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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
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【 穏やかな帰り道と賑やかな目的地 】

俺達が学園島に着く頃には青かった空がオレンジ色に染まり、昼間の暑さも影を潜めてくれていた。


「シオンちゃんのライブ凄かったね。TVや雑誌で共感ライブの事は知ってたけど、実際に体験してみると想像以上だったなぁ」


巡回を終えて班の全員が集まると、ティーレさんが迎えに来てくれて俺達は学園に戻った。


学園に着き点呼と報告を済まると帰宅の許可が出たので、今はイリアと2人で俺の家に向かっているところだ。


「共感ライブって言うのか。確かにそんな感じだったな」


歌姫についての知識が足りてない俺にとっては終始驚きっぱなしのライブだった。


その中でもとくに最後の曲は凄かったのだが、イリアは最後の曲の時の事を良く覚えていないと言っていた。


それどころかイリアが言うには、名もなき始まりの歌という曲を生でちゃんと聴けた人は今まで1人もいないらしい。


伴奏などはケントが弾いているところ以外は機械で演奏されているし、ケントは特別製のヘッドホンで音を遮断しているらしい。


ネットやCDなどでは普通に聞けるのだが、ライブであの曲が流れると何故かみんな意識が朦朧として、記憶が曖昧になってしまったりするらしく中には意識を失う人もいるというのだ。


普通に考えたらかなりヤバイ状況に思えるのだが、ライブに行った人達はみんな幸せな気持ちになったり気分が落ち着いたりして満足してしまうので、歌姫のライブは問題視されるどころかプレミアが付くほどの人気になっているのだとか。


だが、あまりにも最後の曲だけ意識を失う人が続出したため一時期は最後の曲で意識を保てた人には賞金が出るイベントも開催すると噂があったらしいが、シオンとケントが猛反対してなくなったらしい。


俺はギリギリ意識を保ったまま聞けたのだが…なんでだろうな?



「そういえばタクト、帰りに走って何を買ってきたの?」


「ん?あぁ、母さんに頼まれてたやつ。ほら、これ」


ライブ会場の見回りが終わり、巡回班の集合場所に着く直前で母さんに頼まれていた物を買い忘れていた事に気付き、俺は走ってスターショップという店へと買いに行ったのだ。


「あっ、これって今話題になってる勝てないヒーローのフィギュアだよね?ふふっ、パールさん好きそうだね」


「あぁ、なんか最近めちゃくちゃハマってるっぽい」


俺が母さんに頼まれたのはTVドラマの主人公のフィギュアだ。


異世界からやってきたムキムキの軍人ノース・ダイスケ(通称;北さん)が仲間達と共に悪と戦うというシンプルな内容なのだが…


主人公の北さんは誰と戦ってもなぜか勝てない。


一切敵に勝てないのだが、持ち前の打たれ強さと折れない心で悪の軍団に突っ込んで行き、最終的に強い仲間達が敵を蹴散らすというかなり変わった設定のドラマで、


流行っているというよりもコアなファンがいると言った方が正しく、俺の母さんもそのうちの1人だ。


息子の俺が言うのもなんだが…

母さんはちょっと変わった人なので、北さんにハマるのもなんとなく頷けてしまう。





そんな他愛ない会話をイリアとしながら俺の家へ向かい、自宅まであと少しという所で俺とイリアは同時に足を止めた。


【・・すぐ帰っ・・・今日こそは・・から】



俺と同時に足を止めたイリアがチラチラ俺を見ているのが伝わってきて、俺は溜め息を吐いた。


「これってパールさん…だよね?」


「まだ帰って来てないと思ったのに…はぁ。仕方ない、行こう」


家に近づくにつれて母さんの心の声もハッキリと聞こえるようになってきたが、なるべく意識しないようにしながら俺は玄関のドアを開けた。


「ただいっっ!?危なっ!ちょっ…母さん何これ!?」


ドアを開けて家の中に入ろうとした瞬間、足場から雷属性のトラップ魔法が発動された。


足を着く直前にイリアが後ろから引っ張ってくれていなければ、いまごろ俺はトラップにかかり痺れて動けなくなっていただろう。


「なんで引っ掛からないのよぉ。痺れたタッ君を抱き枕にして眠る計画だったのにっ!トラップの事がバレないように一生懸命他の事を考えてカモフラージュしてたのにぃ。タッ君のいけずぅ」


何言ってんだこの人は…


自分の母親であるのは間違いないが、ドン引きだ。


家に入るまでも母親とは思えない…いや、思いたくない心の声が駄々漏れしていたし。


トラップの考えを読まれない為のカモフラージュと言っていたが、カモフラージュで息子にチューしてやるとか考えるのはマジでやめてくれ…



「おかえりなさいタッ君。さぁ、タッ君の大好きなパールお母さんにただいまのハグをっ!さぁ!!」


いつも通りのうざいテンションで、いつも通り意味のわからない言葉を発しながら母さんが出迎えてくれた。



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