過保護、溺愛揃ってます。
カレドラス侯爵家の皆さんが凄いです。
それからアリアは週末になるとカサンドラの屋敷を訪れ、親しい友人として共に成長していった。
「アロウラおば様、ドレスはクローゼットにもう入り切らないほど頂いておりますので」
もうすぐ15歳になるアリアは、カレドラス侯爵夫人から何枚目になるかわからない程、ドレスを贈られている。
「でも、カサンドラとお揃いのドレスで社交界デビュー、して貰いたいの」
ウルウルと目を潤ませ、悲しげな顔をされるとアリアはどうしても断れない。
「おやおや、アリアでも勝てないとは」
「ラーシェフおじ様、お久しぶりです」
アリアがワンピースを摘み、貴婦人らしい挨拶をすると、優しく頭を撫でるラーシェフ。
「お父様、お帰りなさいませ。本当にアリアは欲が無いのよ」
ソファに座っていたカサンドラが、長めのため息を吐く。
「でもカサンドラ様。頂く理由が……」
困った顔でカサンドラとラーシェフを交互に見るアリアの姿は、華奢で愛らしい。
「では、カサンドラの勉強を見てくれているお礼、という事ではどうかな?」
「カサンドラ様はとても優秀で、私はあまりお役に立ってないかと思います」
これほど優遇されても、アリアはけっして有頂天にならず、万事控えめである。
それが更にカレドラス公爵家の寵愛を加速させる要因だと、アリアは気がついていないようだ。
「ドレスで思い出しましたが、社交界へのデビュー、本当にラーシェフおじ様とアウロラおば様にはお世話になります。父も男手1つで私達を育ててくれたので、私のデビューには困っていたそうです」
アリアが来月ある、王宮での舞踏会でデビューが出来るよう、カレドラス公爵家の人脈を使い、取り計らってくれたのだ。
「カサンドラの時と同じ様に、もっとも美しい舞踏会でデビューさせたかっただけだよ」
優しい笑顔のラーシェフにアリアは、はにかんだ笑みを浮かべる。
「本当なら一緒にデビューしたかったのに、アリアったら半年も歳下なんて」
「ですが、学院には一緒に入学出来ます」
半年前も同じことを言って笑っていた。
「デビューのドレスは、流石にわたくしが用意してはフロランス伯爵が拗ねてしまうものね」
「父も其処だけは、と兄と一緒に頑張ってましたから」
過保護な父と兄は、アリアの為に慣れない事も頑張ってくれる。だから、アリアも家族の為に勉強や魔法を頑張っている為、実力は折り紙付きになっていた。
時間はあっという間に過ぎて、アリアがデビューする日になった。
溺愛、過保護、全部揃ってます。




