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第2話【義妹と協定を結びましょう】




「お義姉ちゃんって言ってみたけど、これ気持ち悪いわね」



 そういうと、黒川さんは私の部屋のベッドに腰掛けて座りました。


「クラスメイトなんだし、百合って呼ぶけどいいかしら?」

「あ、は、はい! だ、大丈夫です……」


 お母さんが再婚した人に私と同い年の子供がいるということは聞いていましたが、それがまさか同じクラスで学校一の美少女で有名な黒川さんだとは思いませんでした。



『今日から、四人でこの家で暮らすことになるけど、大丈夫かしら?』

『二人とも、何かあったら、お父さんとお母さんに言って良いからね』



 ……でも、お母さんも黒川さんのお父さんも、私と黒川さんに再婚という負い目があるのか、気を使ってくれているのは分かりました。

 だからこそ、私も黒川さんと仲良くできたらいいのですが……


「く、黒川さんは……再婚相手の子供が私だって知っていたんですか?」

「もちろん知っていたわよ。てか、何で貴方は聞いてないのよ」

「す、すみません……黒川さん」


 私がそう言うと、黒川さんがベッドに座りながらキリッと私を見つめて指を指してきました。


「あと、それ止めて」

「え……?」

「呼び方……ほら、黒川ってお父さんと被るでしょ……パパ――じゃなくて、お父さんとお義母さんがせっかく私達のことを考えて、苗字をそのままにしたんだから……」

「あ、そ、そう……ですね……」

「だから、お互いのことは名前で呼びましょう。良いわね?」

「わ、分かりました!」


 確かに、黒川さん……じゃなくて、優花さんの言う通りかもしれません。

 学校一の美少女の黒川さんを名前で呼ぶのは少し気が引けますが……が、頑張ってみます。


「それで、貴方……百合はお父さん達のことどう思っているの? 応援したい? するわよね? すると言いなさい」

「も、もちろんです! ゆ、優花さん……」


 何か一瞬、私に拒否権が無かったような気もしますが、そもそも、私もお母さんの再婚は応援したいと思っています。だから、反対なんてするわけありません。


「そう……それが聞けたならいいわ。じゃあ、協定を結びましょう」

「協定……ですか?」

「そう、これから四人で生活する中での……私達二人の協定よ。貴方……百合もお父さんとお義母さん達には仲良くして欲しいでしょう?」

「は、はい!」

「でも、私ってあんまり他人と関わるのは苦手なのよ。見た感じ、百合もそういうタイプよね?」

「そ、そうかもです……」


 そういうと、黒川さん……じゃなくて、優花さんは私に同意を求めてきました。

 確かにあっていますが……何で分かったのでしょうか?


「私達はお互いの両親を応援したい。だけど、他人と関わるのは苦手……だから、協定として『極力お互いに干渉しない。学校でも家族なのは隠す』ってことでどうかしら?」


 なるほど……確かに、いきなり家族になってもどう優花さんと接したらいいのか、わたしも分かりませんし……学校でもいきなり優花さんを義妹として接するのはわたしも無理だと思います。


「その提案、わ、分かりました……」

「じゃあ『約束』ね」


そう言うと、優花さんはわたしのベッドから立ち上がり、部屋を出ようとして、何かを思い出したように立ち止まりました。


「そうだ……貴方、お風呂はどうするの? 私が先でいいなら先に入らせてもらうけど?」

「あ、わたし、今日はお風呂入らないんで大丈夫です」

「今日は……?」


 あれ……? わたし、何か変なことを言ってしまいましたでしょうか……?


「えっと……お風呂は明日入れば良いかなと思っているので……い、一日くらいならお風呂に入らないことも良くあるので……大丈夫ですよ?」


 すると、何故か優花さんの目が急に鋭くなりました。


「はぁ!? ありえない! お風呂に入らないとか……貴方、本当に人間なの!?」

「え、いや……でも、一日入らないくらいなら……全然臭くとかない……ですよ?」

「そんなわけないでしょう!」

「はひぃ!?」


 すると、部屋を出ようとしていたはずの優花さんが、わたしの手を取って言いました。


「お風呂……一緒に入るわよ!」

「え、で、でも……お互いに干渉しないって……」


 わたしがそういうと、優花さんはもの凄く怖い顔でわたしを睨みつけてこう言ったのです。


「お風呂は別でしょ! この風呂キャン女!」




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