼は恐怖で引き攣った顔に無理矢理下卑た笑いを浮かべながら言った。
「……悪いな、虹色の巫女。俺のために、死んでくれっ!」
その言葉とともに、彼の足元と檻に展開される魔法陣。
『蠢け! “魔獣合成”ッ!』
そして、ソレは突如として現れた。
ソレに一番最初に気付いたのは、レッドテイル王国所属の戦士であるガオンくんだった。
「……オイ? 何か、おかしくねぇか、ここ?」
「え?」
「それってどういう……?」
会話の途中に突如そう言い出した彼の言葉に、私とハノンは首を傾げる。
そんな私達を見たガオンくんが、自らも少し首を傾げながらも口を開く。
「いや……、何て言うか嫌な感じがしてな……。お前らは感じないのか?」
「嫌な感じなんてにしないけど……」
「私も特には……」
私もハノンも、特に何も感じていない。
もしかして、ガオンくんの何かの勘違いなんじゃ……。
そう思った瞬間だった。
──ゾクリ。
「「「──ッッッ!?」」」
突如、私達は頭上から強烈な殺気を感じた。
……これが、ガオンくんの言っていた嫌な感じのこと。
それに気付いた時には、もう手遅れで。
『──ギュゥァァァアアッッ!』
「なっ!?」「何、この音……!?」「あ、頭が……っ!」
頭上からその音が聞こえた瞬間、三人同時に膝から崩れ落ちてしまう。
この破壊的な鳴き声が、とてつもない頭痛を催していた。
「一体、何が……」
ガオンくんの声と同時に、三人は一斉に頭上を見上げる。
そして──、
「「「──ッッッ!?」」」
──私達は見てしまった。
金属光沢を放つ毒々しい紫色の、巨大な蝙蝠の姿を。
こんばんは、現野 イビツです。
最近、ドイツ語の勉強を始めましたが、学園にはドイツ語が分かる先生がいないので、殆ど独学状態に。
……春休みの間は、N〇K先生にお世話になろう。
少しでもドイツ語ができるようになったら、小説に活かしてみたいと思ってるので、是非とも応援して下さい。
それでは、次回“蝙蝠襲来(2)”をお楽しみに。
以上、現野 イビツでした。




