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最終話 戻った平和

「じゃあ地龍なんて嘘なの?」

「ああ。はったりだよ」

咄嗟に出た作り話にしては脅しには使えたらしい。

「本当かと思ったじゃない」

「でも効いただろ」

「あれはあなたが襲いかかって来ると思って怖がってたのよ」

二重の意味でアレク王子もエライザ様も怯えたのだろう。

2人は腰を抜かしていたので撤退時は衛兵に引きずられながらパルデールに戻っていった。


そしてパルデールが敗北した事はすぐに両国に伝わった。

竜の力を見せつけられて王子は逃げるように平和条約をお願いしてきた。


それにはヌーマイト王が我が領地を荒らす事をしない事を条件に金山を巡った両国の闘いは終わった。


「金山はもう竜に力はくれないの?」


「地層に脈はあるからゼロって訳じゃない」


「食材に金粉を混ぜたら竜に力くれないかしら?」


「それはどうだろうな」

「ルリ、さすがにその発想は私達にも無かったわ」

ヴァーミリオンは引き気味になっているところにシスター長が混ざり、ドッと笑いが起こる。


「もう、笑わなくたっていいじゃないですか!?」

と言い返しているとヌーマイト王も笑いながら

「2人とも無事で何よりだ」

と側に来てくれた」


「どうだ?

私とお前で試してみる価値はある」

どうやら王はルリの話にノリ気みたいだ。


「俺は健康だぞ」

ヴァーミリオンが返事をする。


確かに彼と王子じゃ違う結果になりそうだ。


「同じ血が流れているのに無理か?」

ヌーマイト王は残念そうに頭を掻いている。


「え?」

(同じ血って今言ったかしら?)


どういう事と困惑していると

「ああ、そなたには言ってなかったな。

ヴァーは私の弟なんだ」


「ええ!?」


「うわ!いきなりバラすなよ」

ヴァーミリオンは王の口を塞ぐが時既に遅しだ。


「なんで隠してたの!?」


「仕方ねえだろ。

ただでさえ怪我人が増えて適任だったのが俺だったんだ」


「王弟なのに?」



「騎士団隊長が怪我してたんだ。

変わるしかないだろ」



「信じらんない」

「しょうがねえだろ!」


そんなとこがらしいけど。


最初から騙して連れてきたり本当に彼には振り回される。


「もう隠し事はなしよ」

「もうないから安心しろ」



こうしてデ・シャールに本当の平和が訪れた。


♦︎




「そういえば指輪返した方がいい?」

2度目のデートをあの丘でしているルリは街で買ったドリンクを飲みながらヴァーミリオンに聞いた。


「マジかよ」

しかし、なぜか彼は呆れたように返す。


「なによ」


「分かんねえのかよ」

まるでコントだ。

埒が明かない。


ヴァーミリオンは呆れている。


せっかくルリの好きな紳士的に演じて跪いて婚約指輪を渡そうと考えてたのに彼女は鈍い。


「もうお前みたいな鈍いヤツに指輪はやんねー」


その言葉を聞くとルリの顔がボッと赤くなった。


(やっと気づいたか)


どうやら事は段取りとおりにはいかないみたいだ。


(さて、ここからどうやってプロポーズに持っていくかな)


美しい紅い髪の男は頭を掻く。


そうしてこの男は鈍いこの聖女をどうやったら堕とせるかを最初に会った時のように企むのだった。


【エピローグへ続く】







*・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*


ここまで読んで下さりありがとうございます!

気に入って頂けたらいいねやブクマ、感想よろしくお願いします!



次回作をまた載せますのでよろしくお願いします(^^)

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