表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

 愛情に決まった形などないのでしょう。


 伝える言葉に形式などないのでしょう。


 恩返しに作法などないのでしょう。


 きっとそんなものなのでしょう。


 そう聞いた。


 彼はこう答えた。


「そんなもんだ」


 それならば伝える言葉に意味なんてあるのでしょうか?


 誰かが何かを言ったとして、その言葉の意味を正確に理解し、解釈する人などいるのでしょうか?


 言った本人の意志と聞いた人物の解釈は全く違ったものになるのではないでしょうか。


 手紙を書くということに何の意味があるのでしょうか。


「それでも人は何かを伝えようとする生き物なんだろう」


 私の問いに彼は答えてくれた。


 彼はそう答えてくれた。


「でも、もしそうなら。誰もその人の言葉の本当の意味を知らないことになります」


「世の中はそういうものだよ」


 確かにそうなのでしょう。


 そういうもので、そういう世界で、人とはそうなのでしょう。


「それでも伝えなければならないのでしょうか?」


「伝えようとしなければ何も伝わらない違うかい?」


「確かにその通りなのでしょう」


 でもそうなのだとしたら誰も相手の本心を知らないことになってしまうのでしょう。


「そんなものなんだよ。Ms.ハイデガー、あなたにも次の依頼があるだろう。私は仕事に戻るよ」


「私もそうします」


 私はそう言い、彼の執務室を後にした。


 私が最近受けている仕事は元軍人や現役軍人の代筆の仕事の依頼だ。


 そろそろ私は出発しなければならない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ