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14、ネコの朝の弱さは凶悪極まりない

 ネコはとにかく朝が弱い。

 なかなか起きられないのは冬場だけで普段はそうでもないと主張するが、もう四月に入った。朝の様子に変化は見られない事を思うと怪しい事この上ない。

 まぁ今日はこっちは休みだし、寝かせといて朝飯作るか。

 こっちが先に起きるのもいつもの事で、そうなると行くなとばかりに細い腕が伸びて来るのも、いつもの事だ。


 ほぼ寝てるんだと思う。

 じゃないとこんなに素直に抱きついてこないし、甘く朝のキスをねだってくるはずが無い。


 瞼の降りたままのニーニャに求められるまま軽く口付けて、一度では足りないとまだ腕を緩めないネコにもう一度繰り返すと満足したようにふにゃりとしまりなく笑い、ごろごろ・ぐるんぐるん言い出す。

 こっちの事情もお構いなしに好き勝手した挙句、これまた気持ちよさそうに寝やがってまぁ。

 ニーニャの一人用の小さなベッドから布団がめくれないようそっと体を起こすと、珍しく今朝はつられてごそごそと動き出した。

「うう゛ぅー……」

 何かうなりながら布団の中で正座状態でうずくまる。

「まだ寝てていいぞ」

「んー、仕事だし起きる……」

 ほら、少しでも目が覚めるとそうやってすぐに強情を張る。

 のそのそとベッドの縁に座り、室内用の上着を羽織ってから上着の中に入ってしまった長い髪を手櫛でまとめて引き出すのを「寝てりゃいいじゃねぇか」と言いながら見るとはなしに眺め━━「あ」と気付く。


 白い首の後ろ、うなじの辺りがうっすらと赤くなっていた。


 ネコのオスもトリのオスも行為中、相手の後ろ首を噛む習性があったりする。

 さすがに強く噛んだりはしないが、口付けや軽く食んでみたり甘噛みすると反応がよく、つい執着してしまう部分はある。

 仕事の前日は気をつけてるつもりだったが、どうも抑えがきかなかったらしい。

 今日はニーニャは仕事で、さすがに悪い事をしたと反省する。


 これ怒るだろうな。

 無意識に手を伸ばし指でなぞると、ビクリと震えてこちらを睨んで来た。

「赤くなってる」

「ッ!」

 首の後ろに手をやると同時に一瞬睨んで来たが、何かに驚いたような顔をして目を泳がせた後は予想に反してそれ以上文句を言う事はなく、「まぁ、今日はちょっと寒そうだしハイネックで行くワ」なんて言って服を探し始める。

「アンタも早く服着なさいよ」

 パジャマの下しか履いてないこちらを呆れているのか、ニーニャが手を止めてこちらを見ている気配に気付いたのはふとかゆみに近い違和感を感じた右肩を左手で撫でた時だった。

「痛い?」

 珍しく心配そうな細い声に顔を上げると、やはり曇った表情のニーニャと目が合った。

 時々、背中や肩にうっすら蚯蚓腫れが走ることがあって、こいつはそれを気にしていない風を装ったり、憎まれ口を叩いたりするが実はとても気にする。

 その様子からすると今朝もそうなんだろう。しかもちょっと派手なのかもしれない。

 こっちは鳥なんで首も少し長いし可動域も広い。自分の背中を確かめて有様に満足したいところだけど、それをするとコイツまた気にするしな。

「ごめん」

 滅多に見せないしおらしい態度に思わず笑みが漏れる。

 初めにそうなった時、「家から制服で良かった」とも言っていた。コイツらしい。

 こっちとしちゃ職場で見られようが気にしないんだが。機会さえあれば脱いでやりたいくらいなんだが、さすがにそんな機会はない。


 ネコの爪をマナーに則ってちゃんといつも手入れしているのは知ってるし、俺が来ている時は寝る前にもオフィスのOLよろしく澄ました態度を装って爪の先端を丸く整えている。

 だからこんなちょっと引っ掛かいただけの跡なんて、気にしなくてもいいのに。

 むしろ、なあ。

 口元が緩みそうになるのを必死で堪えて、その代わりに言った。


「結婚するか」







こんな濃厚なのにこっちの肉食カップルは2か月くらいワシザキさんが遠慮してたんですぜ。

でもってニーニャさんにキレられたんですぜ。

その詳細をムーン版用に執筆していたのですが、文章がとっちらかってまとまらないわ、三人称が適切になるわで断念。

ギリギリに抑えてこちらにアップしました。


ちなみに黒獅子&転移者パン屋の娘カップルはスムーズでしたわ。

もちろん内容はいたってノーマルで穏やか。

ノーマル過ぎてこちらもムーン版の執筆ならず、です。


ムーン版肉食カップルを執筆する文章力が欲しい。

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