メカナイズド・ハート 52話
ようやく基地を出発します。
「う〜ん。」
「微妙か?」
「継戦能力が高いのは良いんだけど一度に迎撃できる数が少ないのはちょっとなぁ。」
イスラエル製のクフィルは、レーザーで敵弾を蒸発させるために時間を要し、一度に迎撃できる数が4発以下と非常に少ない。これは突出しがちで集中砲火されやすいルーカスにとってはメリットよりもデメリットの方が大きい。
「まあそうだな、しかしこれ以外のものはそれなりに値段が張るんだよなぁ〜〜〜。」
「俺の機体の改造予算はいくら隊から貰えるんだ?」
セルゲイも個人用装備にランニングコストの低さと、継戦能力の高さを求める気はないようだ。
カタログの検索機能を使うためにも、ルーカスは予算を聞く。
「俺のポケットマネーから出すから心配しなくて良いぞ。」
意外な答えが返ってくる。どうやらただのロシア人ではないらしい。冗談かと顔を見るが本気っぽい。
「本当か?
「まあ小金持ちだからいけるよ。」
「安いものでも1セットあたり数万ドルはするぞ?」
なんでもないものだよ。
そう言いたげなように微笑みつつ彼はルーカスの背中をバシバシ叩く。
「金持ちは良いねえ〜、羨ましいわぁ〜。」
「可愛い彼女がいて良いねえ〜、羨ましいわぁ〜。」
2人で小突きあっていると、2人まとめて頭をパシパシと叩かれる。
「エミー!!起きたのかい?」
「まあ、あと数時間で整備終わるらしいし。2人も出発の準備しても良いんじゃない?大隊長さんと中隊長さん?」
エミーの言葉で慌てて2人は部屋を飛び出す。
セルゲイはドヤドタと足音を立てつつベルを読んで隊の最終チェックと基地司令、旅団司令と報連相を行う。
ルーカスはお通夜気分の自分を合わせて残り8人、2個小隊にまで減った中隊を集めて市街地輸送の安全項目最終確認を済ませる。
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「大隊長のセルゲイだ、パイロットは全員第一医療室に5分で集まれ。」
館内放送でルーカスにとっても寝耳に水な言葉が転がり込んできた。
「一体なんでしょう?」
「さあな、とりあえず行ってみるだけだ。」
部下の1人と話しつつ、集めていた中隊全員で階段を駆け降りて第一医療室に雪崩れ込む。
彼らを待っていたのは10人前後の白衣を着たおばちゃんたちだ。手には恐ろしい太さの注射針を持ち、近くのトレーには何百本と同じ注射針を用意している。
「お前ら早く並べ、行き先は不明らしいが予防接種が必要らしい。」
どうやら回避不能なようだ。続々と集まった隊員達は1人ずつぶっとい注射を10発以上打たれて渋い顔をしながら基地を出てドックに向かった。
実は別の作品も密かに作っております。年始には公開できるかな〜?




