恋は突然に
リーヴシェランも危ない人でした。
デニスロード達はリーヴシェランを連れて医務室に向かった。
アリアのお陰でリーヴシェランは怪我もなく、医務官は頭を下げて退出した。
「アリアの力は、やはりかなり強いですわ」
「その様だ。瞬時にあれだけの事を出来るとなると……」
「問題は無いない、という事です」
デニスロード達の話を聞きながら、リーヴシェランは思考の海に潜り込んでいた。
「では、このまま計画を進めていきます」
ジークハルトの言葉にリーヴシェランは、はっ、と顔を上げ、デニスロードを見詰めた。
実の兄だが、彼にずっと恋焦がれていた筈なのに今はその気持ちが無い。
それどころか、今手を打たなければ欲しいものが手に入らない、と焦りを感じる。
「お兄様にお願いがあります」
「リーシェ」
厄介な事を言うのか、と言いたげな兄の顔を見ながら、リーヴシェランは不敵に微笑んだ。
「お兄様、わたくしが卒業する時、父上にわたくしを女公爵にする様、進言して下さいませ」
リーヴシェランの言いたい事が理解出来なかったデニスロードが訝しげにリーヴシェランの顔を見ると、嫣然と微笑み
「わたくし、卒業後、家臣となりお兄様に忠誠を誓います」
彼女の行き過ぎた想いから、リーヴシェランを遠ざけていたが、彼女が有能なのはデニスロードが1番知っている。
「アリア様を側妃迎えたいのでしょ。ならば、わたくしがアリア様の後ろ盾になります」
デニスロードだけでなく、カサンドラやジークハルトまで驚いた顔をした。
優秀な人の本気は怖い。




