表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んで生き直す無限ループ  作者: Putra Maulana
第1章 人類の7つの大罪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/24

第1章 | パート20: 燃焼

(視点:リアム)

 熱気が肌に直接火の炭を押し付けられたように焼き付く。後ろでは馬車の車輪がきしみを上げ、俺は一人、馬の背に乗り、この旅の先頭に立っていた。額から汗がとめどなく流れ、首筋を伝って、乾いたサバンナに飲み込まれたかのようにすぐに乾いていった。

 > シンティア…俺にこの任務が務まるだろうか?

 >

 俺は手綱を強く握りしめた。馬の息遣いも荒くなり始めていたが、俺に選択肢はなかった。俺の後ろには、パイロ首都の誇りの象徴であるヴェロリア姫、若い魔術師のピタ、そして仮面の騎士ダリウスがいた。俺、リアムは、ただの一時的な護衛に仕立て上げられた放浪者に過ぎなかった。

 後ろをちらりと見る。馬車のカーテンが半分開いて、ヴェロリア姫の姿が見えた。彼女の短い巻き毛が、太陽の光を浴びて金色に輝いているが、暑さで一部は汗で濡れていた。その目は鋭く、決して外さない矢の狙いのようだ。膝の上には、かすかな炎をまとって輝く弓があった。彼女の一挙手一投足は…まるで炎そのものと一体化しているかのようだった。

 俺はかつて、ピタの図書館にあった古い百科事典を読んだことがある—好奇心からか、それともただの退屈しのぎだったかは覚えていない。そこにはこう書かれていた。「ヴェロリア姫、炎の支配者。彼女の矢は慈悲を知らない炎であり、常に標的へと向かう。」これを読んだ当時は感銘を受けたが、今、彼女のそばにいると、自分がとても小さく感じられた。

「リアム。」低い声が聞こえた。

 俺は振り返った。ダリウスが馬車のそばを歩いており、その足取りはしっかりとしていた。胸の鎖が、彼の足音に合わせてチャリンと鳴っている。その体は鋼のようにがっしりとしていて、硬い筋肉で覆われていた。大きな鉄仮面の下からは、抑えられた獣のような唸り声が聞こえた。背中の大剣は、彼の身長とほぼ同じ長さだった。

「なんだ?」疲労から、俺はぶっきらぼうに尋ねた。

「迷っているようだな。」

 俺は鼻を鳴らし、わざとまっすぐ前を見た。「ただ考えているだけさ…本当にあの罪人が現れるのかどうか。それとも、これはただのシンティアの被害妄想なのかと。」

 ダリウスの仮面がわずかに震えた。笑っているのか、それともただため息をついているだけなのか。顔が見えない人間の表情を読み取るのは難しかった。

「信じろ、罪人は常に我々が油断した時に現れる。」

 その言葉に、俺は背筋がゾッとした。

 ルミネを遠く離れるにつれて、目の前の景色は明らかに変わっていった。緑は茶色に変わり、草はひび割れた大地に取って代わられた。水源は消え、残っているのは鋭い砂利と、喉の渇きで死んだ動物の骨だけだった。熱気が肺を焼き、息をするたびに熱くなった。

「パイロ首都に近づいているぞ!」ダリウスが後ろから叫んだ。その声は空に挑むかのように轟いた。

「よく分かる」と俺は静かに応え、馬を叩いて走り続けさせた。

 ヴェロリアはカーテンを大きく開け、周りを見渡した。顔は毅然としていたが、額には汗が滲んでいた。「この大地は…命を拒んでいるようだ。だからこそ、パイロはこの地で育つのだ。炎の中で生き残れる者だけが、生きるに値すると言える。」

 俺は答えなかった。その言葉は、単なる発言というよりは、祈りのように聞こえた。

 ヴェロリアの隣に座っていたピタは、本を閉じた。色褪せた青い表紙の分厚い本で、彼はいつもそれを持ち歩いていた。「このルートはマークしておいた…もし本当に罪人が現れるなら、奴は開けた場所を選ぶ可能性が高い。身を隠す場所もなく、逃げ道もない場所を。」

 俺は唾を飲み込んだ。彼の言うことは理にかなっていたが、それはつまり―俺たちが罠に向かって歩いているということでもあった。

 ルミネを出発して10キロ、熱気はさらに強まった。通常なら涼しさを運んでくる風は、今や顔を叩きつける熱い砂埃と砂利を運んでくるだけだった。馬の一歩一歩が、まるで戦場に向かうドラムの音のように響いた。

 その疲労の中、俺の心は再びシンティアに飛んでいた。彼女の確信に満ちた顔、心配を隠そうとする笑顔…それらすべてが俺の心に焼き付いていた。「信じているわ、リアム。あなたならヴェロリア姫を守れる。」

 俺は歯を食いしばった。もし失敗したら、シンティアを失望させるだけでなく、この世界を罪人たちに支配させてしまうことになる。

 > だが…奴らはいつ現れるんだ?

 > 本当に俺たちは死に向かっているのか?

 >

 俺はもう一度後ろを振り返った。ヴェロリアは遠くを見つめており、その目は地平線を貫くかのように燃えていた。ダリウスは馬車のそばをまっすぐ歩き続け、剣が鎖と擦れるたびにチャリンと鳴っていた。ピタは本に何かを書き込んでいた。おそらく呪文か、あるいはただの小さなメモだろう。

 俺は大きく息を吸った。

「分かった…」と呟いた。「これがただの被害妄想だとしても…少なくとも俺は準備ができている。」

 灼熱の昼間の空が、徐々に暗くなった。太陽が沈んだからではなく、奇妙な空気がサバンナを覆ったからだった。風が止んだ。舞い上がっていた砂塵が突然まっすぐに地面に落ちていった。まるで時間が活力を失ったかのようだった。俺の馬はパニックで嘶き、足を蹴り上げ、俺は振り落とされないように手綱を強く引いた。

「止まれ!」ダリウスが叫び、その大きな手で馬車の側面をつかみ、無理やり車輪を止めた。

 ヴェロリアはすぐに馬車から飛び降りた。その眼光は鋭く、炎の弓がすでに手の中にあった。矢の先には小さな炎が燃えていた。燃料もなく、火花もないのに―まるでその炎が世界を焼き尽くす許可を待っているかのようだった。

「この気配を感じるか、リアム?」その声は毅然としていたが、かすかに心配の色が潜んでいた。

 俺は頷いた。心臓はすでに不規則に鼓動していた。「ああ…この気配は…人間のものじゃない。」

 突然、俺たちの前方の地面がひび割れた。その裂け目から黒い炎が噴出し、空気を薙ぎ払い、龍の舌のように上に伸びる円を描いた。その炎の中から、人影が現れた。足取りは軽やかだが、一歩踏み出すたびに大地が震えた。

 長身の男で、その真紅のローブには金の刺繍が施されていた。長い髪は、まるで生きている炎のように流れていた。その顔は完璧すぎるほどハンサムで、しかし同時に恐ろしくもあった―まるで崇拝されるためだけに創造されたかのようだった。片方の口角が上がり、傲慢さに満ちた微笑みを浮かべていた。

「プライド…」ピタが囁き、手に持った本が震えた。「七つの大罪の一人…」

 その男―プライドは、まるで王が勅命を下すかのようにゆっくりと手を上げた。彼の周りの黒い炎は鎮まり、そして彼に従うかのように消え去った。

「待っていたぞ」と、彼の声は深く、重く、威厳に満ちていた。言葉の一つ一つが、反論できない法律のように響いた。「炎の支配者…ヴェロリア姫よ。お前たちの民の誇りの象徴と名乗る者。俺は来た…お前の誇りがただの幻想であることを証明するために。」

 ヴェロリアは弓を構え、その瞳は炎で輝いていた。「罪人…お前はパイロの地を決して踏み入れさせない!」

 プライドは小さく笑った。狂気の笑いではなく、戦いが始まる前から結末を知っている者の笑いだった。

「踏み入れるだと?いや、姫。俺はお前の脆い誇りとともに、パイロのすべてを飲み込んでやる。」

 彼は手を叩いた。

 大地から不快な水音が聞こえた。乾いたひび割れや裂け目の向こうから、何百、いや何千もの緑色の粘液の生き物が出現し始めた。彼らの体は半透明で、内部では酸性の液体がぐつぐつと煮え立っていた。その塊の中心には、小さな赤い目が燃えていた。

「スライム…」俺は震えながら呟いた。

 しかし、その数は…信じられないほどだった。彼らは這い出てきて、空っぽのサバンナを覆い尽くし、乾いた大地のあらゆる隙間を埋めていった。数分のうちに、もう数えることすらできなかった。

 ダリウスは唸り声を上げて剣を抜いた。その刃からは赤い炎が燃え上がり、胸の鎖へと伝わった。「忌まわしい罪人め…何千ものスライムで俺たちを止められるとでも思ったか?」

 プライドは振り返り、その視線はダリウスの仮面を貫くかのようだった。「お前、仮面の騎士よ。お前の剣は、真の誇りの炎に比べればただの小さな残り火に過ぎない。俺はプライドだ。俺の炎は守るためではなく…俺より劣るものすべてを焼き尽くすためのものだ。」

 最初のスライムが俺たちに向かって飛び跳ねてきた。その体はうねり、酸を飛び散らせた。俺は反射的に剣で切り裂いた。その液体は地面に飛び散り、岩を煙を上げて溶かした。

「なんだ…この粘液は岩まで溶かせるのか?」俺は一歩後ずさり、冷や汗がサバンナの熱さと混ざり合った。

 ピタは震える手で本を開き、口から呪文を唱えた。空中に光るシンボルが現れ、魔法陣を形成した。「こいつらはただのスライムじゃない!人造スライムだ…黒き錬金術の産物…その数は千を超える!」

「千?」俺は息をのんだ。

 ヴェロリアは一歩前に進み、弓を高く掲げた。その矢には炎が燃え盛り、太陽すらも霞むほど眩しかった。「ならば…全部燃やしてしまおう。」

 プライドは満足そうに微笑んだ。それが彼の望んだ答えだったかのようだった。「ああ…その誇りを見せてみろ。そして俺が…真のプライドの前に、お前の炎がどれほど脆いかを見せてやろう。」

 乾いたサバンナは、緑の粘液の海へと変わった。スライムの波が這い、跳ね、へばりつき、不快な水音を立てて絶叫し、鳥肌が立った。何千もの小さな赤い目が一斉に俺たちを見つめていた―その視線は虚ろで、だが貪欲だった。まるで一つのことしか知らない何千もの腹を空かせた胃のようだった。

 俺は剣を抜き、その黒曜石の刃はヴェロリアの炎の矢を反射して光っていた。「囲まれないように、持ちこたえろ!」と俺は叫んだ。

 ダリウスが最前線に躍り出た。その体はまっすぐで、胸の鎖がチャリンと鳴り、炎を噴き出して爆発した。彼は剣を振り回し、燃え盛る赤い炎の弧を描いた。一振りで、数十体のスライムが切り裂かれ、その体は有毒な緑色の煙になって蒸発した。

 しかし、一体が破壊されるたびに、地面からさらに十体が出てきた。

「キリがない!」ダリウスは唸った。

 ヴェロリアは馬車の上に立ち、その小さな体は炎の弓から放たれる光を浴びてまっすぐ立っていた。最初の矢を放つと、炎の塊は飛んでいき、一度に数十体のスライムを襲った。爆発が大地を揺らし、サバンナを炎の海へと変えた。その熱さは肌を突き刺し、空気を震わせた。

 スライムたちは不快な水音で叫び、その体は沸騰したが…止まらなかった。炎の燃え盛る向こうから、何百ものスライムが恐れることなく、怯むこともなく、這い続けてきた。

 そばにいたピタは、震える手で本をしっかりと掴んだ。魔法陣が開き、青いシンボルが素早く回転した。「アクアパージ!」と彼は叫んだ。薄い空気の中から巨大な水の波が現れ、燃えているスライムを洗い流した。水と炎が混ざり合い、スライムを黒い濃い蒸気へと爆発させる音が空を満たした。

 俺自身は、一度に三体のスライムに襲われていた。一体が俺の肩にくっつき、まるで酸が肉を焼くかのように、皮膚を通して血を吸っていた。「くそ!」俺は強く剣を振り、その黒曜石の刃がスライムを二つに切り裂いた。

 だが、その液体が俺の肌にへばりつき、その焼けるような痛みが骨まで染み渡った。俺は歯を食いしばり、痛みに耐えた。

「リアム!」ヴェロリアが叫び、小さな矢を俺に向かって放った。その炎はまだくっついているスライムに命中し、燃やし尽くして剥がした。

 俺は息を切らした。「ありがとう、姫。心配しないでくれ、まだ立っている。」

 ダリウスはスライムの群れの真ん中に飛び込み、その体は炎の隕石のようだった。彼は剣を地面に打ち付け、何百ものスライムを空中に投げ飛ばす爆発の波を作り出した。彼らの体はバラバラに砕け散り、一部は燃え落ち、一部は再び結合しようとうねり続けた。

 ピタは本を閉じ、額から汗が滴り落ちた。「奴らの数は…千を超える。これはただの妨害じゃない。呪われた部隊だ…プライドが直接生み出したんだ!」

 それまで俺たちからそう遠くない黒い岩の上に立っていたプライドは、ただ満足そうな笑顔で見つめていた。彼の両腕は組まれ、風が止まっているにもかかわらず、彼の赤いローブは優雅に揺れていた。

「見ろ」と、彼の声は穏やかだが突き刺さるようだった。「お前たちがどう戦い、持てる力のすべてを振り絞っているか…たかがスライムを相手に。最も低級な生き物、ゴミを相手にな。」

 俺は振り返り、怒りを抑えた。「これをゴミだと?何千ものスライムだぞ、その酸は岩を溶かせる!お前は人間を遊びで苦しめているんだ!」

 プライドは皮肉な笑みを浮かべ、生徒に対する教師のようにわずかに頭を下げた。「それこそが、俺の偉大さの証拠だ。最も弱い生き物でさえ…俺の手にかかれば…お前たちが対処できない軍隊となる。それがプライドの意味だ。俺は卑しいものを武器へと高め…お前のような傲慢な者を屈服させる。」

 ヴェロリアは歯を食いしばり、一度に三本の矢を放った。三つの炎の光が輝き、プライドの方向を襲った。しかし、それらが届く前に、スライムが突然飛び出して、盾のように彼の体を覆った。矢は爆発し、数十体のスライムを破壊したが、プライドは傷一つなく立っていた。

「見たか?彼らは俺のために喜んで死ぬのだ」と彼は満足げに言った。「お前たちの信奉者も同じことができるか?」

 ダリウスは怒って咆哮し、プライドに向かって飛びかかったが、何百ものスライムが同時に飛び出して、彼の道を塞いだ。

 俺は剣を振るい、ヴェロリアは矢を放ち続け、ピタは絶え間なく呪文を唱えた。しかし、俺たち三人が懸命に戦っても、スライムの数は増え続けた。

 汗が滴り落ちた。息が荒い。肩の傷から血がまだ滴っていた。だが、俺は一つだけ知っていた―ここで負けるわけにはいかない。

 俺は剣を地面に突き刺し、大声で叫んだ。「この忌まわしい緑の粘液だけで、俺たちの誇りを打ち砕けると思うな!俺たちは立つ…守るべきものがあるからだ!」

 プライドは俺をしばらく見つめ、そして大きく笑った。「素晴らしい…その誇りを語り続けろ。全て聞きたい…俺がそれを粉々に砕く前に。」

 大地が震えた。

 何千ものスライムが飛び跳ね続けているだけでなく、はるかに巨大な何かが地中から動いているからだった。

 ヴェロリアは一瞬弓を下ろし、顔が強張っていた。「今度は何だ…?」

 乾いたサバンナにひび割れが現れた。その大きく開いた裂け目から、腐った溶岩のように黒紫色の液体が噴出した。その酸性の臭いは鼻を突き、肺を焼いた。その液体の中から、何かが上昇し始めた―恐ろしく、巨大で、その影が太陽を覆い隠した。

 巨大なスライムだった。その体は濃い黒紫色で、絶えず泡立つ粘液の湖のようだった。その燃えるような赤い目はオベリスクほど大きく、その体から地面に落ちる一滴一滴が、砂をガラスに変えていた。

 ピタはすすり泣き、顔は青ざめていた。「あれは…ただのスライムじゃない…あれは、Eランク部隊のボス、怠惰なる嘆きの王だ…だが…プライドが奴を呼び出したのか?」

 プライドはゆっくりと拍手をした。その音は傲慢に響いた。「見ただろう?『ゴミの王』ですら、俺に屈服する。これが傲慢なる大司教の力だ。お前たちは、山に挑もうとするアリに過ぎない。」

 俺は剣をさらに強く握りしめた。手は震えていたが、それは恐怖からではなく、怒りからだった。「アリだって噛みつくんだ、罪人よ。」

 巨大なスライムは体を持ち上げ、そして津波のように落ちてきた。大地は激しく揺れ、何千もの小さなスライムが四方八方に投げ飛ばされた。紫色の粘液の波が、俺たちに向かって押し寄せた。

「身を隠せ!」俺は叫んだ。

 ダリウスがヴェロリアの前に立ち、彼の胸の鎖が赤く輝いた。彼は剣を掲げ、地面に打ち付け、巨大な炎の壁を作り出した。炎は高く燃え上がり、紫色の粘液の波を食い止めた。炎と粘液が衝突するジューという音が響き、有毒な濃い霧が発生した。

 ヴェロリアは馬車の上に上がり、その巻き毛は風になびき、鋭い目は輝いていた。「光の矢の炎…燃え尽きろ!」と彼女は叫んだ。

 彼女が弓を引くと、その手に炎の矢が現れた―大きく、その輝きは小さな太陽のように眩しかった。矢が放たれると、それは霧を突き抜け、巨大なスライムの体に直接命中した。

 BOOOM!!!

 爆発が大地を揺るがした。炎の波が紫色の粘液を飲み込み、巨大なスライムは身悶え、その体は破裂した。遠くから、粘液の叫び声が、千人もの人々の叫び声のように聞こえた。

 しかし、炎が収まると、スライムはまだ立っていた―体半分は燃えていたが、他の部分は逆に膨らみ、素早く回復していた。

 プライドは顔を手で覆って笑った。「アハハハハ!素晴らしい!見ろ、お前の最高の攻撃ですら、奴を空腹にさせただけだ。お前の炎は奴の体の餌なのだ!お前が燃やせば燃やすほど、奴は強くなる!」

 ヴェロリアは驚き、その手は震えていた。「どうして…?」

 俺は前に飛び出し、俺に向かって這い寄ろうとする小さなスライムを切り裂いた。「止まるな、ヴェロリア!奴の言葉に惑わされるな!」

 プライドは頭を上げ、その目が赤い光を放った。「俺の言葉はただの言葉ではない。真実だ。お前たちは偉大さに抗っている…そして偉大さに敵うものなどない。」

 ダリウスは咆哮し、馬車を襲おうとする巨大な粘液を切り裂いた。「ならば、その真実をこの剣で引き裂いてやる!」

 戦いの波はさらに激しさを増した。俺は数十体の小さなスライムを切り裂き、ピタは次々と本を開き、盾の呪文や瞬間移動の呪文を唱えて、致命的な攻撃から俺たちを救った。ヴェロリアは炎の矢を放ち続け、今度はより制御し、巨大なスライムの弱点を狙った。

 しかし、戦えば戦うほど、これはただスライムと戦っているのではないことが明らかになってきた。これはプライド自身の傲慢さとの戦いだった。

 黒い岩の上から、プライドは両手を広げた。赤いオーラが巨大なスライムを包み込んだ。その体は震え、さらに大きく膨れ上がり、その影がサバンナ全体を覆い尽くすまでになった。

「聞け、俺の軍勢よ!」プライドの声は、逆の祈りのように響いた。「俺の人生はお前たちの栄光であり、お前たちは俺の栄光だ!すべての生き物は、この偉大さにひれ伏すがいい!」

 巨大なスライムは咆哮した。その体から何百もの粘液の手が出現し、空と大地を飲み込もうとするかのように、あらゆる方向に手を伸ばした。

 俺は息を切らし、剣を見つめた。「このままじゃ、俺たちはここで全員死ぬ…」

 ヴェロリアが俺の方を向くと、その目は燃え上がっていた。「リアム…何か計画があるんでしょ?」

 俺は大きく息を吸い、肩の痛みに耐えた。「計画じゃない。ただの決意だ。」

 そして俺は前に飛び出し、剣を高く掲げ、一人で巨大なスライムに挑んだ。

 プライドは満足そうに微笑み、目が輝いた。「ああ…素晴らしい。お前の力を証明してみろ…そして俺自身の手で、お前を破壊してやる。」

 俺たちの共同攻撃の後、巨大なスライムはついに崩壊した。その体は破裂し、毒の粘液の雨となってサバンナに降り注いだ。俺はよろめき、息が荒かったが、安堵する暇もなく、プライドは再び手を上げた。

 その顔は青ざめていたが、傲慢な笑みは消えていなかった。「素晴らしい…お前たちはスライムの王を打ち倒した。だが、試練はここで終わりだと思ったか?お前たちはまだ俺の門をくぐってもいない。」

 彼は呪文を唱え、その声は歪んだ聖なる祈りのようだった。ひび割れた大地から、黒い煙が噴出し、巨大な体を作り上げた。

 何百、そして何千ものバーバリアンが出現した―その一体一体が普通の人間二倍の背丈だった。彼らの体は火傷の跡で覆われ、頭は狼、雄牛、鷲、そしてワニといった動物の頭蓋骨に置き換わっていた。彼らは錆びた斧、折れた槍、釘だらけの棍棒といった巨大な武器を手にしていた。

 彼らは一斉に咆哮し、その声で大地が震えた。

 ヴェロリアは強張り、手に持つ弓が震えた。「まじで…また何千も…?」

 俺は手に傷を負いながらも剣を握りしめた。「選択肢はない。奴らを片付けるんだ!」

 ダリウスが前に進み出た。仮面の下の目が燃えていた。「ここは俺に任せろ。」

 彼は鎖付きの剣を地面に叩きつけ、赤い炎の爆発が四方八方に広がった。バーバリアンは焼け焦げたが、さらに多くが現れ、恐れることもなく、ただ血に飢えていた。

 そして、戦いが始まった。

 俺は雄牛の頭をしたバーバリアンを切り裂くと、その黒い血が飛び散って俺の顔を濡らした。俺の後ろにいたピタは呪文を唱え、光の盾を生成して、遠くから投げられた槍から俺を守った。ヴェロリアは炎の矢を一本ずつ放ち、矢は一度に三、四体のバーバリアンを貫き、彼らの隊列を崩壊させた。

 しかし、その数は…多すぎた。

 プライドは遠くから、小さく拍手をしていた。「素晴らしい…実に素晴らしい。だが、どれだけお前たちが持ちこたえられるか、見せてもらおう。」

 ダリウスは咆哮し、バーバリアンの血でその体を濡らしていた。彼は鷲の頭をしたバーバリアンの首を掴み、片手でへし折り、その体を使って別のバーバリアンを叩きつけた。

「弱い…お前たちは全員弱い!」と彼は叫び、その唸り声に俺はゾッとした。

 俺はヴェロリアの方を向いた。「彼…制御できていない。」

 ヴェロリアは頷いたが、それでもさらに大きな炎の矢を放った。次々と起こる爆発が、夜のサバンナを炎の海へと変えた。

 30分間の戦いの後、何百体ものバーバリアンが倒れたが、残っている数はまだ多かった。

 プライドは再び手を上げた。「くだらない遊びは終わりだ。お前たちが本当の試練と戦う時が来た。」

 大地が激しく揺れた。地面の裂け目から、身長5メートルもある巨大な姿が現れた。その体は鋼のように硬い筋肉で覆われ、無数の戦闘の傷で満たされていた。彼は古いヴァイキングの兜をかぶり、人間の体ほどの幅がある巨大な剣を持っていた。

 それはDランクのボス―永遠のヴァイキングだった。

 彼の一歩一歩が大地を震わせた。その息遣いは獣の唸り声のようであり、その目は虚ろで、まるで破壊の本能しか持っていないかのようだった。

「奴は戦う理由すら必要としないんだ」とピタは怯えながら呟いた。「あれはただ一つのことのために作られた体…戦争のためだ。」

 ヴァイキングは激しく咆哮し、俺に向かって剣を振り下ろした。俺は自分の剣で受け止めたが、その力は凄まじかった―俺の手は弾かれ、体は遠くまで吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

 ダリウスが前に進み出て、鎖を剣にぶつけ、耳をつんざくような金属音が鳴り響いた。「ハッ…ついに、ふさわしい敵が現れたか!」

 ヴァイキングはただ鼻を鳴らし、次々と攻撃を繰り出した。その剣は巨大なわりに非常に速かった。ダリウスは受け流したが、何度かよろめいた。それでも、彼は決して後退しなかった。

 俺は息を切らしながら立ち上がろうとした。「強すぎる…その革鎧は鋼のように硬い…」

 ヴェロリアは弓を引き、炎の矢は大きくなり、直接ヴァイキングの胸に放たれた。大きな爆発が起こったが、煙が消えた時、ヴァイキングはまだ立っていた。火傷が体を覆っていたが、彼は微動だにしなかった。

 プライドは満足そうに笑った。「美しいだろう?この完璧な創造物を見ろ。頑丈さ、力、破壊―それこそが人生の真の姿だ。そしてお前たちは…流れに逆らおうとする敗者だ。」

 ヴァイキングは咆哮し、ダリウスを蹴り飛ばして遠くまで飛ばした。彼は剣を高く掲げ、俺に向かって振り下ろした。俺はかろうじて避けることができた―その一撃は地面を破壊し、大きなクレーターを作った。

 ピタは叫び、本を開いて瞬間移動の呪文を唱えた。一瞬で、ヴァイキングの体は数百メートル後方に移動した。

 俺は息を切らしながら振り返った。「お前…あんな重いモンスターを瞬間移動させたのか?!」

 ピタは震え、鼻血を流していた。「一度だけだ…もう繰り返せない。」

 ヴァイキングは再び咆哮し、俺たちに向かって走り出した。

 俺は足が震えながらも、再び剣を構えた。「ならば…今、奴を仕留めるしかない。」

 プライドは、俺たちが皆殺しにしたスライムとバーバリアンの死体の山の上にまっすぐ立っていた。傲慢さに満ちたその目は、生きる機会を与えられたばかりの小さな昆虫を見るかのように俺たちを見ていた。

「お前はEランクとDランクのモンスターを簡単に倒せたな…」彼の声は、耳を突き刺す呪文のように響いた。「…ならば、A、B、Cランクの三体を一度に相手にしたらどうかな?この後もまだ歩いていられるか?」

 彼は両手を空に高く掲げ、血のような赤い光が魔法陣を形成した。その渦から、三つの姿がゆっくりと現れた。まるで具現化された悪夢のようだった。

 Cランクモンスター:陰鬱な女

 長く乱れた髪の女で、その目は虚ろで、顔は絶望に満ちていた。体は痩せこけ、その足取りは重く、口からはかすかな溜息だけが聞こえた。

 黒い影が彼女の動きすべてに続き、魂を渇望する手のように地面を這っていた。

「…ああ…これに何の価値があるの…」と彼女はかすかに呟いた。まるで世界が意味を失ったかのようだった。

 Bランクモンスター:K-POPオカマ

 きらびやかなピンクの衣装を着た派手な姿。髪は黄金色に染められ、唇は真っ赤な口紅で厚く塗られていた。彼は優雅に踊り、アイドルの歌を歌い始めると、その声は甲高くなった。

「俺の存在は恵み!みんなひざまずいて、俺のコンサートを見ろ!」その声は耳をつんざくようで、ヴェロリアはすぐに耳を塞いだ。

 その声の力は本物だった―甲高い音階から、大地を砕き体を傷つける衝撃波が放たれた。

 Aランクモンスター:偽りの司教

 大司教のような神聖な白い服を着た男。その顔は穏やかに見えたが、その目には狂気を秘めていた。彼が口にする言葉はすべて祈りのようだったが、腐敗に満ちているように感じられた。

 彼はある一つの名前を流暢に繰り返していた。

「カイト…カイト…来い…私はお前を呼んでいる…」

 しかし、時間が経つにつれて、彼の顔は変わり始めた―その皮膚が裂け、聖なる仮面の下から黒い悪魔が姿を現した。

 三体は一列に並び、俺たちを軽蔑するように見つめた。そのオーラはあまりにも強く、俺はほとんど息ができなかった。

 ヴェロリアは弓を強く握りしめた。「リアム…これは馬鹿げている。三つのランクが一度にいるなんて!」

 俺は膝が震えながらも、剣を掲げた。「選択肢はない。戦うか…ここで死ぬかだ。」

 プライドは冷たい声でクスクス笑った。「ああ。その通りだ。お前たちが…人間に値することを俺に見せてみろ。」

 Bランクモンスターは優雅に前に出た。その手の動きはしなやかで、一歩一歩がコンサートステージの上で踊るようだった。彼は回転し、そして大声で叫んだ。

「この顔面~!!」

 その甲高い声は、まるで音爆弾のように爆発した。大地が砕け、空気が揺れ、俺の体は5メートルも後ろに吹き飛ばされた。

「うぐっ―!」俺はハンマーで殴られたかのように感じる腹を押さえた。

 ヴェロリアはすぐに弓を引き、炎の矢を手に灯した。「黙れ、安っぽいピエロが!」彼女は矢を彼の顔に正確に放った。

 Bランクはただクスクス笑うだけだった。炎が彼の髪を焦がしたが、彼はさらに狂った。「俺の髪がー!!誰も俺のスタイルを壊してはならない!」とヒステリックに叫び、地面を蹴って驚くべき速さでヴェロリアに向かって突進した。

 ヴェロリアはぶつかりそうになったが、大きな手が彼の拳を止めた。

「俺の聖なる指導者に、指一本触れるな」その低い声は、ダリウスの鉄仮面の下から聞こえた。

 一瞬の動きで、ダリウスはBランクの手をひねり、骨が折れる音が聞こえた。モンスターは音痴な歌手のように叫んだ。

「お前は痛みを感じないのか?!」Bランクは叫び、その体はもだえ苦しんだ。

 ダリウスはうなだれ、その声は重かった。「痛み?その言葉は俺の辞書からとっくに消えている。」彼はBランクの顔を地面に叩きつけ、何度も何度も押し付け、地面をひび割れさせた。

 その間、俺はAランクと対峙しなければならなかった。

 偽りの司教は優雅に俺に向かって歩み、その神聖な微笑みは俺の心を突き刺した。「若者よ…本当に神の僕と戦いたいのか?」

 俺は黒曜石の剣を掲げ、恐怖を抑えた。「その神聖な芝居は止めろ。お前は人間の皮をかぶった悪魔だ。」

 彼は静かに笑い、その神聖な顔は少しずつ裂け始め、その下に隠された黒い肌と鋭い牙を見せた。「その通り。だが、何が違う、リアム?人間は常に彼らが神聖だと見なす顔を崇拝する…その裏にある真実を崇拝するのではない。」

 彼は俺の視界から消えた。

「後ろだ!」ピタが叫んだ。

 反射的に、俺は稲妻のように速く来た彼の剣の一撃を受け止めた。激しい衝突音が響き、火花が散った。彼の剣は非常に速く、まるで光そのものだった。

 俺は数歩後ずさりせざるを得なかった。「速すぎる…信じられない…」

「リアム!」ヴェロリアが叫んだ。彼女はまだBランクの声の圧力を抑えながら戦っていた。「私が手伝う!」

 彼女は大きな炎の矢をAランクに向かって放ったが、男はただ振り返り、短い呪文を唱えると、その炎は風に吹かれたロウソクのように消えた。

「取るに足らない炎では、聖なるものを燃やすことはできない」と彼は傲慢に言った。

 俺は顔をしかめた。「聖なるものだと?お前はただの役者だ。」

 俺は前に飛び出し、全身の力を込めて斬りつけた。司教は二本の指だけでそれを受け止め、俺の剣は空中で止まった。

「お前は弱い、リアム。あまりにも弱い。」

 俺は血が沸騰するのを感じた。素早く、連続攻撃を繰り出した―水平斬り、垂直斬り、突き、そして剣の回転。しかし、俺の攻撃はすべて小さな動きでかわされた。まるで俺が木刀で遊んでいる子供のようだった。

「なんだこれは?」俺は息を切らして呟いた。

 司教は顔を近づけ、俺の耳元で囁いた。「お前は小さな影にすぎない。カイト…彼こそが俺が望む者だ。お前じゃない。」

 俺は咆哮し、剣を彼の胸に突き立てた。初めて、彼は一歩後ずさりした。

 その間、ダリウスはまだもがいているBランクの体を抑えていた。「ヴェロリア!今だ!」

 ヴェロリアは空中に飛び上がり、その弓は小さな太陽のように輝いていた。炎の矢が爆発し、Bランクの派手な体を黒く焦がした。モンスターは地面に落ち、かすれた声で叫んだが、まだ生きていた―その声はさらに耳をつんざくようだった。

 ピタはついに本を開いた。「もう十分だ!黙れ!」彼は瞬間移動の呪文を唱え、Bランクの体を遠くの空っぽの砂漠へと移動させた。その耳をつんざくような叫び声は、ゆっくりと俺たちの耳から遠ざかっていった。

 俺は安堵してピタを見つめた。「よくやった…」

 だが、まだ終わっていなかった。偽りの司教は手を上げ、傲慢な笑みを浮かべて俺たち全員を見つめた。「一体が倒れた、二体が残っている。まだ戦うか?」

 俺は剣を掲げた。その先からは血が滴っていた。「俺たちはまだ始まったばかりだ。」

 ひび割れた砂漠の暗闇から、かすかな足音が聞こえた。鎖を引きずる音、重い息遣い、そして心を突き刺す長い溜息。

 どこからともなく現れた黒い霧の中から、一人の女がゆっくりと歩いてきた。その長い髪は乱れ、顔の半分を覆っていた。その目は虚ろで、顔は青ざめており、口元からはかすかな呟きが聞こえるだけだった。

「…なぜ私はまだ生きているの…?なぜあなたたちはただ降伏しないの…?」

 それがCランクだった。その鬱々としたオーラは非常に分厚く、まるで空気が色を失ったかのようだった。

 ダリウスは仮面の下で歯を食いしばった。「また安っぽい奴か?」彼は剣を上げたが、突然、黒い影が地面から這い上がり、彼の足と手を巻き付けた。

「私を侮らないで…」そのかすかな声が震えた。「…あなたの隠された罪悪感の中に、あなたを引きずり込んでやる…」

 影は長い手に変わり、ダリウスの首を締め付けた。通常なら揺るがないはずの彼の逞しい体はぐらつき、ひざまずき、その目は震えていた。

「彼を解放しろ!」ヴェロリアが叫んだ。彼女は炎の矢を影の手に放った。しかし、炎は影を通り抜けるだけで、まるで影が物質ではないかのようだった。

 ヴェロリアは罵った。「くそ、俺の攻撃が役に立たない!」

 ピタは本を開き、その呪文が輝いた。「俺が浄化の呪文を試してみる―!」

 しかし、それが終わる前に、どこからともなくそのかすかな声がピタの耳元で囁いた。「あなたは…かつて誰かを見捨てたわね?あなたは臆病者…」

 ピタの目は見開かれ、彼の呪文はかき消された。「どうして…それを…知っているんだ…?」

 俺は胸に圧力を感じた。影は俺の方にも這い寄ってきて、俺の剣にへばりつき、そして俺の腕へと這い上がってきた。突然、俺自身の罪悪感が無理やり呼び起こされた。俺が父親を救えなかった時の彼の顔だ。

「やめろ…それを見せるな…」俺は叫んだ。

 陰鬱な女は歩き続け、その溜息はさらに突き刺さるようだった。「…あなたたちは皆同じ…ただ強いふりをしているだけ…でも内側は、後悔に満ちている…」

 ダリウスは唸り、まだ影に絞めつけられていた。かすれた声で彼は応えた。「俺は…もうずっと前から…罪悪感なんて気にしちゃいない…」

 影の手はさらに強く締め付けた。彼の鉄仮面にひびが入る音が聞こえた。

 俺はもう我慢できなかった。大きな叫び声を上げて前に進み、その影を斬りつけた。俺の黒曜石の剣は震えたが、今回は俺の斬撃は成功した―影は二つに割れたが、すぐに再び一つになった。

「そう簡単には破壊できない…」俺は息を切らした。

 ヴェロリアは目を閉じ、大きな矢を準備した。炎が明るく燃え、小さな龍を形成した。「ならば…何も残らないまで焼き尽くしてやる!」

 彼女はその矢を放った。眩しい炎の爆発が起こり、大地が震えた。一瞬、影は消えた。陰鬱な女は後ろに押しやられ、髪がなびき、その陰鬱な顔は虚ろに俺を見つめていた。

「…痛い…痛いのは嫌…」その声は震え、今では怯えた子供のようだった。

 俺はよろめき、一歩前に踏み出した。「お前は…俺たちの罪悪感の影にすぎない。だが、俺たちはまだ生きている、そして俺たちは俺たちの道を歩み続ける!」

 残された力を振り絞って、俺は黒曜石の剣を彼女の心臓に正確に突き刺した。

 彼女の体は止まり、その虚ろな目は俺を見つめた。「…生きるって…ただ苦しむだけ…」と彼女は囁き、そしてその体は影の破片になって、風に吹き飛ばされて消えた。

 ダリウスは地面に倒れ込み、深呼吸をした。「ふぅ…やっと解放された…」

 ヴェロリアは弓を下ろし、その顔には汗が流れていた。「あれは…危なかったわ。もう少しで…」

 ピタはまだ震えながら、本を閉じた。「俺…もう少しで制御を失うところだった…」

 俺は剣を地面に突き刺し、震える体を支えた。「いや…俺たちはまだ立っている。それはつまり…俺たちの勝ちだ。」

 しかし、拍手の音が聞こえてきた。

 パチ…パチ…パチ…

 罪人の司教プライドが、尊大な笑みを浮かべて俺たちの上空を浮遊していた。「見事だ…俺の三つのランクを退けたか。だが…まだ終わっていない。俺はここにいる。」

 俺は上を向いた。息は荒く、手は剣を握りしめていた。「ならば…お前の番だ、プライド。」

 闇の剣が俺の体を貫いた。血が噴き出し、すでに不毛な大地を濡らした。息が詰まり、視界がかすんだ。目の前にいる罪人プライドは、まるで全てを勝ち取ったかのように傲慢な目で俺を見ていた。

「簡単だな、リアム。罪に抗うと言われる英雄が?お前はただの脆い人間だ。すべては俺にひれ伏す。世界はそうあるべきなのだ―俺の支配の下に。」彼の声は、心を突き刺す詩を紡ぐかのように、高く響き渡った。

 俺はかすかに微笑んだ。体は倒れ、血が流れていたが、心の中では分かっていた…俺たちの計画はうまくいっている。

 クシャッ!

 肉が突き刺さる音が響いた。今度は俺の体からではなかった。一本の剣が、その「聖なる司教」の心臓をまっすぐに貫いていた。彼の顔は驚きに満ち、その目は信じられないほど見開かれていた。

 そして、彼が振り返ると…その剣を握っていたのは、俺だった。リアムだ。

 そう、俺だ―体は無傷で、彼の後ろに立って舌を出し、片方の目をウインクしていた。

「かかったな」と俺は冷たく言った。

 彼が先に刺した体はただの幻影だった―ピタと入れ替えた魂の術だ。あの騒々しいオカマのBランクモンスターを、俺たちは器として利用したんだ。俺の体は一瞬移動させられ、彼が刺したものは、偽の魂を持った人形に過ぎなかった。

 罪人プライドは激しく咳き込み、血と唾液が口から流れた。「ば、馬鹿な…俺は…俺は完璧だ…俺は―」

 炎の光が閃いた。ヴェロリアは弓で最後の矢を放ち、その傲慢な体を焼き尽くしてよろめかせた。ダリウスは怒りの咆哮を上げ、彼の炎の剣を突き刺し、プライドの体を叩きつけて倒した。

 プライドは死の瀬戸際で苦々しく笑った。「ハハハ…お前たち…これが終わりだとでも思ったか?俺は…不滅だ…俺の罪は…殺せやしない…」

 その瞬間、彼の体は暗い霧の破片となって爆発し、跡形もなく消え去った。ただ、その笑い声の残響だけが空気に残った。

 静寂が訪れた。俺たちの息遣いの音だけが残っていた。

 俺は地面に座り込み、まだ脈打つ傷口を押さえた。ピタはすぐに治癒の呪文を唱え、その手から出る青い光が俺の体の裂け目を塞いだ。

「もし本当に死んでたら、計画は台無しだったぜ」とピタは青ざめた顔で呟いた。

 俺は弱々しく笑った。「ああ…でも、幸い俺は筋肉だけじゃなくて、頭脳も持ってるんだ。」

 ヴェロリアは弓を下ろし、その目は穏やかになった。「この気持ちは何だろう…まるで生まれ変わったようだわ。この戦いは…私一人では歩めないことを証明してくれた。」

 ダリウスは深く頭を下げ、俺たち三人に敬意を示した。「感謝する。お前たちがいなければ、俺とヴェロリア姫はきっと命を落としていただろう。この恩は、決して忘れない。」

 俺はその真剣さに戸惑った。「おいおい、そこまでしなくても。俺たちは首都間の仲間だろ、敵じゃない。」

 ヴェロリアはかすかに微笑み、静かに言った。「次に会うとき、私たちがただの仲間としてではなく…真の友人として会えることを願っているわ。」

 プライドが消えた後、パイロの熱気は和らぎ始め、まるで大地そのものが安堵の溜息をついたかのようだった。ヴェロリアとダリウスは馬車に乗り込み、パイロ首都へと戻っていった。俺とピタは、彼らの後ろ姿が地平線に消えるのを見送った。

 ピタは俺の肩を叩いた。「リアム、俺たちは成功した。一つの罪と対峙した。」

 俺は遠くの夕焼けを眺め、オレンジ色の光が乾いたサバンナを照らしていた。心の中で、俺は呟いた。もし一つだけで地獄のようだったなら…他の六つの罪はどうなるんだろうか?

 俺たちは馬に乗り、勝利の報せを持ってルミネ首都へと帰還した。


申し訳ありませんが、ここ数日、ストーリーの送信が少し遅れてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ