エピローグ
それから半年が過ぎた。
王立アストレア魔法学園のランキング制度は、この一件を受けて全面的に改正されることとなった。
「品格」「協調性」といった主観の入りやすい項目についても、教師だけでなく、複数の外部評価者や、客観的な実績を組み合わせる新たな方式が導入された。
かつて私が味わった理不尽が、二度と繰り返されないように。
その願いを込めて、新しい制度の設計には、私自身も助言者として関わらせてもらっていた。
新入生たちは、掲示された新しいランキング制度について、時折こんな噂話を交わしているという。
「昔は、不正があったらしいよ」
その言葉が、遠い過去の出来事として語られていることに、私は静かな安堵を覚えていた。
そんなある日、私は卒業生代表として、母校の記念式典に招かれることになった。
かつて自分が嘲笑われ、立ち尽くしていたその場所に、再び足を踏み入れる。
けれど、そこで私に向けられていたのは、これまでとはまるで違う視線だった。
後輩たちが、憧れを込めた眼差しで、私を見つめている。
式典の後、新しく設置されたランキング掲示板の前に立つと、隣にノアが並んだ。
彼は穏やかな表情で、掲示板を見上げながら口を開いた。
「君が一位だったのは、もう誰も疑わない」
その言葉に、私は静かに、けれど心からの笑みを浮かべた。
「順位を守りたかったわけじゃないの」
夕暮れの光が、二人の影を長く伸ばしていく。
「努力は、正しく評価されるべきだと、証明したかっただけ」
ノアは小さく頷き、私の隣で、同じ方向を見つめ続けていた。
新しいランキング掲示板が、これから先も、多くの生徒たちの努力を、公正に映し出していくことを願いながら。
二人並んで見上げるその掲示板には、確かな未来への信頼が、静かに刻まれ始めていた。
終幕




