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水牙大蛇

翌朝、直斗はいつも通りに起きて準備をする。

1階にはすでに氷依達が集まり談笑していた。


直斗が階段を下りてくる姿を魅沙が見つけて挨拶をする。


「おはようございます、直斗さん」


「おはよう魅沙さん。氷依と花さんも」


「うん、おはよう直斗」


「おはようございます。直斗様」


テーブルに付き直斗は注文を聞きに来たさゆりちゃんに朝食を頼む。


「今日でこの宿ともお別れね」


「楽しかったです。また来たいです」


「失敗は考えないの?氷依」


「当たり前でしょ。殺る前から負ける事を考える人はいないでしょ!」


微妙に視線を反らす直斗を花さんが射ぬく。


「直斗様………」


「はい!」


思わず姿勢を正して返事をした直斗を魅沙はクスクスと笑い、氷依は飽きれ顔で見つめていた。


「コホン!えっと、この後は魔道具屋に行ってから湖に行くでいい?」


「ええ、回復系のアイテムはやっぱり必要だしね」


「銀行にも寄らないとダメですよ?」


「あっ、そうだね。銀行に寄ってから魔道具屋に行こう」


直斗の言葉に頷く一同。

さゆりちゃんが持ってきてくれた朝食を平らげて直斗達は母娘に見送られて宿を後にした。

別れ際にさゆりちゃんから絶対勝ってねと言われて直斗は頷いた。


首都マズウェルに行く為には絶対に立ち寄らなければならない街ファヤ。

活気があって良い街だ。


まだ3日しかたっていないが聖日本帝国よりも居心地が良いと直斗は感じていた。


予定通り、銀行と魔道具に寄って必要なアイテムを買うと直斗達は湖に向かった。


湖に向かう 人が非常に多い事に気づいてはいたが、午前中の方が人が多いのか と思いたいして気に止めなかったが、湖の広場まで来るとあまりにも人が溢れているので呆然としてしまった。


「よお!」


大きな声で直斗達に向かって手を振るガゼを見つけて、直斗達は人波をかき分けて向かった。


「ガゼ!なによこの人の多さわ?」


開口一番、氷依がガゼにつめよる。


「いや~、まさかここまで人が集まるなんて思わなかったぜ!おかげで繁盛してるがな。最後に稼がせてもらうさ!」


ガハハ、と笑い飛ばしてガゼが直斗の肩を叩く。


「それは別にいいけど、準備はできてるのか?」


「もちろんだ!ただ………開始は昼過ぎにしてほしい」


「?、なにか問題でもあるのか?」


「いや………なに、なぁ」


とチラチラと広場の人に集まっている人を気にするガゼ。


「?、あの人達がどうかしたんですか?」


「お前ら昨日なにかやったろ?こっちの予想以上の人間がここに来てるんだよ」


「さあ?わかりませんね」


探るような視線のガゼを直斗は首を傾げて知らないふりをする。

心当たりは無いとは言わないが、今更である。


「それで、何時まで待つのですか?」


「そうだな………………、1時でどうだ?昼飯食って鋭気を養ってくれ」


「どうする?」


氷依達に視線を向けて問う。


「いいわよ。ガゼ、準備は大丈夫なんでしょうね?」


「おう!そっちは大丈夫だ!後で顔合わせにいかせる」


「ふん。なら、せいぜい儲けなさい。私達も賭けていいの?」


「いや氷依、止めようよ。変なプレッシャーがかかる」


「そう?なら止めるわ。動きが鈍るのは本意じゃないしね」


「そうか?まあいいけどよ。ちなみに賭け率は7対3だ!」


「へぇ。意外に私達、人気があるのね!」


「うあ?………、違う違う。逆だ逆!7が大蛇で3がトルネードだ!」


「はあ!私達が負けるっていうの?信じられない!直斗!絶対に勝つわ」


負けず嫌いの氷依のハートに火が付いた。

直斗は昨日の話し合いでの引き際を自分が判断しなければならなくなったと思い頭が痛くなった。


風通しの良い場所にテントを張ったガゼが直斗達をそこに案内をした。

暑さもやわらぎ気持ちが良い。


ガゼが用意した昼御飯に飲み物。

食べ終わったぐらいにガゼが連れてきた、今回の助っ人。


「よう、邪魔するぜ。コイツらが焔鳥を誘い出す役目をする」


ガゼに連れて来られた3人の手下らしき少年少女。

直斗より年下に見える事に不審げにガゼを見る。


「そんなに心配そうな顔をするなよ!コイツらはお前達より実践経験がある、任せても大丈夫だ!」


ガゼの言葉を聞き、直斗は3人に謝罪して握手をした。


「それで、何時間もつのよ?」


「2時間が限界だと思ってください」


3人の内、唯一の少女がリーダーらしく氷依に答える。

全員が人族の子達だ。


「そう。魅沙、この子達にあれを」


「はい!」


魅沙がゴソゴソと買ってきたばかりの回復薬20ダースをリーダーの少女に渡す。


「はい、これをどうぞ!」


目を丸くする少女に魅沙が

袋ごと渡す。

3人が抱えるように受け取った回復薬をリーダーである少女がオドオドとガゼを見る。


「………いいのかよ?安くはないだろう?」


「かまわないわ!この子達が作戦の成否を決める要よ!だから………2時間、頑張りなさい!」


「ええ、問題ありません。余ったら彼女達にあげてください」


「そうか。なら有り難く頂戴する。お前達もお礼をいいな!」


「「「ありがと!」」」


ガゼと3人は直斗達にお礼を言って去っていった。

後は作戦時間まで待つだけだ。



広場では賭けの終了時間が迫っていた。

直斗達のパーティーレベルと今回が初の戦闘ということで、やはり水牙大蛇が勝つが大半の意見だった。


賭けは勝ち負けの2択が掛け金の2倍。


30分単位で何時間で倒すかが10倍と二種類の掛け方があった。

母親と一緒に来たさゆりちゃんは直斗達の勝ちにお小遣いの全額を賭けて母親を驚かしていた。


魔道具屋夜叉の美人姉妹は好奇の目に晒されながらも湖に来ていた。

月夜さんは直斗達の勝ち、奏では1時間30分で直斗達の勝ちに賭けて楽しそうに決戦場が見える場所に移動した。


そしてこの場にもう一組、ピンクの少女が黒服のお供を連れて湖に来ていた。

少女はジーと情報紙を見て直斗達の1時間の勝ちに賭けてその場を後にした。



いよいよ決戦の時がきた。

直斗達はガゼが用意いた舟に乗り込む。

4人が乗り込んでも安定した舟だ。

その直斗達の舟より更に大きい舟に囮役の少年少女達が乗り込んでいる。


先行で囮役の舟が進む。

続いて直斗達の船がゆっくりと進む。

囮役の船が水牙大蛇のいる反対側の岸の近くに移動して焔鳥を挑発する。


焔鳥の殆どが囮役の船に向かうのが直斗達にも見えた。

大蛇側にも牽制役か数十羽が残っている。


それを確認して直斗の乗った船はスピードをあげて焔鳥の島に向かった。

それに気づいた焔鳥が十羽程、直斗達に向かってきたが問題なく蹴散らす。

そのおまけで直斗と魅沙と花さんのレベルが3になった。


それを確認する余裕はなく、直斗達は焔鳥の島に上陸した。


「みんな周りを確認して、焔鳥は?」


「大丈夫みたいですよ」


「ええ。焔鳥も更に数を減らしてまで攻撃にはこないみたよ」


「安全を確認しました」


全員から安全だと聞かされて直斗は一息つく。

直斗達は島の中間辺りから上陸した。

島の右端の上空に焔鳥の群が見えたので、直斗達は左端にいるで有ろう水牙大蛇の方へ向かった。


島の中央辺りに木が密集して生えているだけで、周りは砂と岩の小島だった。

直斗は歩いていると、小さい黒い物体があちこちに落ちているのに気づく。


「ねえ、これって?」


直斗の親指ぐらいの大きさの物体。

物凄く固く、温かい。


「!、それよ!直斗。焔鳥の卵!」


氷依がおもわず大きな声で直斗の持っている卵を指を指す。

直斗達はそこらじゅうに落ちている卵を見てホッとするやら苦笑するやら微妙な反応になった。


「こんなに?あっ!私………踏んでました」


「まるで………ふ○みたいですね」


魅沙は足をあげて、割れていないか確認中。

花さんはみも蓋もない事を言って珍しく氷依に注意をされていた。


「これなら直ぐに依頼は完了だね」


直斗は辺りを見渡して、無数にある焔鳥の卵を見て氷依達と頷いた。


水牙大蛇に近づくにつれて、その大きさに圧倒される。

水牙大蛇は島に新たに現れた直斗達が来るのを静かに待っていた。



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