メカナイズド・ハート 176話
「貰った!!」
ルーカスは勝利の雄叫びをあげながら両腕部で構えたレーザーブレードを敵機に向けて振り抜く。
操縦レバー越しに、敵機を切り裂く感覚を感じる。
プルプルと跳ね返る操縦レバーの反発を、手のひらで感じながら敵機の骸を見落とす。
「ミリアム。来なくて良いぞ、敵エースは俺が始末した。」
「了解です!!こちらに来ていただけますか?隊員達がやられております。」
ミリアムの報告を聞き終える前に、ルーカスは反転して配下の部隊が集まっている宇宙の一角へと飛ぶ。
たとえどれだけ強いパイロットを倒せても複数機に囲まれて叩かれたら終わりだ。
ルーカスが飛んで見てみれば確かに部隊は手酷くやられている。補充を入れて36名にまで回復した大隊は再び半減して、先にやられた隊員達が物言わぬデブリとなって辺りを漂う。
「なるほど確かに敵は優秀みたいだ。」
そうルーカスは呟くほど、敵部隊はエース不在の中でも上手く部隊としての連携を保ち数的有利を生かしてルーカス大隊を2個中隊半にまで削っている。
骨の折れる相手だとルーカスはため息を吐きたくなりながらも、抜刀しているレーザーブレード2本を最大限活かすために友軍機を攻撃する敵ポッドに肉薄して片っ端から斬り始める。
「隊をまとめて統率を取り直せ!!」
「了解です!!」
ミリアム中尉の言葉を耳で聞きながらも脳と視覚は、常に新しい敵機を発見しては斬り刻ませようする。
ふと新しい敵機に斬りかかりシールドで受けられて、返す刀で斬りかかろうとした時に別の敵機がこちらに銃口を向けるのが見える。
「やらせるかよ!!」
ルーカスはレーザーブレードの片方を手首を回転させることで逆手に向けて後ろから狙う敵機の120mm砲に向けて、一瞬だけレーザーを照射する。次の瞬間には敵機の手の中で120mm砲が炸裂する。
背後の敵機の無力化を済ませたのに眼前の敵機も同時に、真っ二つに胴を切る。内臓の代わりに装甲板が抉れてはみ出すのを横目で見ながら無力化した敵機のトドメも刺す。
「敵部隊を撃破しました!!次はどうしますか?」
ミリアム中尉の声が聞こえる。
数と質で勝る敵を打ち破り、自軍部隊を半数ほど失うという壊滅的損害に耐えて更なる敵を欲している。
ルーカスは自らの部隊の、その獰猛さと優秀さに自らが育成したにも関わらず少し恐ろしく感じる。
「目標は目の前だよ。敵艦隊に突入しろという命令は失効していない。」
「艦隊司令に確認した方が良いのでは?」
「長距離通信を使えば敵に聞かれるかもしれない。せっかく敵艦隊の意識の外に我々はいるのだから、これを奇襲に使いたい。」
ルーカスの言葉に一瞬ミリアム中尉は考える素振りを見せるが、即座に同意する。
「了解しました。部隊に再度編隊を組み直させます。」




