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悩みと対抗心

スマホの画面を食い入るように直斗は見つめる。

頭の中は????。


(なぜ?なんでレベルがあがった?)


直斗はステータス画面の経験値を確認すると公園で見たときは0だったのが、8になっていた。


続けてスマホを操作するとレベルが上がった事により魔力と筋力が1増えていた。


(どこか、静かな場所へ)


辺りを見回すが、昼食時ということもあり人がいっぱい飲食店などに群がっている。


(公園まで戻るか?)


どこか静かな場所でレベルが上がった事を考えたい直斗は、公園の事を思い出して向かうことにした。


途中で重くなった財布の中身を銀行に預ける。

大金をもっていることに、直斗には不安はなかったが、さゆりちゃんが青い顔で不安がっていたので別れ際に銀行に寄って預けると固く誓わされた。

この辺りはお金の価値を知っている者と知らない者の差だろう。


約束通りに銀行に寄り、直斗はお金を預ける。


(34万円か………また1万円を財布に戻しておけばいいか)


銀行員にお金を渡し処理を頼むと直斗は公園に向かう。

お金にまだ関心が薄い直斗達より、幼いさゆりちゃんの方がしっかりと考えている。


まあ、あの直斗の賭け方を間近に見ればさゆりちゃんくらい幼くても、ハラハラドキドキと心臓に悪い事は一目瞭然だった。


無事に約束をはたし直斗は公園まで戻ってきた。

ベンチに腰をかけスマホを見る。


間違いなくレベルが2になっていた。

あの路地でチンピラを倒しても、経験値は貰えなかったのにどうして?と直斗は頭を悩ませる。


(あの、遊技場になにか仕掛けがあるのかな?)


実際に経験値が貰えたことから、直斗は遊技場での事が何らかの作用があったと推測する。


(経験値が貰えた条件はなんだ?)


直斗は遊技場での行動を思い返す。

あの数々の機体に理由があるのか、計4回ほど直斗は挑戦した事により何らかの作用があったのか?と考えるが結論がでない。


(まさかお金の魔力?)


ジーとスマホを見つめ動かず公園のベンチに座る直斗のスマホが鳴る。


♪チャララ~ラッラチャッ♪


直斗のスマホから気の抜けそうな音が鳴り、見つめているスマホ画面に氷依の名前が出る。


(あ~、また面倒くさい事な気がする)


直斗は一瞬、着信拒否をしようかと思ったが、その後で酷い事になるのが容易に想像できるので渋々電話に出る。


「直斗!!!」


氷依の大声が直斗のスマホから響く、おもわずスマホを遠くに離す。


「……直斗!直斗!ねぇ、聞いてる?」


なにをそんなに興奮しているのか知らないが、氷依の声量が落ち着いたところで電話にでる。


「あ~、なに?」


「なに?じゃない!あの娘に聞いたわよ」


「あの娘?」


「知らないとは言わせないわよ!宿の娘よ」


「あ~!さゆりちゃん」


「さゆりちゃん?随分と仲良くなってるじゃない、直斗のくせに!」


直斗のくせにとは………。


「で、なに?」


「遊技場」


ぼそりと氷依が呟く。


(ああ。氷依の耳にいれてしまったか、さゆりちゃん)


直斗は目を閉じて合掌した。

氷依が興味を引いたのなら、凄い勢いでさゆりちゃんに詰めより聞きだしたのだろう事が想像できる。


「うん、行ったよ。それが?」


「私達も行くから直斗も来なさい!お金はあればあるだけ良いのよ」


「あ~、無理!」


「なにが無理なのよ?」


「成功者の挑戦は1回のみ。僕ができそうなのはクリアーしたし」


「………そうなの?」


「それに僕がまた顔を出すのは相手を警戒させるだけだと思う」


「………なるほど。確かに直斗の言う通りね。わかったわ、場所は聞いたから私達も行ってくるわ。それで直斗は幾らになったの?」


「34万」


「はっ?そんなに稼げるの、そう………また後で連絡するわ。じゃあね」


プツン………………。


切れた。

氷依の奴かなりやる気を出していたな、変な対抗心を出して失敗しなきゃいいけどと直斗はチラリと脳裏によぎったが、それよりも大事な事があると考え直しスマホのステータス画面を見つめる。


(そういえば、氷依にレベルが上がったと伝え忘れていたな………まぁ、いいか………………って、良くないよ)


直斗はベンチから立ち上がり、氷依達と合流するべく走り出す。


(遊技場に入る前に捕まえないと)


走りながら直斗は氷依達に伝える事があるとメールで送る。

あの氷依のことだから、直ぐに行動にでるだろう。その前に直斗は捕まえる必要がある。


スマホの時計を見るとさゆりちゃんと別れて、気がつけば2時間もたっていた。

返信がこない事に不安があるが直斗は全力で駆ける。


直斗は氷依達を遊技場の近くで捕まえることに成功した。

凄い形相で現れた直斗に氷依達は引いた感じで見つめていたが、直斗から事情を聞くと驚いた表情に変わった。


「で、原因はわかったの?」


「いや、まだだ。そこで氷依達に確かめてほしい事がある」


「確かめる?ですか?」


「そう。魅沙さんには1回、挑戦するごとに経験値が入るか確認してほしい。できれば氷依達もだけど………………できる?」


「余裕よ!花、お願いね!」


「はい、お嬢様。お任せ下さい」


「私もがんばります」


さらに気合を入れた3人を少し心配したが、直斗にこれ以上できることはない。


「ならお願い。結果は夜の集まりの時でいいよね?」


「そうね。レベルが上がったかどうかの結果だけメールで伝えるわ。あとは夜でいいでしょ」


氷依の答えに直斗は頷く。

遊技場の中での経験談を直斗は氷依達に話した。

最後にお金の管理とそれを狙う輩がいるかもしれないと注意すると花さんが深く頷き一言。


「お任せを」


と、珍しく直斗の瞳を見て言った。

重要な事を伝える事に成功した直斗は悠々と遊技場の中に入っていった氷依達と別れた。


この日、遊技場で1つの伝説が生まれる。

レベル1の冒険者らしきパーティーが遊技場の1日の売り上げを、高笑いをして巻き上げた最悪の日として。

またトルネードというパーティー名が世に出た最初の事件であった。



直斗は氷依達と別れて武器や防具などが多く集まる商店エリアまで足を運んだ。

レベルの事など夜になれば大方の事がわかるだろうことから、水牙大蛇対策で何かないだろうかと思ったのだ。


武器に関してはどうでもいいが、防具や魔法道具には興味がある。

初心者の歩き方によると、この世界には回復や攻撃補助のアイテムがあると書いてあった、ぜひこの目で実際に見てみたいと思っていた。


「いっらしゃいませ!」


直斗は商店の立ち並ぶ中で、もっとも大きい魔法道具屋に足を踏み入れた。

魔時マズウェル支店と書いてあったので有名店なのだと思った。


中に入り、直斗ぐらいの少女に出迎えられて店の中を進む。

初めて見る物ばかりだった。


体力回復や魔力回復、傷薬に各状態異常回復など価格が安いアイテムがところ狭しと並べられている。


「なにをお探しですか?」


店員の少女が直斗に声をかけてきた。


「魔法を………」

「魔法ですね?では此方になります」


食いぎみで直斗に答えた少女は防犯対策用の為かガラスの様なもので覆われている棚の前に直斗を連れて来た。


「これですか?」


疑問に思った直斗が隣の少女に問いかける。

中を覗くと、くすんだ色の小指ぐらいの大きさの結晶があった。


「はい!そうですよ。お手頃価格で皆様に喜ばれています」


チラリと値札を見ると1個千円と書いてある。

各属性の結晶があるのはわかるが、高いのか安いかの基準がわからない。


「どの程度の威力があるの?」


「そうですね?………この火の結晶なら火傷で水脹れができるぐらいの威力はありますよ」


「これ以上に威力が高い結晶は?」


「うちでは無いですね。この街では高威力よりもお手頃価格で使いやすい物の方が売れますので」


「そうですか………」


直斗は魔法結晶は諦めて店員さんに薦められた回復アイテムセットを購入して店を出た。


色々と店を回って物と価格を見比べる。

それでも直斗にコレだ!っと思う商品がなく途方にくれて歩いていると、商店街の外れまで来た。


さすがにお腹もすいたので、近くで何か腹にいれようかと辺りを見渡しお店を探すと遥か遠くで光り輝くお店があった。


(なんだ?アレ?)


直斗がその店に近づく、人通りの少ない場所に光り輝く看板に魔道具夜叉と書いてあった。

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