メカナイズド・ハート 173話
「前方に友軍艦隊左翼、その奥に友軍左翼と正対する敵艦隊右翼がいます。双方ともに艦隊規模は同程度です。艦隊司令からは前回と同じように友軍艦隊の頭上を飛び越えるように突撃して混乱させるように命令がでています。」
「そうか・・・、しかし絶対的に読まれてるな。それでは大隊が七面鳥撃ちにされる。」
「されるでしょう。」
むずかしい問題だ、一瞬ルーカスは諮詢するものの覚悟を決める。
「命令は命令だよ、やるしかないな?」
「ハッ!!」
副官の威勢の良い声を聴いて多少の余裕を心に確保したら、大隊の最先鋒として期待を加速させながら高度を取り始める。しかし、前回とは同じようにはいかなさそうだ。レーダースクリーンにいくつもの光点の集団が映る。フリゲートやコルベット、ポッドによって構成されたドイツ連邦小艦隊だ。
「敵小艦隊、我々よりも高高度に展開しております。」
「クソッ!俺たちは連中の罠のど真ん中に飛び込むことになるぞ!さらにスラスターを吹かせ!!」
ルーカスの言葉で大隊全体はさらにスラスターを吹かし、膨大な量の推進剤を消費しながらもなんとか頭上を押さえられる前に敵小艦隊との高度差を埋めようとする。
結果として、高度差は徐々に縮んでいく。同時に敵小艦隊との距離も縮み、敵艦隊の射程に入る。
「敵弾飛来!!ミサイルです!!」
この距離だと敵小艦隊の陣容もよくわかる。ルーカスは即座にレーダースクリーン上の情報から、フリゲート10隻とポッド大隊2個からなる強力な戦力だ。
「飽和攻撃か!!」
敵小艦隊の指揮官がこちらのハードキル型アクティブ防護システムの存在に気が付いていたのかはわからない。しかし、長距離から戦闘が本格的に始まる前にミサイルを撃たれることで、ミサイルたちを撃墜するために防護システムは使用される。ハードキル型の防護システムは散弾のようなものを射出して敵ミサイルを破壊するため残弾には限りがある。なるべく万全の状態で本命の敵艦隊と戦いたいルーカス大隊にとって眼前の敵小艦隊に、限りある防護システムを消耗されることは最悪である。
「仕方ない!!各機照準、防護システムを使わず人力で120mm砲で撃ち落とすぞ!!データリンク起動!!」
データリンク起動のルーカスの言葉と共に、眼前のモニターに映る敵影の上にいくつもの番号付きのマークが現れる。マーク一つ一つが友軍機がどの目標を狙っているのか示す。合計36個のマークは敵ミサイルを次々とロックオンしていく。
「撃てッ!!」




