氷薔薇
日本に帰ってきた直斗達は五堂教師から3日間の休息を貰った。
向こうでの生活を忘れて、学園での生活を取り戻すために。
少なからず影響が残っていると判断されているのだろう、まるで犬を追い払うように五堂教師は直斗達を家に帰した。
今回のサバイバルでの報酬にパーティーポイント、合わせて1学年4位となっていた。
1位~3位はAクラスが独占、4位がCクラスのリーダー直斗だったので話題になった。
ちなみに、1学年15パーティーで脱落が8パーティーもあった事は教師達の評価を落とす結果となった。
第一エリア幹部により脱落パーティーの教師は入れ替
え案がだされたが保留となっている。
休みを満喫していた直斗に五堂教師から今回の配当金の内訳がメールで送られてきた、修正があるなら書き直して送れとあったが修正する事も無いので了承してそのまま返す。
すぐに五堂教師から確定のメールが届く、今回は第一エリアの流通に乗せられる肉や素材だったので、高額で買い取られていた。
(一人、658万ポイントか………そんなに狩ったか?)
直斗にはこれぼど魔物を狩った記憶がなかったが、こっそりと白雪がティーアに狩った魔物を届けていた事を知らない。
また、1位のポイントは703万ポイントで1位~4位までは僅差だった。
まあ、ボーナス程度に思っているかと切り替えて直斗はスマホを弄る。
途中でエリーナから焦った様子のメールがきた。
ー直斗さん、ど、どうしましょう。すごいポイントがきたんですが?わ、私はどうしましょうー
ーうん。それ、普通だから慣れてー
ー………………はいー
嘘も方便だと思い直斗はそう返した。
エリーナの能力なら時間の問題だったはずだ、彼女がCクラスなのがおかしい。
能力査定が変なんじゃないのかと思いつつ休みが過ぎていく。
ー直斗様、ご機嫌麗しゅうございます。あの件ですが氷花という花をご存じですか?その中の氷薔薇には精霊を癒す効果があるとの事でございますよー
休息最終日。
突如、花さんからメールが届く。
(?、なんだろう。花さん疲れているのかな?)
変な言葉遣いで書いてあるメールを読み首を捻る。
(しかし、氷薔薇か?もし効果があるなら取りに行けないかな)
今だに睡眠中の白夜、もし何らかの効果があるのなら試してみたいと直斗は思った。
(しかしこれ、何処にあるんだ?)
スマホを弄り、検索をかける。
氷薔薇とでたので、見てみる。
(場所は水の国マリキュスにある氷山アーミル。その山頂近くに作られる氷の花だって………)
水の国、まだ行った事は無いが島が多く水の豊富な国らしく、1つの大陸ではなく幾つもの島が存在していて大型船で島々が渡れる。
そのせいか、魔物も海や川に多く住む。
各島の代表が集まり全体の方針を決めているらしく、島全土を巻き込んだ侵略戦争などはこれまで無かったほど平和らしい。
その島の1つに氷山アーミルが存在する。
スマホの依頼掲示板を見ても水の国への依頼は無かった。
依頼がなければそこに行くわけにもいかないので、直斗はとのことを一旦胸に閉まった。
休息日も終わり学園に登校する。
8月に入り大型連休の夏休みだが、授業が無いだけで狩りに休みは無い。
ナイトラウンズは解散、暁の戦姫は五堂教師の特別授業で1から叩き直されている。
夏休みに余計な仕事を増やしやがって、と暁の戦姫のメンバーは毎日泣いているらしい。
直斗は今後の予定を決めるために活動拠点の氷依の部屋にと向かう。
途中でエリーナと会い二人で向かった。
「直斗さん、おはようございます」
「うん、おはよう」
「今日は次の予定を決めるのですよね?」
「そうだよ。ランクが1つの上がったからBまでの依頼を見て決めるはずだよ」
そう、この間のパーティーポイントでトルネードのランクがCからBにあがった。
これで、2年生に上がるのはエリーナを除けば確定となる。
エリーナは途中でパーティーに入ったのでもう少しポイントを貯めなければならない。
ナイトラウンズに居たときのポイントは雀の涙程度だったので、エリーナの今のポイントでは届かなかった。
「エリーナさんも、もう少しでしょ?」
直斗の顔を見てエリーナが頷く。
「ええ、今年中に貯まればいいので焦ってはいませよ」
それはそうだろうと直斗は思った。
夏休み前に進級が決まる方が珍しいのだ。
幸運にも恵まれ、直斗は進級を決めたがそれに見合う実力があるのかと言われれば首を振るしかない。
それを自覚しているので、直斗は心中でしっかりやらないとなと改めて考えていた。
氷依の部屋に入り、全員が揃っているのを確認する。
軽く挨拶をして各々、好きな場所に座りこれからの活動について話し合う。
「う~ん、今は良いのが無いのよね」
スマホを弄りながら氷依が呟く。
それに頷く花さん。
直斗もそう思っていた、だが何も決めないわけにはいかないので、とりあえず無難な依頼を提案しておく。
「そうね、遊んでるわけにはいかないから決めましょうか?」
エリーナも魅沙も基本、こちらに任せているが自分の意見が無いわけではない。
嫌なものは嫌と言えるので、何も言わなければこれで決まりとなる。
「また火の国ですね」
「私も行った事があります。まあ………ネズミ取りでしたが暑い所でした」
今回の依頼を二人で見ながら懐かしそうに魅沙とエリーナが話をしているなか、じゃあコレでと依頼を受けるボタンを押そうとしたとき。
ピコンピコン!
と直斗のスマホが鳴る。
「えっ?」
画面が切り替わり、緊急依頼の文字が画面にでる。
「どうしたのよ?」
直斗が緊急依頼の内容を読んでいる表情を見て氷依が訝しげに聞いた。
「水の国が豊漁で手の空いているパーティーに学園から緊急依頼がきた」
「水の国ですか」
それを聞いて花はあの事を思いだした。
「ええ、花さんが教えてくれた氷薔薇がある国です」
どういうこと?
と、その話を知らない魅沙やエリーナが喰いついてくる。
直斗は花からのメールで知った情報を言ってきかせる。
「それなら水の国に行きましょうよ」
「魅沙さんに賛成です。これはチャンスですよ直斗さん」
「でも………」
個人的な事に皆を巻き込んではいいのかと直斗は悩むが。
「いいじゃない。今回はろくな依頼が無いし、火の国に行くより水の国の方が涼しくていいわ」
「そうですよ、火の国で買った水着も………!」
「何です?魅沙さん?」
「エリーナさんの水着も買いましょう!」
「そうですね。可愛い水着を選ばせてもらいます」
すでにエリーナにロックオンした花が任せてとばかりに胸を叩く。
「ね、皆も賛成のようよ直斗」
「………………ありがとう」
そう呟き直斗は緊急依頼を受ける事にした。
そうと決まれば動き出しが早いのがこのパーティーだ。
向こうに着いて必要な物を書き出していく。
そこで気づくのはエリーナには水中で活動できた指輪が無いことだった。
また月夜に頼むかと思ったが、水の国まで来れないだろうし物も無いだろうとの結論に達する。
「まあ空気玉を舐めれば良いでしょう。緊急依頼なら皆、同じことを考えるはずだから買い占めらる前に買うのよ」
「そうですね、それから指輪を探してもいいです。だけどエリーナさんの水着は絶対買いますからね」
「………はい。よろしくお願いいたします」
ちょっと引いたが、自分を思っての事と言い聞かせエリーナは魅沙に頼む。
それでだいだいの意見がでたので直斗は皆を見渡して水の国へと出発する事を知らない伝える。
「僕の都合も入っているけど皆、よろしく」
「「「「はい!」」」」
気合いの入った声を聞いて直斗は水の国へと出発した。




