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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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ヒューゼさん宅で

ヒューゼさん宅に着いた僕らは、普通にドアをノックする。

この里の建物には呼び鈴というものはなく、基本的に家を訪ねるときはノックだ。

たぶん、防音設備もそこまで発達していないだろうから、ドアをノックするだけで事足りるのかもしれない。


すると、駆け足でドアの向こうから床が軋んだ音が聞こえてくる。

ヒューゼさんの体格では少しだけ足音が軽いな、と少しながら違和感を感じた。


そして、ドアが開く。

ドアを開けて迎えに来てくれたのはメイド服を纏った少女の使用人であった。


「アオイ様とレイ様ですね。 ヒューゼ様が奥の書斎でお待ちしております」


そういって廊下の奥の扉を手の指先を扉に向けた。

やはり、メイドの服だからであろうか一つ一つの仕草が洗練されているように見える。

もしかして、これがメイド萌えというやつなのかもしれない。

いや、たぶん、違うと思うが。


僕たちはそのままメイドさんの言うとおりに廊下の奥の書斎に着く。

ちなみに、メイドさんは僕たちの背後で待機している。


相変わらず玄関よりも装飾が豪華な扉をノックする。

すると、扉の向こうから「どうぞ」というヒューゼさんらしき声が聞こえた。

そのまま扉を開けると、こちらを見てソファーの上座に座っているヒューゼさんと、それと退治するようにテーブルに足を組みながら不機嫌そうに黄金色の液体を飲んでいるアルジェントヴォルフの姿がそこにはあった。


「遅いぞ青井!! もっと早く帰ってこんか!!」


どうやらお怒りの様子のアルジェントヴォルフ。

『ぷんぷん』という可愛らしい効果音が付きそうな怒り方であるが、これでも侮れないやつだ。

なんていったて、怒らせると僕の体の一部が必ず彼女の手によって必ず消滅するからである。

こんな不死の能力でも持っていなければ、彼女と知り合いになろうとすら思わないだろう。

それ以前に遭遇したくて遭遇したわけではないのだが。


「いやー、中々に調査が難航しちゃって」


「そんなの関係ないのだ!! 私がこやつの退屈な魔術論理や世間情勢などを淡々と話しているのをずっと聞いていたのだぞ!! 」


そう言いながら鋭い目つきで僕を睨むアルジェントヴォルフ。

僕はちらりと、ヒューゼさんことこの状況を作った原因である人に助け舟を出してもらうために視線を移す。


ただ、当の本人は苦笑いを浮かべているだけであった。

いや、苦笑いというか、そちらでその状況を処理してくれという意図がその視線に含まれているのが分かった。


大人はなんて汚いんだッ!!


「そもそも何故、そなたは私を残して、そこの小娘とどっか行っておったのだ!! 我も行きたかったぞ!!」


あー、ぷんぷん怒ってらして子供みたいで可愛いですね~。


当然、口には出さないのだが。


「そなたが我を連れて行ってくれれば、こやつの退屈な話を時間潰しにしなくて済んだかもしれないではないか!! もー!! 今度から一緒に連れて行ってもらうぞ!!」


もう、なんか、ただの幼児にしかならなくなってきた気がする。

僕と初遭遇したときのあの荘厳で威厳のある姿は何処に行ってしまったのやら。

まぁ、今のほうが棘が削れて丸くなったとでも言えなくは無いのだろうか?

どうなのだろう。


取り合えず、頭を撫でることによって落ち着きを取り戻したアルジェントヴォルフだったが、さすがにこんな時間だ。

本題に入らないと、ヒューゼさんの迷惑になるだろう。


「あのー、こちらに座ってもよろしいですか?」

本当は「こちらへお掛けになってもよろしいでしょうか?」という、言葉を使おうと思ったのだが、さすがに退屈な話をして僕を面倒なことに巻き込んだヒューゼさんをに対してそこまで丁寧な言葉遣いをしなくても良いだろうと思ったことによって発したものである。

まぁ、彼が非常にフレンドリーなことはレイさんが彼のことを言っている際に判明していることだけれども。

そして、アルジェントヴォルフは僕の隣に何も言わずに腰を下ろす。


「あぁ、構わない。レイ君は今から使用人に椅子を持ってこさせるからそこに座りなさい」


「お気遣いありがとうございます」


「と、いうことだ。ジェア。椅子をレイ君に持ってきてくれたまえ」


「はい」


端的な返事を返し、こちらへ一礼してから扉を出た

彼女の名前は『ジェア』というそうだが、多分今後一切彼女のことは名前で呼ばないだろう。

まぁ、失礼に当たるから名前は覚えておくけど。

そして、数分経ってジェアさんが椅子を持ってきて、レイさんが座ったところで話が始まった。


・・・・・・


「で、今回の調査の収穫は如何ほどのものだったのかな?」


「はい、腐敗している地帯の状況は範囲が拡大しているだけで、その他は先日の調査となんら変わっている箇所はありませんでした」


「ふむ、他に何かあるか?」


顎に手を当てながら尋ねてくるヒューゼさん。


すると、彼女からの視線が飛んで来た。

どうやら、あの黒い大きな人型のことを僕が話さなければいけないらしい。

僕は挙手をする。


「はい、僕からはなしましょう」


「ふむ、何かあったのかな。 そういえば、アオイ殿の服は随分と汚れてしまっているではないか」


「あ、あぁ、すみません。借り物でしたのに」


僕は頭を下げて謝罪する。


「いやいや、別にいいんだよ。そこまで高級なものを使用した服ではないしね」


どうやら、そこまで高級なものでも無かったらしくそこまで怒りを買うことは無かった。

そこまで心配する出来事でも無かったらしく、このまま頭を下げてもう一回謝罪したほうがいいのではないかとも思ったのだが、ヒューゼさん本人がもうよいと話しているのだ。

それよりも本題の筋を進めたほうがよいだろう。


「それじゃあ、話の本題に戻らせていただきます」


「あぁ、それで向こうで何があった」


ヒューゼさんは改まって聞いてくる。

向こうとは、あの腐敗している地帯のことを言っているのだろう。


「それが、向こうに付いた際に約十数頭の動物の死骸が散乱していました」


「ッ!! ‥‥‥それは本当かな?」


どうやら、ヒューゼさんは信じれないようだ。

それも致し方が無いだろう。


「本当です」


すると、僕を庇う様にレイさんが証言してくれた。

しかし、まだ少々納得していないような顔をしているヒューゼさん。


「もう少しだけ状況を詳しく聞かせてくれないかな」


それから数分間に渡り、先ほどあった状況を僕とレイさんの二人掛りで説明した。


「なるほど‥‥‥」


説明が終わると、それから熟考するかのごとく黙り込んでしまったヒューゼさん。


「おい、青井」


すると、ヒューゼさんが黙るのを見込んだかのように話に割り込んできたアルジェントヴォルフ。

彼女の方に視線を向けると、腰に手を当てて偉そうな態度をとっていた。


「ん? なんだ? アルジェントヴォルフ。 今、大事な話の最中なんだが――」


「そんなこと言ってもようのか?我はそなたらに有益な利益を齎すであろう情報を所有しておるのだぞ?」


「な、何!?」


素直に驚いてしまった。

そういえば、彼女はこの森をエルフ同様に知り尽くしていそうな雰囲気がある。

いや、あるかないかで問われれば無いかもしれないが、かなりの長い時間この森で時間を過ごしているのだ。

知らないことは無いのかもしれない。

しかし、ここで余計なことをしたら怒られるかもしれないので、チラリとヒューゼさんに視線を向ける。

そして、視線を向けたと思った瞬間にヒューゼさんと目が合う。

まだ熟考していると思っていた僕は少しだけ思考が停止したが、我を取り戻すと同時にその視線の意図を理解できた。


要するに、聞き出せということだろう。


ここの問題なんだからお偉いさんであるヒューゼさんが聞き出せばいいのではないか、と思ってしまうのだが、現状この場にいるメンバーでアルジェントヴォルフに好感を持たれている人物が僕しかいないことは分かっている。


僕は明らかなため息をわざとらしくついてアルジェントヴォルフと向き合う。


「それで、どんな事をお前は知っているんだ?」


「ふふーん、ただで教えるとでも思っておったのか?」


出たよ、面倒くさいの。


「はぁ、僕にできることならばやってやるから取り合えず要求を話してみろ」


僕はため息をつきながら、明らかに人目から見てだるそうに問いかけた。


「簡単だ。 今度から遠出する際には我も連れて行って欲しい」


堂々とした態度でそんなことを言うアルジェントヴォルフ。

置いていったことをそこまで不服に思っていたとは予想外であった。

ヒューゼさんがアルジェントヴォルフに用事があるからといって取り合えず僕は何も言わずにヒューゼさん宅に置いて行ったものも、もしかしたら僕が遠出することはアルジェントヴォルフに伝えていなかったのかもしれない。

そうだとしたら、ヒューゼさんは気紛れで人を食い殺しかねないこの狼を話術で制したことになる。

いや、案外こいつ単純だから制するのは簡単かもしれない。


取り合えず、アルジェントヴォルフからの要望を拒否する理由も無い。


「いいぜ。今度から連れて行ってやる」


そう言いながら、頭を撫でる。

すると、気持ち良さそうに目を細める。

本当にこいつは喋らなければ可愛いのに。

まるで小動物みたいだ。


僕は彼女を撫でる作業をやめる。

唐突に止めたからだろうか、少しだけ物足りない顔をするアルジェントヴォルフ。


「また後で撫でてやるからそんな残念そうな顔をするな」


すると顔を赤くするアルジェントヴォルフ。


「そ、そんな顔しとらんわ!? 阿呆なことを言うでない!!」


隠していたつもりなのだろうか。

彼女も僕と同類で感情が顔に出やすいのだろうか。


取り合えず、軽く手であしらって彼女を席に座らせる。


「それじゃあ、説明してもらおうか、アルジェントヴォルフ」


「まぁ、そう急かすでない。ゆっくりと話そうではないか」


彼女は僕たちが部屋に入ったときから注いであった紅茶を啜って話し出した。 

はい、この話を投稿した後に改稿作業に打ち込みたいと思います。


感想とか意見とか貰えたら作業ペースがアップしますので、よろしくお願いします。

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