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白夜

直斗は家の天井を見つめていた。

この2週間毎日だ。

こんなに自分の家の天井を見たことはない。


依頼を終えて帰ってきた来た直斗は花さんにお姫様抱っこをされて、学園の医務室に連れていかされた。

放課後の学園にはまだたくさん生徒がいて恥ずかしかった。


校医の先生に見てもらったところ、回復薬の飲み過ぎによる弊害との診断がでた。

四肢が動かなかったのでベットに寝かされたまま、氷依を見る。


その氷依が花さんを見ると動揺する花さんという珍しいものが見られた。

ツイ夢中で………………。

その後に続く言葉は聞き取れないほど小声でムニュムニュと言って顔を伏せていた。


校医の先生がまずは体の中に燻り続けている回復薬を取り除いてから治療をしないと始まりません。

と言って直斗に猿ぐつわを噛ませる、回復薬の効果を取り除いた時にどれだけの痛みが体の中に残っているか判断ができなかったからだ。


直斗はされるがままに身を任せる。


校医の先生が何やら呟くと直斗の体から、ゴッソリと液体がでて先生の用意していたビンに詰められる。


直斗は体の奥からなにやら抜ける感覚を感じたその時、体の芯から痛みを感じた。


その激しい痛みに噛まされた物体を噛み砕かんばかりに力がはいる。


その様子を見ていた氷依達がおもわず詰め寄りそうになったが、先生が右手をあげて制する。

そして再び魔法を使用。


光の粉のような物が直斗の全身に浴びせられると、直斗の体から痛みにが消えて力が抜けた。


「もう、大丈夫です」


その言葉を聞いてホッとする氷依達。

先生は直斗の猿ぐつわを外して触診する。


「光羽くん、痛みはありますか?」


直斗は首を微かに振ってない事を示す。


「?。どうしました?」


先生は直斗の様子に疑問を感じて聞いてきた。


「………体に力がはいりません」


直斗はそう言うと右手をあげようとする。

その手が弱々しく震える。


「ほう。………………ふむ」


何か考え込んだ先生はジーと直斗を見つめ言う。


「命の危険の他になにか限界まで体を酷使しましたか?」


「………はい」


「ふむ。ならそのせいですね。筋肉痛です重度の」


「え?」


「筋肉痛です。それと血が足りないことによる意識低下。血の方は食事と点滴でどうとでもなりますが、筋肉痛は全治2週間ぐらいですね」


「………あの、魔法で………」


「う~ん、これ以上の治癒魔法は体が受け付けないでしょうね。逆に拒否反応がでてしまいますから、本来ならば徐々に体を慣らしすんですが………………珍しいですよ?初の依頼でここまで重症を負うのも」


先生は苦笑いを浮かべて直斗を見る。

その視線におもわず顔を背けると、先生は氷依達にあと2時間は治療がかかりますからと言って家に帰るようにと勧める。


「ですが………………」


その言葉に花さんが反論しようと口を開くが氷依が止めた。


「彼は家に1人で帰れるのですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。歩いて帰れるぐらいにはなるはずです」


その答えに氷依は思案顔をして、おもむろに頷くと不服そうな花さんと心配そうな顔をしている魅沙を連れて部屋を出ていって。


「さて、光羽くんも覚悟してください。今から行うのは魔法治療ではなく現代治療ですが、まあ問題ありません。時間がかかりますけどね」


先生は苦笑いを浮かべて言うと直斗の体に針と管がついた物を直斗の体に刺していく。


本当に2時間、直斗はベットの上で寝かされたまま治療をさせられていた。

そのお陰か、足腰に力があまり入らないが立って歩く事ができるまでに回復すると先生にお礼を言って帰宅した。


そしてこの有り様だ。

足をプルプルと震わせながらなんとか帰宅。

そのまま布団の中へ。

翌朝から布団から出るのが嫌になるくらい力が入らない。


どうしようかと直斗は悩む。

先ずは学園に連絡、クラス担任の五堂茜教師に事情を説明して2週間の休みを伝えた。

すでに事情を聞いていたらしく爆笑された。


あとは氷依と魅沙さんにメールで状況を伝えた。

魅沙さんはお大事にと労れ、氷依は約束の2週間の休みよと書いてあった。


これで学園へ行かなくても良くなったが、ずっと家に籠っているわけにはいかない。

自分で作るにせよ弁当を取りに行くにせよ、外出しなくてはならないのがネックだ。


2日分は問題ないが、それ以降どうしょうかと悩む………………後はどうにでもなれと直斗は寝た。


空腹ギリギリまで布団の中で過ごし、食事やトイレは1回ですむように水分や食事の量を少なくして4日が経過。


流石に食材が尽きた。

多少は良くなった体にムチを打って外に行くかと、家に帰ってから放り出していたスマホを久しぶりに手に取り中を見る。


(?、メールか?)


スマホに見たことのない点滅の光が………………。

恐る恐る直斗はスマホの中を確認するとメッセージに精霊召喚とある。


(精霊召喚?なんのことだ?)


直斗は確認するために中を開く。


ーレベル7になりました。

精霊召喚か精霊武装レベルアップのどちらかを選択できたのですが、放置されたので強制的に精霊召喚にしましたー


(選択?………………ああ!!!)


直斗はガクと膝を折り、さらに体に力が入らないので俯せになって悔し涙がでた。


(選択って………………)


直斗はゴロンと仰向けに体制を変えるとスマホの精霊召喚のボタンを押す。


(なにがでるかな?)


まだスマホを持つ手が震える中、しばし待っていると。


「じゃん!呼ばれて飛び出でて~!白夜ちゃんだよ~」


スマホの画面から黒猫が顔を覗かせる。


(………………………)


「マッ、マスター?どうしました?」


何も言わない直斗が不安になり白夜が慌てて問いかける。


「おっ、お前。そんなキャラだったか?」


「何を言ってるのかな~、マスターは。私は私です、女は幾つも顔を持っているのですよ!」


「はぁ………。でっ、お前が出てきてなにが出来るんだ?」


「ふふふん!マスター、よくぞ聞いて下さいました。私、白夜が来たからにはマスターの世話は上から下までお任せを!」


ニョロリ!とスマホから出て来た白夜は直斗の目の前に浮かびながら、嬉しそうにクルクル回る。


「いや!下は勘弁してほしいが、白夜が世話?………………できるの?」


「はい!猫の手も借りたいですよね?お任せ下さい。マスターの精気を吸って変身です!」


妙な事を口走った白夜が直斗の横に移動してキラリと輝く。


「なっ………………なんで?」


顔だけ横を向けて直斗は三つ指をついて直斗に頭を下げる着物を着た少女を見た。


「マスター、改めまして白夜と申します。なんなりと申し付けを」


少女は顔をあげて直斗に、ニッコリと微笑む。


「え?………あぁ。本当に白夜?」


「はい!マスターの精気を吸って人型に変身しました。なりはちっこいですが高性能ですよ」


「………精気?」


「?、失礼しました。魔力です。マスターの駄々漏れしている魔力を私に集めて力にしておりますので安心してください」


(………安心?なのか?)


白夜は早速、直斗を抱き抱えると布団まで運び直斗を寝かせる。

8歳ぐらいの少女に抱えられる直斗は顔から火が出そうなほど恥ずかしかった。


直斗が寝たきり生活の2週間を白夜が良く介護してくれた。

家事に掃除、お風呂の世話まで万能にこなした白夜はご褒美として夜は直斗と添い寝を希望して、渋る直斗に魔力供給が必要ですと強引に納得させてご満悦だった。


最後の方はかなり動けるようになった直斗だったが、白夜は動けるなら筋トレをと言って直斗の世話を続けた。


鈍った体が悲鳴をあげる。

1週間以上、寝たきりだったとはいえ予想外だった。

予想以上に筋トレが辛い。

白夜は限界までやらないといけません!

と言って強引に筋トレを直斗にさせる。

その夜、白夜のマッサージを受ける。

直斗はそれが狙いか?と疑いたくなったが、それでも献身的に世話をしてくれた白夜を恨むきはない。


すべては自分の為と心に刻み筋トレに励む。

黒髪を肩辺りで揃えている白夜は着物を身に付けているせいか日本人形のようにも感じられる。


そんな白夜を微笑ましく見ている直斗がいる。


(僕は変わったのかな?)


そんな変化に直斗は嫌な気はしなかった。


そして2週間がたち、直斗の体もいつもの状態まで回復。

今日から学園に復帰すると担任にも氷依達にも伝えてある。


「白夜、ありがとう。お陰で回復したよ」


「いいえ。当然の事をしたまでです!これからずっとお側に居るのですから遠慮はしないで下さいませ!」


「………………えっ?」


「なにか?」


直斗の呆気に取られた顔をそれが当然でしょ、と首を傾げる白夜。


「ギフトの中に帰らないのか?」


「はい!普通なら負担にならないように必要に応じて出るのですが、マスターはまったく!気にならないほど鈍感………いえ駄々漏れですので帰る必要がないのです」


「そ、そう?でもいいのかな?」


「はい!問題ありません。学園の規則もチェックしました、問題なしです!」


グイ!と胸を張る白夜の頭を撫でて、直斗はじゃあ良いかといろいろ諦めた。

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