第六話:遊戯(前編)
「死亡遊戯?!しかもあの酒だって?!
お前、この街に来たばかりの人間にやることか?!」
オコウは善意からリオレッドを怒鳴る。
しかし、一方のトリイは既知のもののようだった。
「ほう、ここにもあるのか”死亡遊戯”…」
トリイはポツリと呟いた。
説明しよう!死亡遊戯とは!
「俺より(肝臓が)強い奴に会いに行く。」をスローガンに!!!
ヒガシオオサカにて400年以上の歴史を持つ飲み比べ大会である!!!
ルールは至ってシンプル!!!
どちらかが潰れるまで飲み続ける!!!
飲む酒の種類は最初に指定されたものを差し水などもなくひたすら飲み続ける!
そして、潰れた方が会計を持つ!!!
場合によっては(なお、ほとんどの場合)敗者には他の客の酒代も付けられ、取り返しのつかない額となるため、店はその莫大な借金を抱えた敗者を店員(と名ばかりの奴隷のような債務者)を得る!!!
高知、沖縄、九州、北欧とあらゆる地域から国境をも超え、この遊戯に参戦してきた者も居たが皆ヒガシオーサカの猛者達に打ちのめされ、店員となり、二度と故郷を拝むことはないだろう!!!
店員としての生活はまさに奴隷!!!
怒号の止まない店内!!!常に稼働し続けるドリンクカウンター!!!地獄の釜のようにドス黒いフライヤー!!!
繁忙期の鳥○族がキッ○ニアのように思えるような地獄の接客地獄が毎日続く!
せめてもの慈悲のように見える、酒一杯と味が濃く油分を多く含んだ飯が賄いとして提供されるがそれは罠!!!
二杯目以降の酒、飯はもちろん有料!!!!!!
勧められるままに飲んでしまい、返済を延ばす者が多発!!!
開き直って狂ったように飲み食いし、借金を増やしすぎた者は
24時間365日爆音の異音を奏でる工場に消えていき、戻ってくることはなかった…。
それが死亡遊戯!!!!!
文字通り自分の人生をチップに酒を飲む、狂人達の遊戯なのである!
ん??ちなみになんでヒガシオーサカの奴らは負けてないのかって?
酒盛り中に酒が切れたらその辺の工業用アルコールを飲んでる連中ですよ、面構えが違う。
閑話休題
異世界の死亡遊戯のルールもそう変わらず、一点異なる点は
「対戦相手のみの代金を敗者は持つ。
そして、敗者は勝者の言うことを一つ聞く」
というものだった。
「お前が負けたら、一生この街の門番でもやってもらおうか?
ちょうど、仲のいい先輩殿もいるようだしなぁ?」
リオレッドは己の勝利を信じて疑わずトリイとプラムを嘲笑する。
「クソッタレ!!もう勝った気でいやがる!トリーサン!奴はハーフドワーフでこの死亡遊戯で負けたことのない猛者なんだ!いくらトリーサンと言えd 「乗った」 トリーサン!?俺の話を聞いてたか?」
「聞いていた、タダで酒が飲める。なんの問題がある?」
「トリーサン!負けたら一生この街で門番生活だぜ?!」
「プラム、お前の前に立っている男を誰だと思っている?」
「ヒガシオーサカ死亡遊戯無敗の男だ」
プラムはその言葉の裏にある数々の激闘を幻視した気がした。
高知、沖縄、九州からの刺客との闘い…(異世界人でも格の違う酒飲み人種だと理解ったようだ)
彼らを容易に打ち負かすトリイ。
敵討に来た彼らの親族との多面撃ち死亡遊戯…
またも彼らを容易に打ち負かすトリイ。
数々のヒガシオーサカの酒場を荒らしまわった北欧からの怪物。
通称”海賊王”
”海賊王”との真っ向一騎打ちビール一本勝負で36時間飲み続け”海賊王”を下し、”海賊王”一人と引き換えに”海賊王”に敗北したヒガシオーサカ中の債務者を解放する協定を結んだこと。(ヒガシオーサカではこのことを36協定と呼ぶ)
(トリイは勝利した時のこの協定についてよく覚えていないが、この日以降泣きながら一杯奢ってもらうことが増えたのでなんか分からんが得したと思っている。)
何せこの男の言った「ヒガシオーサカ死亡遊戯無敗」という言葉の重みと気迫。
何より有無を言わさぬ凄みがそこにはあった。
「さぁ、飲もう」
トリイはカウンターから店の中でも一際大きなテーブルを選び卓についた。




