ギャンブル依存症
徹夜で曲づくりに励むも水前寺清子になってしまった土曜の朝、寝不足。
12時に起きるとラインの着信。
『私、まみ子、いまあなたのお家の前にいるの』
『僕、猫島。いま門沢さんの獲物になっています』
もぞもぞと着替えて家の外へ。私の家の前で猫島くんが捕獲され、まみ子ちゃんの脇に首をロックされていた。
「おはようございます」
「おはよう夢叶! いい朝だな」
「おはようございます」
誰一人もう昼だよとは言わない。遅起き族と時間とか無関係な世捨て人。
「いやあ、きのうさ、パチで8万負けちまって手取り全部パーだから即刻キャッシングしたわ」
「フリマアプリで売れるものはないの?」
二人は住宅地を歩き始め、猫島くんは引き摺られている。
「あ〜、ビールの缶? スーパードライと一番搾り」
手取り8万で随分いいもの飲んでるな。
「そういったものをちまちま売っていくと、意外と大きな額になったり?」
「そうするとな、次の戦いに行っちまうんだよ」
「世の中ではそういう人をクズという」
「なんだと猫島テメエ、ほんとのこと言うんじゃねぇ! 乙女心が傷つくだろ! おい夢叶知ってるか!? きっぷって表面剥がしても改札機通るんだぞ!」
何の脈絡もないな。
「わたしをどこの社の者だと思っている?」
「整備だろ? きっぷは専門外じゃね?」
「知ってるんだなそれが」
グダグダな会話をしながら歩いていると、ラチエン通りにできた長蛇の列に直面した。
「おう、こりゃすごいな」
わたしと猫島くんは首肯した。さすが長年愛されている老舗だ。




