表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/10

第1話 夜明けの王子

挿絵(By みてみん)

 ディーア王国の第三王子、アルバ・ディーアは玉座の前で跪き、頭を垂れていた。


「アルバ。此度のポラール王国との和平の実現、誠にご苦労であった」

「お言葉、痛み入ります」


 彼の答えに、王は満足そうに頷く。


「して。褒美を取らせよう。何でも申してみよ」

「ポラール王国第一王女、ノーチェ・ポラールに求婚すること。こちらの許可をいただきたい」


 アルバがその言葉を口にした瞬間、玉座が凍りつく。


「殿下、お考え直しください!! 彼女は十年前、貴方様のご尊顔に傷をつけ、長年の友好を冷やした張本人ではございませんか!?」


 重臣の一人が声を上げた。アルバの頬には、大きな一本の傷跡が走っている。父王は彼をじっと見つめて口を開いた。


「アルバ。お前は、ノーチェ・ポラールを恨んでおるのか?」

「いいえ。この傷は、ぼくが彼女を一人にしてしまった、その証でしかありません」


 広間に決意のこもった声が響く。「しかし……」と言い募ろうとした重臣を、王は目で制する。


「本人が恨んでおらん、と言っているのだ。周りが怒る道理もなかろう。闇の祝福持ちの姫とは、縁起が良いではないか。わが国に、星の輝く夜をもたらしてくれよう」


 重臣は静かに黙り込む。それを見て、アルバは口を開いた。


「ありがとうございます。陛下、一つわがままを申し上げても?」

「申してみよ」

「求婚の使者として、ポラールへ参ることをお許しください。幼少の約束を、果たさなくては」


 彼の目に灯る火を見て、国王は静かに笑いをこぼす。


「顔に似合わず、熱い男よの。よいよい、行って参れ」

「感謝いたします」


 アルバは頭を下げる。地平線のかなたからは、朝日が昇り始めていた。

読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ