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終末世界の管理業務。人材より人命が足りていません――欠勤事由:死亡のため  作者: ぶらっくそーど
第一項:死なないこと

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知らなかったのは俺だけで、知らされていなかったのも俺だけだった④


 ラグナの部屋。


「つかさ! 今日走っていい!?」


「いいですよ。ただし六割出力で」


「はーい!」


 いつもの元気。いつもの笑顔。


 走り出す前に、ラグナの影を確認した。普通の少女の影。昨日の四足の獣は見えない。


「ラグナ」


「なに?」


「お前は、自分の力のこと、どのくらい知ってる?」


 唐突な質問だった。ラグナは首を傾げた。


「んー。走ったら壊れるとか、笑ったら揺れるとか。それくらい」


「それ以上のことは?」


「……なんかね、ときどき、自分の中にもう一個べつのやつがいる感じがする。ぐるぐるするやつ。あれが出てくると、あたし、あたしじゃなくなっちゃう気がする」


 臨界点クリティカル・ポイントの前に言っていた「なかのやつ」。


「でもね、つかさ」


「ん?」


「つかさが一緒にいると、そのぐるぐるがおとなしくなるの。なんでか分かんないけど」


 感情の安定。戸波さんが言っていた「人型制御ヒューマンフォーム・プロトコルは個体の精神状態と連動する」。ラグナの感情が安定していれば、内なる力も安定する。


「だからね、つかさ、ずっとここにいてね」


「……善処します」


「善処じゃなくて確約して。ノクスみたいなこと言う」


「いますよ。ここに」


「やくそく?」


「約束」


 ラグナが笑った。床が少しだけ揺れた。


破壊の結晶獣クラッシュ・クリスタル】。感情を結晶化し、万物を砕く獣。


 今は、約束で笑う女の子だ。


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