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黒龍皇の血統  作者: 現野 イビツ
虹色の巫女と金眼の悪魔
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10/26

第九話 試合の後に

14000PVを突破! 順調に進んでいってると思います!

「あー、疲れた……」

「本当にお疲れ様、クロー♪」

「あ、うん、ありがとう、彩那」

入学式早々の“決闘”が終わってか、はや二時間。

僕は今、彩那と二人きり(正解には、鞄の中にアパもいるが)で、控え室代わりの武器庫にいた。

もう使う必要のないこの部屋に二人きりでいるのは、人には言えないやましいことをするため……では、もちろんなく。

とある人物を、二人で待っているだけなのだが……。

「……ねぇ、彩那? 何かあったの?」

「え? どうして?」

「いや、さっきから上機嫌だし、全然腕から離れてくれないから」

そう。

彩那は今、僕の右腕にしがみつき、ずっと話し掛けてきているのだ。

こんなところを誰かに見られたら、彩那はどうするつもり何だろう?

まぁ、扉は閉まってるから大丈夫だろうけど。

「で、クローは私が何で機嫌がいいか、聞きたいの?」

「いや、別にいいんだけどね」

「そう、そんなに聞きたいの♪」

「いや、だから別に――」

「いいよ! クローだから教えてあげる♪」

「………………」

何故か、彩那に無理矢理押し通された。

語尾に音符を付ける程、良いことでもあったんだろうか?

しょうがないので、彩那に聞いてみる。

「……それで、何があったの?」

「あのね……クロー、今日も私のこと庇ってくれたでしょ? それが嬉しかったの♪」

「それって、いつものことでしょ?」

「クローにとってはそうでも、私にとってはそうじゃないの!」

「そういうものなの?」

「それに、その……今日のクローは、か、恰好良かったから」

「え? あ、ありがとう……」

顔を赤らめながら言う彩那に、僕はそう返事をする。

「………………」

「………………」

何故か、その場を支配する沈黙。

気不味くなったので、僕は咄嗟に話題を変える。

「それで……何で腕にしがみついてるの?」

「えっ!? ええと、その……そう! こっ、これは、ご褒美だよ!」

「ご褒美?」

「ほ、ほら、クローは今日も頑張ってたから! 男の子って、こうやって胸を当てると喜ぶんでしょ? 前にクラスの子が言ってたから――」

「む、胸って……!?」

彩那のその言葉を聞いた僕は、思わず顔を真っ赤にする。

「ぼっ、僕がそういうの苦手って、彩那は知ってるでしょ!?」

「そ、そうだけど……」

「それに、ご褒美って言っても、彩那は初等部の頃から、あんまり体型変わってな……あ!」


どうしよう。

混乱していたせいで、つい口を滑らせてしまった。


恐る恐る彩那の方を見ると、ゆらり、と闇色のオーラを立ち上らせていた。

「あ、あの……彩那さん? 貴女の得意属性は光属性じゃありませんでしたっけ?」

「クロー、私が七属性全て使えること、忘れたの?」

「め、滅相もございません……」

そう言えば、そうだった。

“ファンタジア”には、火・水・土・風・雷・光・闇の基本七属性が存在し、彩那はその全てをそつなく使いこなすことが出来る。

これは、とても珍しい事だ。

この世界では、亜人は二つ、魔人は四つ、純人は六つまでしか属性を使えないのが、この世界の常識。

だから、七つの――いや、本人は気付いていないが、八つ(・・)の属性を使いこなせる彩那は、まさに天才と言うべき存在であり、いつもは尊敬をしているのだが――今はそれどころではない。

『響き渡れ、“捕縛闇バインドダーク”』

「あ、彩那っ!? そんなことされたら、腕が動かせなくなるんだけど!」

「安心してよ、クロー♪ ……逃がさないから」

「ひぃっ!!」

どどどどうしようっ!?

右手に纏わり付く闇のせいで、この場から逃げ出すことが出来ない。

こうなったら……仕方がない。

「あ、彩那?」

「何、クロー?」

僕は、彩那の目をじっと見ると……勢い良く頭を下げた。


「そ、その……ごめんなさい! 流石にデリカシーが無かったと思います」


「……え!? クローが“デリカシー”って言葉を知ってるなんて……」

今、素直に謝ったのに、失礼なことを言われた気がする。

「ぼ、僕だって、女の子への謝り方くらい知ってるよ!」

この国の大臣の一人にして、“魅惑のカーサ”と呼ばれる、妖龍カサンドラに教えて貰ったから。

カーサは用も無く抱き着いてくるから苦手だけど、こういうことに関したアドバイスはとても的確だ。

「しょ、しょうがないから、今日は勘弁してあげる!」

現に、彩那はちゃんと許してくれたし。

やっぱり、カーサは凄いなぁ……。

「……あ、あんな潤んだ目で見られたら、許さないなんて言えないよ」

「え? 何か言った、彩那?」

「な、何でもないよ!」

彩那が小声で何かを言ってた気がしたのだが、即座に返事をされた。

まぁ、何もないんだったら、別にいいんだけど。

僕が、心の中でそう呟いた時だった。

トントン、と武器庫の扉を叩く音。

どうやら、待ち人が来たようだ。

彩那が慌てて“捕縛闇バインドダーク”を解除したのを確認した僕は、扉の外にいる人物に声を掛ける。

「入っていいよ!」

数瞬の後、扉が開いて二人の人物が、武器庫に入って来た。

僕は、その内の一人――今回の対戦相手だったガオンに聞く。

「どう、ガオン? 仲直りは出来た?」

「……あぁ、何とか許して貰えた」

「そう、それは良かった」

僕はそう言いながら、ガオンの後ろにいたもう一人の来客を見る。

そこにいたのは、銀髪のショートカットに、紅い右目に碧い左目――魔人特有の妖色眼オッドアイが目立つ少女。

名は、ハノン・レイトレード。

“決闘”前に、ガオンに絡まれていた少女である。

ハノンは、ガオンの後ろから前に出ると、僕を見詰めながら言った。

「あ、あの……神刃くん、ありがとう!」

「気にしなくていいよ、ハノン。友達として、当然のことしただけだから」

「で、でも……」

「それに、クラス内で仲が悪い子たちがいると、僕も嫌だからね。そういう意味じゃ、あの“決闘”は僕の我が儘だったんだよ」

「………………」

「だから……気にしちゃダメだよ?」

「……うん!」

そこまで言うと、ようやくハノンも納得してくれたようだ。

ハノンは、何故か顔を赤らめながら僕の顔をじっと見詰めると、

「ありがとう」

と、もう一度だけ言った。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

先日10000PVを突破した記念に、『ツンデレ悪魔の設定集』と言う新作を掲載させて頂きましたので、そちらの方もご覧になって頂けたら嬉しいです。

それでは、感想・アドバイス等、お待ちしております。

また、次回“長かった一日(前編)(仮題)”をお楽しみに!

以上、現野 イビツでした。




……でも、いつになったら入学式が終わるんだろう?

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