古文書部の綾瀬さんは、百年前の手紙に恋をする
最新エピソード掲載日:2026/08/22
高校二年の綾瀬深春(あやせ・みはる)には、人に言えない力がある。
「乾ききっていないインク」に触れると、それが書かれた瞬間の六秒間を、書いた人間の目で追体験できる――そんな、使い道のない力。
亡き祖母仕込みの「くずし字」解読技術とこの力を頼りに、彼女は廃部寸前の「古文書部」で、地域に眠る古い手紙や日記の解読を請け負っていた。
ある日、学校の資料室の奥で発見された一通の恋文。 差出人の名は大正時代の学生・式部澄人(しきぶ・すみと)。
そして宛名は――百年前に書かれたそれが、なぜか「綾瀬深春さま」。
力で手紙に触れた深春が見たのは、油灯の下で筆を執る少年の、震える指先。 そして彼は、書き終えた紙に向かって、確かにこう呟いた。
「百年後の君へ。――どうか、僕を見つけないでほしい」
消されたはずの歴史、届くはずのなかった手紙、そして百年の時を隔てて交錯する二つの時間。 やがて深春は気づく。この手紙はまだ、書き終えられていないことに。
文献考証×タイム・ミステリ×百年越しの片想い。 誰も読んだことのない、「古文書ファンタジー」開幕。
「乾ききっていないインク」に触れると、それが書かれた瞬間の六秒間を、書いた人間の目で追体験できる――そんな、使い道のない力。
亡き祖母仕込みの「くずし字」解読技術とこの力を頼りに、彼女は廃部寸前の「古文書部」で、地域に眠る古い手紙や日記の解読を請け負っていた。
ある日、学校の資料室の奥で発見された一通の恋文。 差出人の名は大正時代の学生・式部澄人(しきぶ・すみと)。
そして宛名は――百年前に書かれたそれが、なぜか「綾瀬深春さま」。
力で手紙に触れた深春が見たのは、油灯の下で筆を執る少年の、震える指先。 そして彼は、書き終えた紙に向かって、確かにこう呟いた。
「百年後の君へ。――どうか、僕を見つけないでほしい」
消されたはずの歴史、届くはずのなかった手紙、そして百年の時を隔てて交錯する二つの時間。 やがて深春は気づく。この手紙はまだ、書き終えられていないことに。
文献考証×タイム・ミステリ×百年越しの片想い。 誰も読んだことのない、「古文書ファンタジー」開幕。
第1話 宛名のない手紙の宛名
2026/08/22 14:15