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光のタクト  作者: セカンド
魂の軌跡
97/165

番外編;教えろセルス君!【五大陸編】



前にも訪れた空間で、セルスは1人 渋い顔をして何かを睨みつけていた。


セルス

「・・・・・」


セルスが睨みつけている物は、ポツンと置かれた机の上にある2通の手紙。



セルス

「・・怪しい。いやそれよりも、なんでこのタイミングでこのコーナーをやろうと思った?遠い村で魔獣が出て、各国のお偉いさん達がピリピリし始めたって時にこんなコーナーやったって俺の好感度が上がるわけない……むしろ空気読めない奴だって思われて好感度マイナスになっちゃうじゃん!罠だったのか?セカンドさん…いやセカンドが俺の好感度を上げる為のコーナーだって言ってたのは全部嘘だったのか!?」



暫く文句を言い続けていたが、言っても仕方ないと諦めたセルスは2通の手紙の内 1枚を手に取り内容を確認する事にした。


ーーー手紙にはこう綴られていた。



『親愛なるセルス君へ

今回のゲストも女性の方をお招きしました。

ここでの記憶は消えてしまうかもしれませんが、

せめて少しだけでも楽しい時間を

お過ごし下さい。


貴方の大ファン、セカンドより』



セルス

「ーーっ!?」


手紙を読んだセルスは目を見開き驚いた表情を見せた後、フッと小さく息を漏らすように微かに笑った。



セルス

「なんだよセカンドさん。タイトルが命令形になってるのを見た時はどーしようかと思ったけど、あんた…良い人だったんだな」



そこには何も無いのに 遠くを儚げに見つめるセルス。

多少の不満は手紙を読んだ時点で綺麗に消え去っていたが、1つだけ消化し切れない事があった。



セルス

「でも記憶から消えるのは厄介だなぁ。せっかくここで女子のハートを鷲掴みしたとしてもお互い覚えてないって事だもんなぁ・・・ん?待てよ。という事は、だ。ここで俺がハレンチ無双をしても相手も覚えてない……これって完全勝利じゃねっ!?」


名案?に気付いてしまったセルスの瞳が怪しく光る。



セルス

「ーーそういえばもう1枚の手紙をまだ見てなかったな」



残されたもう一枚の手紙を開封し、中を確認するセルス。



『親愛なるセルス君へ

貴方は紳士なので心配ないとは思いますが

もしもこのコーナーでオイタをしたら

次回からゲストはマカオさんに固定します


貴方の大ファン、セカンドより』



セルス

「・・・・・」



〜〜〜〜セルスが絶望のOTLをしてから数分後、本日のゲストが到着した。




イリア

「あっ、セルス君!えっ、どうしたの?大丈夫?」


セルス

「くっ、セカンドめっ!あんな脅迫状を送りつけた後に 我等の癒し系プルルン聖母イリアちゃんを召喚するとは・・」





【第2回 教えてセルス君】


【ゲスト;イリア・フラワール(現在Fカップ)】



セルス

「よっしゃ、気を取り直していきますかっ!それよりイリアちゃん、体調はもう大丈夫なの?」


イリア

「うん、もうなんともないよ。心配掛けちゃってごめーーーじゃなくて、心配してくれてありがとう。セルス君」


一瞬申し訳なさそうに謝ろうとしたイリアであったが タクトとの約束を思い出し、優しく微笑みながらお礼を言った。



セルス

「女神かっ!くぅぅっ、どうしてタクトには可愛い幼馴染がいるのに俺にはいないんだぁっ」


イリア

「セルス君は幼馴染いないの?交友関係が広いからいると思ってた……あっ、でもそっか。セルス君はワインベルク大陸出身だったもんね」


セルス

「うんうん。同郷の人は何人か見つけたけど、元々の知り合いは来てないからねぇ」


イリア

「ダイゴロウさんはワインベルク出身だって聞いた事があるけど、見ただけで同郷かどうか分かるの?私はセントクルス出身だけど、学園島での生活が長いからそういうの よく分からないんだよね」


セルス

「ん〜、見た目の違いはあったり無かったりだけど得意属性が偏ってたりすると、同郷かもって思ったりはするかなぁ。んじゃ今日は大陸について少し復習していくとしますか」


イリア

「うん!よろしくお願いします、セルス先生」


イリアがそう言うと、セルスはプハッと言いながら鼻血を出した。



セルス

「ーーおほんっ、じゃあまずは世界地図で大陸の復習から」


いつの間にか設置されていた黒板に長方形を書き、その中の右側半分に大きな丸を描いた。



セルス

「まずはイリアちゃんやタクトの故郷でもあるセントクルス大陸。首都であるセントクルス王国の名前がそのまま大陸の名前になってる世界最大の大陸だね」


イリア

「うん。でもこうやって地図で見るとセントクルス大陸って本当に大きいね。世界の3分の1くらいはありそう」


セルス

「だねぇ。まぁこの大陸の説明をし出すと とんでもない時間が掛かっちゃうから今日は詳しい話はパスしちゃうけど、覚えておかないといけないのはやっぱりリードイスト王だね」


イリア

「リードイスト王を知らない人は多分この世界にはいないよね。沢山の改革をした人だし、色々な所で演説をしたりもしているみたいだから。セントクルス王国の王様ではあるけど 私のイメージではセントクルス大陸の王様っていう印象の方が強いかな」


セルス

「実際セントクルス大陸には沢山の国があってそれぞれに王様的な人達はいるけど、その人達から見ても今イリアちゃんが言ったのと同じ感覚なんだと思うよ。一部の人達からは総王とか呼ばれてるみたいだし、実質は連合王国みたいな物だしね」


イリア

「そうなんだ。言われてみればリードイスト王以外の王様が公の場でなにかしているのは見た事ない気がする。ワインベルクにもリードイスト王みたいな人がいるの?」


そうイリアが質問をすると、セルスは黒板に書いた長方形の下の方に丸を描いた。



セルス

「ワインベルク大陸にも一応まとめ役の族王って言われてる人がいるよ。ただ、ワインベルク大陸って結構野蛮な土地なんだよねぇ。力こそ正義だぁみたいな感じで。だからそれぞれの国のトップが結構コロコロ変わるんだよ。今の族王も数年前に前族王を倒して族王になったばかりだし」


イリア

「えっ!?そうなの?ワインベルクって言えば鉱山と砂漠と海とセルス君のイメージだったから 暑いけど明るくて楽しい人達が沢山いる南国リゾートを想像してたよ」


呆れたような顔で地元の話をするセルスに驚いた顔をするイリア。



セルス

「んー、間違ってはないけど それが全てではないって感じかなぁ。観光客がよく来る北寄りの地域は確かにリゾート地にはなってるけど、もっと奥の方…俺の実家がある方まで行くと本質が見えちゃうんだよねぇ。暑いし、男も女もバッキバキのムッキムキだし。俺の実家よりさらに奥地に行くと地上では暑くて生活出来ないから地下に街があったりするしね」


イリア

「そうなんだ。授業でもそんな事習わないから知らなかったなぁ。そういえばセルス君は毎年 夏でも暑そうにしてなかったもんね。暑いのには慣れてたからなんだね」


セルス

「まぁね、こっちの夏がワインベルクの春くらいの気温だからね。その代わり冬は苦手なんだけどね。初めて雪を見た時は感動したけど、あの寒さは死を覚悟したくらい・・・やべ、思い出したら寒くなってきた」


ポワーンーーー


寒さを思い出してガタガタ震えるセルスにイリアがヒーターの魔法を掛けてあげると、セルスは喜びながらお礼を言った後、またもやタクトを羨ましがった。



イリア

「寒いといえばエルスノウ大陸だよね。あそこは夏以外ずっと雪が降ってるって聞いた事があるから、セルス君には辛い場所だね。でも女王様のお城は世界三大絶景にも選ばれててとっても綺麗な場所だから、いつか恋人が出来たら一緒に行きたいって言われちゃうかもだね」


セルス

「恋人が出来たら雪国だろうと溶岩の中だろうと行ってみせるのが漢セルスってぇーもんですよ!あぁ〜綺麗で優しくてスタイルが良くてちょっぴりドジでちょっぴりSな美少女が降って来るのはいつなんだろうなぁ。毎年サンタさんにお願いしてるんだけどなぁ」


セルスはいつもの様に戯言をほざきながら長方形の上の方に丸を描いた。

大きさは下に描いたワインベルクの丸と同じくらいの大きさだ。


イリア

「ふふっ、セルス君は良い人だからきっと素敵な人が見つかるよ。そういえばサンタさんがモチーフの童話に出てくるサンタリウス・クロスレントのお話の舞台もエルスノウだったね。学園生でエルスノウ出身なのはラピスちゃんとデュラン君しか私は知らないけど、セルス君は他にも知ってる?」


セルス

「生徒会ではティーレさんが一応そうだね。他には俺達のクラスメートで不登校のレベル3が2人いるんだけど、その内の1人がエルスノウ出身らしいよ。俺も会った事ないからエルスノウのどこ出身かは知らないけどね。まぁ会えたとしてもあんまり深く聞こうとは思わないけどね…」


イリア

「どうして?」


セルス

「エルスノウ大陸は派閥が真っ二つに割れてて、今もたまにゴタゴタしてるんだわ。女王陣営の方が力も人数も圧倒してるから でっかい戦争とかにはなったりしてないみたいだけど、たまに死者が出るような暴動が起きたりしてるみたい。年中寒い大陸だから 反女王側にいる人の中にはやっぱり苦しい生活を強いられてる人達も居るから、もしそーゆーゴタゴタに家族とかが関わっていたとかなら気軽に聞いていい事じゃないと思うしね」


イリア

「そうなんだ…学園島が平和だからって世界中が平和ってわけではないんだね。ニュースでもそんな事が起きてるなんてやってないのにセルス君よく知ってるね」


セルス

「俺は生徒会の仕事でたまに行かされてるからねぇ。毎回寒さで死にそうになってるけど…。ニュースでやってないのは多分 関わり合いのない場所の問題で一般人が余計な不安を感じないように報道規制してるんだとは思うけど、現実は現実だからね……」


任務での嫌な経験を思い出したのか、セルスは少し悲しそうな顔をしていた。



イリア

「そ・そうだセルス君!西っ、西大陸は?あそこは授業でも曖昧な事しか習わないから、私 全く知らないんだ!セルス君は何か知ってる?」


セルス

「ん、あぁごめんごめん。ありがとイリアちゃん!西大陸については俺もなーんも知らないんだよねぇ。魔獣の巣窟だぁとか魔女が出るぅとかそんなんばっかりでどれも信憑性なし。でも未踏の地ってわけではないみたいなんだよね」



そう言いながらセルスは長方形の左の方に小さな丸を沢山描き出した。



セルス

「西大陸は沢山の孤島や小島が集まって1つの大陸として扱われてるんだけど、一部の孤島には原住民がいるって確認されたらしいし 西大陸でしか採れない鉱物や植物なんかも採取されてるみたいだしね」


イリア

「そうなんだっ、私が見た事のない花なんかもあるのかな?もしあるなら見せてあげたいなぁ」


セルス

「イリアちゃん家は花屋さんだもんね!お母さんが花好きなの?もしかしたらそのうち西大陸から新種の花の種とかが流通するようになるかもしれないから、そしたら見せてあげられるねっ」


イリア

「うん」


セルス

「んじゃ最後は学園島だねっ。って言っても実はこの学園島が1番謎だらけなんだよね。選別の大雨が降るまでは誰もこの島に入った事がないって噂だし」



セルスは長方形の中に描かれた4つの大陸を示す丸を線で結び、そのちょうど真ん中に丸を描いた。



イリア

「私もそれは聞いた事がある。不思議だよね…昔は3大陸で資源や土地を巡っての戦争があったって習ったけど、どうして学園島を手に入れようとしないでお互いの領地を奪い合ってたんだろ?確かに大きな島ではないけど、自然も多いし環境も良いのに…」


セルス

「なんでだろね?学園長が『ダメー!ここはぼくのだよー』とか言って駄々を捏ねたとか?」


イリア

「ふふっ、セルス君それはさすがに……あれ?完全にないって言い切れない…」


セルス

「・・だよね。俺も適当に言ったのに、もしかしたら本当にそれが正解なんじゃないかって思ってたとこ。まぁ学園島の歴史とかは良く分からんけど、今は俺達が暮らす大切な島って事だぁね」


イリア

「うんっ、そうだね」


セルス

「よぉし!俺の良いセリフで好感度が上がった所でマトメて終わりにしますか!」


イリア

「・・・うんっ、そうだね」



何故か優しく笑いながらも一拍置いた返事をしたイリアに悲しそうな目を向けたセルスは、気を取り直して黒板に線を書き始めた。



セルス

「見ての通り大陸は全て海に囲まれてて、世界地図で見ると少し歪なXの字形に海で大陸が分けられてるんだ。大昔は全ての大陸が繋がってたらしいんだけど今は大きく分けて5大陸になってる。最大の広さを誇る東のセントクルス、広大な砂漠と鉱山とリゾートがある南のワインベルク、見るもの全てを魅了する氷の城がある北のエルスノウ、まだほとんど謎に包まれている未踏が多い孤島群が集まる西大陸、そしてアルバティル学園がそびえ立つ中央の学園島。大まかに説明するとこんな感じかな」


イリア

「やっぱりセルス君は凄いね。知らない事を知れるのはすごく楽しかったよ、ありがとう。新学期が始まったらテストもあるし、今日教えてもらった事 マキナにも教えてあげないと」


セルス

「あー、イリアちゃん。褒めてくれたのは嬉しいしお礼まで言ってもらって大変申し上げにくいんだけど、この空間から出るとなぜかここでの記憶がすっぽり抜けちゃうんだよねぇ。またここに来れば思い出すんだけど、現実世界だと記憶のアイデンを持ってる俺も思い出せなかったから、多分どうしようもない系だと思う」


イリア

「えっ、そうなの?残念だなぁ……でも、たとえ忘れちゃったとしてもセルス君が一所懸命教えてくれた今が消えちゃうわけじゃないもんね。だからやっぱり ありがとう、セルス君」


セルス

「女神かっ!くぅぅっ、やっぱりタクトが羨ましいぃぃ……あっ、そういえばタクトから呼び出しのメール来てたんだった!そろそろ行かないとな」


イリア

「あれ?セルス君もタクトに呼ばれてるの?実は私もなの」


セルス

「へぇ、なんだろうね?円源のラーメンかタコ焼きが食べたいのを我慢出来なくなったのかと思ってたけど、雨の中イリアちゃんをそんな事に誘うなんてしないと思うし……まぁ行けばわかるか。じゃあイリアちゃん、また後でねっ」


イリア

「うんっ、また後でね。セルス君」



2人は挨拶を交わし、元の世界へと帰って行った。



ここでの好感度はここでしか上がらない。


その事に気付いていながら目を背けるセルスに、いつか幸せな結末はやってくるのだろうか。


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