メカナイズド・ハート 125話
夜遅くの投稿となります。
おや・・・?
死んでいないぞ・・・?
ルーカスは、暗闇の中で自らの体が首からかけられたピアノ線以外にも足元にある大きな台で支えられていることに気が付く。下を向いてよく見ようとすると首に落下する上でピアノ線でひっかかれた顎と首部がひりひりと痛み、風が傷口付近をなでることにより鉄板を押し当てられてるような痛みとかゆみがやってくる。
その感覚はすべて、ルーカスが無事元気に生きているということを証明する。
不審に思い、頭上を見ればさきほどまで立っていた部屋の穴が見える。
「おかしいな・・・、刑のやり方を間違えたのか?」
「いや、間違っていないよ。」
暗闇の奥から自信たっぷりの声が聞こえてくる。
セルゲイの声だ。
直後には、セルゲイが暗闇の奥から観客を驚かせて楽しんだマジシャンのような、いたずらで楽しむ無垢な笑顔を見せている。
「どういうことだ?俺を生かせ続けたところで変わらないぞ。」
「いや、別に変らなくていいさ。殺したという書類上の事実が欲しかっただけなのだから。」
その言葉でルーカスはわずかに首を掲げる。
書類上死んでいる人間とは、穏やかではない。書類上での死は、国家や社会が提供する公共サービスから隔絶させられることになる。
同時に、国家が国民にたいして行う人口管理や警察用の追跡デバイスやネットワークから一度外れることができる。
「その言葉じゃまるで俺になにか後ろ暗い事でもさせようとしてるみたいだね?」
「はっ、ばれたか?」
「わかるよ、何をするのか教えてくれ。やばそうだったらもう一度死んでおくから。」
ルーカスは自らが受けた死刑体験を冗談のネタに使い始める。
「君の次の仕事は後方での新しい大隊用の補充パイロットの育成だよ。」
「なんだ、そんな仕事か・・・・。安心したけど、むしろ俺にやらせる理由がわからないんだけど?」
ルーカスは言葉の通り、非常に安心する。
通常、一度持っていた書類上の自分の体を失った人は、多くの場合反政府的な活動や秘密警察の活動にかかわり他人の書類上の立場を使い反社会的、非道徳的な行動をとることになることが多い。
彼らは社会サービスから隔絶されたことで、就職や医療機関の利用、集合住宅の賃貸や購入、公共交通機関の使用も使用することができなくなる。そのためテロ組織や秘密警察などの代わりの書類上の体を用意することができる、ちょうどよい使い捨ての鉄砲玉を必要としている組織と協力せざるを得なくなる。
「まあ、どっちにしろ今までやってきた傭兵業と変わらないか。」
真夜中なので読んだら眠りましょう!!




