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256 11番目の適格者(その11)

たまには気分を変えるのもいいかと思い上杉(兄)目線にしてみました


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「ゼイゼイゼイ・・・」


肺が酸素を求めているが全然足りていなかった




おかげで身体が動かない


プールサイドのコンクリートのザラザラで肌が容赦なく擦れて痛い






「まだまだだね」


悪魔の声がした




この鬼が!


声が出せないため心の中で罵った







ことの起こりは弟からサッカー部の助っ人に誘われたことだった


弟曰く


「レギュラーじゃないんだからいいじゃん(意訳)」




殴らなかったオレを褒めたい


・・・もしも両親が傍にいなかったら絶対に殴っていたな





確かに俺は野球が下手だよ


認めるよ


だからといって辞めると言う選択肢はない


部活の練習とたまの練習試合で十分だ






あとテレビの野球中継


今年こそ龍戦士が優勝だ!


・・・これだけ応援しているんだから優勝するよな?






まあそんな訳でライ8(ライトで八番)で終わると思っていた


あとは万年補欠?




ところがそんなオレに悪魔きのしたが囁いた


レギュラーになりたくないか?




もちろんなりたいに決まっている


思わず悪魔の手をとってしまった



・・・今となっては当時のオレを殴ってでも止めたい





その後は凄かった


いや酷かった







怪我に気を付けているので無茶や無理はなかった


でも日に日に走るのも投げるのも守るのも成長していった


それも凄い勢いで、だ





もちろんオレだけではなかった


野球部全員が、である




ちょとしたホラーだった


自分の身体が変わっていくのがわかるんだ


それも他人によって


これはやられた人間にしか判らないだろう





本人は


「サッカー部の練習の焼き直し」


だと言っていた





だとしたらサッカー部の方がオカシイと言いたい


いや我が弟よ、目を覚ませと言いたい





あと


「上杉といったらピッチャーだよな!」


とかいってピッチャーをやらせるのは止めて欲しい




上杉おれ(兄)は補欠でも外野でも全然かまわない


いや楽しんで野球ができれば構わないんだ




将来は草野球のチームに入って日曜に市民グランドで野球をして優しい嫁と可愛い子供の応援を受けて試合後に仲間とビールを飲むささやかな幸せがあればいいんだ





「9回まで投げる体力がないよね」


といってサッカー部のメンツと一緒に夏のプールで毎日1km泳がせるのは止めて欲しい




終わった今、手足に力が入らなくてプールサイドのコンクリート上でトドになっているから!





今切実にのび太の机の引き出しが欲しい


そんでもってちょっと前のオレを止めにいきたい

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