地下117階より下には、何がある? 答え:行きたくないもの全部④
戸波さんに報告した。
「ノクスと一緒に下に降ります」
戸波さんの微笑みが消えた。本日一回目の真剣顔。
「灰嶋くん、下層は未知の環境です。非常階段E-7から先は、僕も行ったことがありません」
「氷室さんたちは行ってますよね」
「彼らはレベル4の装備と権限を持っています。灰嶋くんはレベル1の防護スーツと、バッテリー42%の端末だけです」
「あとガムテープがあります」
「ガムテープで何をする気ですか」
「前回の臨界点もガムテープで乗り切りました。母数2の100%です」
「深層にガムテープの前例はありませんよ」
「じゃあ母数1の100%を作ります」
戸波さんが額を押さえた。
「……四人はどうするんですか。灰嶋くんとノクスさんが下に行っている間」
「セラ、メルト、ラグナ、カイムに事情を説明して、自律管理してもらいます。前回のD-07戦で、五人は自分たちで制御を維持できることを証明しています」
「四人で、ですよ。ノクスさんがいない」
「ノクスの忘却の膜がなくても、セラの空間整理とメルトの振動減衰とカイムの早期警戒があれば、短時間なら持ちます」
「どのくらいの短時間を想定していますか」
「二時間」
「また二時間」
「この組織では二時間が基本単位みたいなので」
戸波さんが苦笑した。
「残りの四人には、俺から話します」




