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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
42/165

【 もうすぐ夏休み☆ 】

ーーーー2日後



「おっ、タクトにイリアちゃんおはよー」


「セルス君おはよ、今日も暑いね」


「おはよセル。なんかみんな騒がしくないか?」


週明けにいつものように登校し自分のクラスである1-Aに着いてヘッドホンを外すと、セルの元気な挨拶と同時にクラスメートの騒ついた声が聞こえてきた。


「ん?あぁ、一昨日の地震の事だよ。デカかったからねぇ」


「あれか。確かにデカかったよな」


「怖かったよね。でもあの地震での被害者は出てないってニュースでやってたけど本当かな?」


今日の朝 母さんが言っていたのだが、一昨日の地震はセントクルス大陸の東の方が震源地だったらしい。


昨日のニュースで地震の情報がある程度伝えられたらしいのだが、俺は昨日丸一日死んだように寝ていたのでほとんど知らない。




「みなさんおはようございます。HRを始めますので自分の席に着いて下さい」



いつものようにベルと同時にサラ先生が教室に入って来て着席を促すが、騒がしい生徒達がすぐに静かになる事はなく、席に座った後も話し声が収まることはなかった。




「HRの前にみなさんに報告があります。一昨日の地震についてです」


いつまでも話し声が収まらない生徒達を気にした様子もなく、いつものトーンでサラ先生が言葉を発すると途端にクラスに静寂が訪れた。


それもそのはずだ、騒がしくなっている理由は一昨日の地震。


ニュースでしか情報が得られない俺達学生とは違い、あらゆる方面に顔が効き、様々な情報を持っているであろうサラ先生の口から今一番気になるワードが出されたのだから。


生徒達の視線を一身に受けながらサラ先生はいつものように淡々とした口調で話し始めた。


「先日のニュースで知っている人も多いと思いますが、地震の発信源はセントクルス大陸の東の地方で、揺れは全大陸で起こりました」


全大陸で起きたのか…震源地のセントクルスは大丈夫だったのか?


「怪我人は多数出ましたが死者と行方不明者は出ていません。セントクルスだけではなく他の大陸でも大きな被害は出ていませんので安心して下さい」


サラ先生の報告にクラス内からは安堵と喜びの声が上がった。



俺やイリアのように家族全員で学園島に引っ越して来ている人は少なく、中等部以上の生徒はほとんどが学生寮に入ってるし、高等部になっても寮か一人暮らしをする生徒がほとんどだ。


初等部の生徒は学園から迎えの転移バスが出るので実家から通っているが、中等部以上になると金持ちというわけではない普通の生徒は家族と離れて暮らすのが一般的なので今回の地震では離れた家族を心配している人が多い。


「生徒の多くが家族と離れて暮らしている事は把握しています。大きな地震で離れた家族を心配しているであろう事も理解しています。なので昨日、全生徒の家族の無事を確認して来ました。安心して下さい、全員無事です。これで報告は以上です。ではHRを始めます」


とんでもない事をただの業務連絡のように淡々と話すサラ先生に驚愕し、クラス内はまたどよめきに包まれた。


「相変わらずこの学園の教師陣は凄いな。全生徒の家族全員を昨日一日でって…」


「だよなぁ。俺みたいにセントクルスじゃない大陸から来てる奴もいるのに…さすがサラ先生っ!としか言いようがないな」


セルの言う通りこの学園に通う生徒は色々な大陸から集まってきている。


俺やイリアのようにセントクルスから来ている人が一番多いが、中には他の大陸から来ている人もいる。


セルもその1人で学園から見て南に位置するワインベルク大陸出身だ。


「みんな家族が無事ってわかって安心してるみたい。よかった。サラ先生っていつも生徒の事を1番に考えてくれるし行動力もあるし、格好いいよね」


イリアが尊敬の眼差しを向けながらそう言っているが、俺もそう思った。


笑った顔どころか表情を変えた所を見た事がないが、優しくて強い人だと思う。


サラ先生はいつも生徒の為に最善の行動を最短でやってくれている…選別の大雨の時もそうだ。

本当に、感謝してもしきれないな。


「週明け早々になりますが明後日から夏休みに入りますので一学期の授業は本日で終了になります。明日は午前で解散になるので部活動などがある生徒以外は昼食の用意は必要ありません。HRで伝える事は以上です。では本日の授業もしっかり頑張って下さい」


サラ先生は連絡事項を告げると一礼してすぐに教室を出て行った。


するとクラス内はまた騒がしくなったが、登校した時のように不安げな騒がしさではなく安心と夏休みへの期待が入り混じったような浮かれた騒がしさだ。


「みんなわかりやすく浮かれてるな。まぁ家族の無事と夏休みの話しを同時に聞いて浮かれるなってのが無理な話か」


「そう言うタクトもカカカ祭りはけっこー楽しみにしてるんだろ?」


「まぁな。今年はマリアとラピスも来るみたいだから保護者になりそうだけどな。セルも一緒に行けるんだろ?」


「まじかっ!美少女だらけの浴衣ハーレムキタコレッ!って言いたいとこなんだけど昨日ハイナからメールが来て、祭りの警備巡回を手伝う事になっちまったから今年は一緒には行けねぇわ」


ガックリと肩を落としながらセルがそう言った。


この島のメインである学園の生徒会役員で高等部なので仕方ないのだが、セルが一緒に行けないのはショックだ。


男が1人になるのも辛いが、なによりセルがいると楽しい。


まぁ鼻血率が普段より上がってしまうので多少めんどくさいが、やっぱりセルがいると雰囲気が明るくなるし博識なセルは色々な豆知識を持っているのでただ一緒に歩いてるだけでも楽しい。


「まぁ時間が空きそうだったら連絡するから、それまではタクト1人でハーレム祭りを楽しんでくれたまえちくせう」


「あぁ、連絡待ってるよ」








更新が遅くなって申し訳ありません。


もうすぐ第1章と言う名の説明回が終わって本編に入る予定です。


これからも更新ペースはバラバラになると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。


セカンド

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