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EP1-6. 外の世界 ~シルエを連れて~


『ニュークーロンシティ』

 そこは独自の自治体により形成された商業都市。はるか昔、タイロン星へたどり着いた旅商人たちが集い、徐々に作り上げていったシティ。


 タイロン政府の干渉を受け付けず、独自の文化を形成している。建物は無造作に改築・増築され、つぎはぎだらけ、区画は整備されておらず、ビルやマンション、一軒家が入り乱れる景観となっている。


 このニュークーロンシティに彼らジラフ・サルベージ・サービスの事務所兼住所がある。彼らはシルエを連れて、このシティへと帰ってくる。


 タイロン星近辺宙域。ジラフ号がタイロン星へ向けて、もうすぐ到着しようとしている。


 「オーギンさん、この後どうしますか。」

 僕はオーギンさんにクヌート号の行き先を確認する。


 「タイロン星へ一度戻る。宇宙生命体管理局がある星まで行くために補給を行う。それに局へ連絡しておけば、ワープゲートがタダで使えるからな。」

 「わかりました。タイロン星へ進路をとります。」

 すでにオーギンさんは予定を決めているようだ。ひとまずニュークーロンシティへ帰ることになった。


 「チロル、タダヒロが進路をタイロン星へ向けてルート設定したら、自動航行モードに入ってくれ。」

 「任されました~。設定され次第、自動航行に入りま~す。」

 チロルがオーギンさんに軽めに返事をする。

 

 「やっぱりシルエは宇宙生命体管理局に引き渡すんですよね。」

 この先のことがなぜか気がかりになる。シルエはこの先どうなるのだろうか……。

 「そうだ。あの子も自分の正体をつかむチャンスにだってなるし、俺たちには賞金が入るからな。ウィンウィンだ。なんだ、タダヒロ、あの子と別れるのが嫌なのか。」

 

 オーギンさんはよく状況を理解している。だけど、僕の感情は揺り動いている。あの時、一目見た瞬間、僕の中で何かが変わってしまったのだろうか。ブリッジの窓の向こうの星々に目を向ける。キラキラしている星を見ていると、白銀の雪姫のようなあの子が浮かんでくる。

 

 「いや……それは……。」

 

 オーギンさんについ見抜かれているような言葉を言われてしまう。

 「あの子は未知の宇宙人だ。何か助けになれるようなこともない。俺たちには荷が重すぎるんだ。悪いことは言わん、あまり深入りするなよ。」

 「はい、気を付けます…。」

 

 そうだ、この先ずっと一緒にいるわけではないんだ。

 オーギンの言う通り、深入りしてはいけない。

 僕はモニタパネルに目を戻し、進路ルートを設定する。設定した後はチロルが自動航行モードに変更し、僕は手持ち無沙汰になる。すると、またあの星々のきらめきを眺めてしまうのだった。


 ◇


 シルエは映画を見ながら寝落ちしてしまった後、まる一日が立っていた。宇宙船のコクピットから久しぶりに目覚めて、たらふくご飯を食べたせいなのか、彼女はタダヒロのベッドで長い眠りについていた。その眠りから目を覚ます。

 

 「ンッ…。オキタ。」

 ワタシは起きて、背伸びをする。

 

 「タダヒロハ ドコ?マダ、カエッテキテ イナイ。」

 タダヒロがいないかキョロキョロと周りを見渡す。

 

 「ソウダ。ボタン。」

 タダヒロが言っていたことを思い出す。壁についているボタンを押して話かければ良い。

 

 「タダヒロ、ドコニイルノ?」

 彼は今どこにいるのだろう。帰ってくると言っていたのに。

 

 「シルエ、起きたのかい。私はチロルだよ。タダヒロにつなげるから、まっててー。」

 チロルがスピーカーを通じて返事をした。彼につないでくれるみたい。

 

 「アリガトウ、チロル。」

 チロルは優しい。

 

 「こちら、タダヒロ。シルエ、起きたのかい?」

 やっと、彼が現われた。どこにいるんだろうか。

 

 「サッキ オキタノ。デモ、タダヒロ イナカッタ。」

 彼に少し問い詰めるように言う。

 

 「あぁ、ごめん。そっちに戻っていたんだけど、君がなかなか起きなくてね。しばらくしてブリッジの方へ戻ったんだよ。」

 タダヒロはここに戻っていたのか。残念……。

 

 「ソウナノ…。ソバニイテ ホシカッタ…。」

 それでも少し八つ当たりしてしまう。

 

 「ごめんよ。でも、もうすぐ目的地に到着するから、ブリッジまで連れに行くよ。」

 タダヒロが来てくれるなら、それで良い。

 

 「ウン。ワカッタ。マッテル。」

 ヒトリハ イヤダ…。

 

 ◇

 

 僕はシルエを迎えに行き、ブリッジまで戻ってきた。

 「シルエを連れて、戻りました。」

 

 迎えに行くと、シルエは不安げな顔をしていた。あまり一人にしない方が良さそうだ。

 

 「おう、戻ったか。そろそろタイロン星へ着く。操縦頼むぞ。」

 オーギンは腕を組みながら、こちらに振り返って言う。

 

 「はい、わかりました。シルエ、僕は操縦席に座るから、隣の副操縦席に座るかい?」

 僕はシルエが不安にならないようにそばに座らせる。

 

 「ウン、スワル。」

 とりあえず、おとなしく座ってくれるようだ。

 「わかった。こっち来て、ここに座っててね。」

 シルエは僕の隣に座った。


 「コレカラ ドコニイクノ?」

 シルエがどこに行くのか気になっているようだ。

 

 「タイロン星のニュークーロンシティというところだよ。僕らの家でもあり事務所でもある建屋がそこにあるんだ。」

 初めての場所になると思うが大丈夫だろうか。

 

 「ソウナンダ。ゴハンハ タベレル?」

 ご飯の心配だったか。

 「家に帰れば、食べれるよ。」

 帰ったら、たくさんの料理もつくってあげよう。

 

 「おいおい、家の食料がなくなっちまう。外で食べてこい。」

 オーギンさんが大事なことを言う。確かに僕らの分までなくなりそうだ…。

 

 「あぁ、確かにそうですね。外で食べるようにします。」

 シルエと外でご飯か、どれだけ食べるだろうか。経費で落とさないとな。シルエの方は何のことだろうかと言うような顔をしている……。


 いよいよ、タイロン星に降りる。ニュークーロンシティへ向けて大気圏に突入するのだ。

 「タイロン星の大気圏に突入します。チロル、ジラフ号に問題はないか。」

 

 チロルに船体のチェックをさせる。問題はない。OK。ジラフ号を大気圏に突入させていく。隣にいるシルエはただ、ずっと正面の窓の向こうを副操縦席から見ている。どんどん宇宙から大気圏に降下し、とうとう大気圏に入った。

 

 大気圏に入る。上には空が、下には地上が広がっている。宇宙はもうずっと上だ。

 「大気圏、無事に降りました。これから、ニュークーロンシティへ向かいます。」

 オーギンさんへ向けて、状況を伝える。

 

 「補給できる港に入ってくれ。燃料や食料を補給してもらう。」

 オーギンさんから次の指示が飛ぶ。

 

 「わかりました。補給できる港に向かいます。」

 いよいよニュークーロンシティへ帰ってくる。彼女を連れて。


 大気圏を抜けて、ニュークーロンシティが船のブリッジから見えてくる。

 

 「シルエ、ここがニュークーロンシティだよ。僕たちが住んでいるシティだ。」

 シルエに僕らの町を紹介する。気に入ってくれると良いんだけど。

 

 「スゴイ。大キサガ 違ウ建物ガ イッパイ。ソレニ 色モ イロンナ色ノ 建物ダ。」

 彼女は町をその黒だけの目で外を見つめて驚いている。町というものを見たことがないのだろうか。

 

 「驚いたかい。」

 「ウン。外ノ世界ハ スゴイネ。」

 外の世界とシルエは関わり始める。

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次話もよろしくお願いいたします!!!

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タダヒロ!?タダヒロ!? あわわ!あわわ! タダヒロォォォォオオオ(´;ω;`)
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