メカナイズド・ハート 174話
「撃てッ!!」
ルーカスの命令で大隊各機の120mm砲は火を噴き、無数のミサイルが撃墜されていく。その撃墜されたミサイルの破片の雲の中から敵艦隊の艦種が突きでてくる。
「敵艦隊!!突っ込んできます!!」
「なにい!?」
正面から突っ込んでくる敵艦隊はルーカスの想定外の動きだ。
数の優位を生かして射撃戦で高度不利を埋めるのに忙しいルーカス大隊をつるべ打ちにするのかと思ったら、これである。
「どちらにせよ接近戦の方が数に劣る我々には勝ち目がある!!臆するな!!こちらも突撃!!」
ルーカスは大隊の中に蔓延りそうになった怯懦を振り払うように怒鳴り、スラスターを吹かしながらいつものように部下たちに進むべき道をしめす。一瞬逃げ出しそうになるほど浮ついた新兵たちもルーカスが先頭を行き、そのすぐ後を副官と古参パイロットたちが王を守る近衛のようについて回る。
右へ左へ上へ下へと縦横無尽にスラスターの損耗を恐れずに吹かしまくり、急速に加減速を繰り返しながら敵機を一機二機と真っ二つにさばいていく。しかし、以前戦ってきた相手とことなり手ごたえが違う。
「チイッ!!」
横なぎに放ったレーザーブレードを回避されたことで腹立ちながらも後続に処理を任せて、速度を緩めずに正面切って敵艦隊に向けて突撃する。
危ない!!本能的にそう思ってルーカスは真上に向けて飛ぶ。次の瞬間先ほどまでいた空間に300mm砲級の砲弾が飛んでいく。喰らっていたら即死どころか細胞レベルでバラバラにされていただろう。本来は敵の砲に狙われれば警報装置が鳴るべきものなのだが、敵の電子戦の関係か鳴らない。その事実に歯噛みしつつ冷や汗も流しつつ、目を動かして砲弾が飛んできた先を探す。
幸いにもルーカスは時間を取らずにすぐに見つけることができた。フリゲートの一隻だ。
横からレーザーブレードで切りかかってくる敵ポッドたちをあしらいながら、フリゲートに向けて突撃する。フリゲートも120mm砲やミサイルなどの防衛用の火器で攻撃してくる。機体をジグザグに動かしながら、チャフとフレアを惜しみなく乱射して敵の攻撃を避け、捕捉されることも最小限にとどめようとする。
シールドを構えながら突進するとシールド表面の熱が高まる。レーザー攻撃だ。
そう判断した時にはすでにレーザー攻撃によってシールド表面に溶けるように穴が開き機体の表面装甲にも照射され始める。フリゲートの持つ膨大なエネルギーを使えば数秒と持たずに溶かされるかもしれない。
素早く側面に飛び、敵ポッドのコックピット部をサーベルで焼き切りパイロットを蒸し焼きにしたうえで敵ポッドを盾にする。この技はどこでも使えるなと安堵した直後、眼前の敵ポッドが真っ二つに切り開かれ新しい敵機が飛び出してくる。内側からマトリョーシカのように飛び出したわけではなく、背後から見方ごと切りつけながら攻撃してきただけだろう。
敵機のあまりにもアグレッシブな戦い方に驚くと同時に、前回の戦闘で殺しそこなった敵エースだと理解する。




