メカナイズド・ハート 100話
引き続きエネルギー戦闘です。
ベル機が緩い旋回を行い数度程度の飛行角度の変更だけでルーカスが放った牽制射撃の砲弾を全て回避する。
「さてどう出るかな?」
もとより有効射程距離圏外から放たれた120mm砲弾はベル機がまっすぐ将来位置まで飛び続けたとしても、砲弾は分散しすぎて命中しなかっただろう。だが、ベル機を挑発して上昇させることができれば、エネルギーを使わせることができ格闘戦も一撃離脱もやりやすくなるだろう。
そう予測しての射撃だった。
しかし、ベル機は動かない。
こうなるとルーカスとベルのにらみ合いが始まることになる。
「はあ~、早く動けよ。」
ルーカスはにらみ合いが始まってから数秒後にはすでにイライラしだし、ふっとペダルの先にあるわずかな空間に向けて足を蹴り出す。
その直後、ベル機がまっすぐ真下を突っ切り緩やかに上昇し始める。
もっともルーカスにとって都合が悪い展開だ。真下を突っ切って進まれると互いに逆方向に進み続けることになり、互いにどんどん距離が開かれてしまうだろう。大きく旋回して追いかけるか、スラスター逆噴射で進行方向を逆転させるにしても、多大なエネルギーが必要になってしまうだろう。
しかし、追いかけないという選択はできない。現在ルーカスが保有している高度優位は、ベルが緩やかな上昇を続ければ続けるほど失われていく。
「くそっ。」
ルーカスは一つ悪態を吐きつつ高速で慣性と遠心力で前に飛ばされる機体を、スラスターの噴射角度や機体の姿勢を変えることで旋回させはじめる。
旋回が終わっても、ルーカスはそのままスラスターを噴射し続け、ぐんぐんとベル機との距離を近づけていく。ルーカスは射撃システムをレーダー誘導システムへと変更させると、背部ハードポイントに懸架している対ポッド用のミサイルを発射する。
ミサイルは発射後、順次加速して120mm砲の数倍の速度でベル機の背後に迫る。
しかし、逃げるベル機をルーカスが追うという状態で発射されたため、かなりの加速を行ったミサイルもベル機のでかいケツに追いつくのに時間がかかる。それすなわちベルに余裕を与えるということでもある。
幸いにも、高度ではいまだルーカスがベルに対して優位を確保しているため、高いところから放り投げて攻撃するようにミサイルの有効射程を大幅に伸ばすことができ、有効射程圏外まで逃げられるようなことはない。
「さあ、動けよ。」
ルーカスの腹立たしい声が聞こえたのかはわからないが、突如としてベル機が上昇角度を大きく変えて急速にエネルギーを燃やしながら上昇しているのが見える。
眠いですね。




