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突然の訪問者 テロはおやめください

ナスのフライ美味しいんだよねぇ…

 今日は農場で土いじり、雑草を抜いて耕して、魚粉や龍人族メイドの鱗を粉末にした物を混ぜ、ケレスに種を貰った種を植える。

 デザート作りに欠かせないと言う物でもないがあるとアクセントにはなるのでハーブ類もたまには育てる。

 5列くらい作った所で水を撒いてこの日は終了。

 後は数日ほど様子を見て適度に間引いてやるだけ。

 撤収する前に夕食に使う野菜などを収穫して農場から引き上げた。


 夕食に収穫してきたナスのヘタを取り半分に切る。

 中をくり抜き、取り出した部分を刻み、魚のオイル漬けと混ぜる。

 混ぜ合わせたらくり抜いた部分に詰め、衣をつけフライに。

 ホワイトソースやマカロニと混ぜ合わせじっくりと焼いたナスのグラタンなど、ナス尽くしにしてみた。

 他にも海老の香草焼き、カボチャのポタージュなどを作れば夕食の出来上がり。

 まだ少し時間が余ってるので簡単なものを作る、余ってるとは言えそんなに時間は無いので芋を切って揚げるだけ。

 添え物としては割と万能なお芋ちゃん、焼いて良し揚げて良し蒸かして良し、実に使い勝ってがいい…

 出来上がったものをどんどん山盛りにして行き、ちょうど終わるころに夕食の時間になった。


 食堂にメイド達が集まり各々積み上げられた夕食を好きなだけ持って行く。

 積み上げられた夕食がほぼ無くなりかけたところで。

「私の分が無いんだけど、すぐに作ってくれる?」

「ナスと海老ももっと追加をお願い」

 メイドではない二人がそこに立っていた。

 とりあえず夕食を食べに来ただけの様なので追加で作って渡す。

 二人は出来立てを受け取るとルシフのいる所に歩いて行った。

 三姉妹と仲良く食事を取っていた所に突然の訪問者が現れすごく嫌そうな顔をしてた。


 夕食時に現れた二人はルシフと少し話した後、食べるだけ食べて帰っていった。

「あの二人は何のようだったの?」

「私ー…というか狐?に対しての用事かなぁ…

結構前に海作ったじゃん?あそこの魚とか食わせろって言ってきた。

事前の約束も無く急な訪問だったから直接狐の所に行くとぶっ飛ばされるからね、それで私の所に来たらしい、ははは」

 狐さんに話を通さず来てたのか、まあ飯食って帰っただけだから特に何もなかったけど。

「で、御馳走するって約束はしたの?」

「もちろん、蹴っ飛ばした。

ご主人様の命令なら取っては来るけどそれはメイド達の為だから問題ないけど。

あの海の権利は狐が持ってるからねー、狐が許可出さない限り無理」

 あの二人別にうちのメイドじゃないしな…

「まあどうしてもってのなら直接狐の所に行くんじゃない?」

「夕食をこれでもかってくらい食べて帰ったから当分は来ないんじゃないかな…」

「それもそうだねー、めんどいからもう来ないでほしい」

 夕食を食べるだけ食べて帰った二人の事を考えたなら片づけをしていた。


 早朝、農場で飢えた種の確認をする、少し芽が出てきてる。

 このままいけば2.3日後には全て収穫してしまえばいいだろう。

 周りに生えている雑草を全て抜き去り、抜いた雑草などを纏めている所に捨てていく。

 雑草の処理が終わった後、果樹園に向かい果物を幾つか回収。

 体の汚れを落とし、調理場へ行き皮や種を取り除き冷凍、これで昼食後の楽しみが出来た。

 やる事は終わったのでぶらぶらしてると休暇中のメイドに遭遇し拉致される。

 今日は川の上流で釣りらしい、釣りと言う餌に釣られホイホイとついて行った。


「釣れない」

 釣りを始めて3時間、いまだ何も掛からず。

「その辺中にいますよ?ほら」

 誘ってきたメイドはそこそこの量を釣っている、何故だろうか…

 それからさらに1時間経過したところで何とか4匹は釣れた。

「一度屋敷に戻りましょうかご主人様」

「もうお昼時か」

 もう少しと言いかけたが、昼食の時間帯になってきていたので屋敷に戻る。

 昼食を取った後、調理場へ行き冷凍していた果物を一気に擦り下し混ぜる、後は凍ったままの物をシャクシャクと食べる。

 一緒に釣りをしていたメイドにも渡し暫しの休憩。

 休憩が終わったら再び釣りへ、午後3時までが勝負。

 猶予は約1時間、午前中の負けを取り戻さねばと気合を入れ釣りを再開。

 しかし結果は惨敗だった、小さいのは放し、大きいのだけ持ち帰る事に。

 人数分は無いので取り合いになるだろうなーと思いつつ竿を仕舞っていたら視界が急に暗くなった。


「狐にはばれていないな?」

「大丈夫です、多分ばれていないはずです」

 何やら話し声が聞こえてくる。

「後は交換条件に出せば行けるはずだ」

「すべては食の為に!」

 何かの目的のために誘拐されたようだが…いろんな意味で大丈夫かこれ?

 しかし視界がふさがっているので状況が把握できない、一緒にいたメイドはどうなったんだろう。


「失礼しますメイド長」

「今日は休暇のはずでしたが何かありましたか?」

「はい、釣りを終え帰宅しようとしていた所ご主人様が何者かによって攫われたようです」

「犯人の姿は?後何か証拠となるようなものは?」

「犯人と思わしき姿は見えず、証拠となる物も残っておりませんでした」

「わかりました、ご主人様が誘拐された旨を各メイド達に通達を」

「はい」

「何が目的でご主人様の誘拐を…?まあ考えるのは後ですね…」


「声明文は出来ましたか?ノクス」

「はい、ばっちりです」

「筆跡も分からない、何所から出されたかもわからないように隠蔽もされている、流石ですね」

「早速狐の部屋に置いてきますか?」

「いえ、もう暫く待ちましょう、念には念を入れるのです」

 そんな会話を聞きつつ目隠しと拘束を解いてくれないかなぁーと思っていた。

 というかノクス…ノクスかぁ…


「ご主人様が誘拐され3日ほど経過しましたが未だ犯人からの要求も無く、また証拠も一切見つからず。

このままではお手上げですね」

「どうする狐?いっそのこと周辺に片っ端から殴り込みをかける?」

「攻め入るのなら久々に本気を出す」

「ええ、私もたまには本気で弓を引く事といたしましょう」

「たとえ違っていても後で謝れば問題はないですが、一応形式的なもので良いので各所に通告をお願いしますメイド長」

「メイド達に伝言を頼みましょうか、今すぐご主人様を返せば誘拐したことは許すと」

「では伝えに行くメイド達の選抜をしてまいります」


 視界を塞がれ縛られたままなので何もできず寝る事しかできないので寝る、ただただ寝る。

 そして誘拐されてから何日が経過したのかもはやわからず。

「声明文も出しましたし、後は狐が要求を呑むのを待つだけですね」

「事がすべてうまく運べば…あの海は我々の物!」

「これからは毎日海の幸が捕り放題食べ放題…」

「もう今から涎が止まりません」

 会話の内容から察するに二人は海の所有権と魚が欲しいと、そして既に自分の物になっているような感じだ…

「テラ様、ノクス様、お客様がお見えです」

「この忙しい時期に誰ですか?」

「メイドの様ですがどこのどなたの使いまでかは…何やら伝言があるとの事ですが」

「追い返しなさい、大事なことならメイドなどを使いにはしないでしょう」

「わかりました、では失礼します」

「まったく、もう少しで計画が終わるというときに…」

「そうそう、メイドなんかの木端を使いに出すくらいだから大した用でもないでしょう」


「使いに出したメイド達が皆戻ってきました」

「それで返答はどうでしたか?」

「知らないと答えた所が3ヵ所協力を申し出た所が2ヵ所、追い返されたところが9ヵ所ですね。

知らないと答えた所と協力を申し出たところは念のため内部を探らせて頂きましたが居ませんでした」

「では追い返された所に攻め入る準備を」

「わかりました、ミネルヴァ、出陣の号令を」

「わかった」


「さて、たまった鬱憤を晴らすぞー」

「ご主人様どこー?」「ここにいるのー?」「悪い人たちを倒せばいいのー?」

「うんうん、ここにいる人達皆ぶっ飛ばしちゃっていいからねー、加減もしなくていいよ」

「よーし、突撃だー!」「突撃ー!」「皆壊れちゃえー!」


「ではテレサ、フローレンス、後はお願いしますね」

「わかりましたユノー様」

「行ってきますね」

「わかっているとは思いますが一人も逃してはなりませんよ?」


「もういっそこの地域全部ふっ飛ばせば早くない?」

「そうですね、消し飛ばしてしまいますか?」

「はいはい、ニールとティアもそんな物騒なこと言わないの」

「アナトの言う通りですよ二人とも、せめてお城とその周辺だけに留めて下さい」

「エリスも大概物騒じゃない…?」


「んー、この程度の者達しかいないのですか、がっかりですわね」

「流石フレール様強いですねぇ、ほら、ミウ、そこ危ないですよ」

「ごめんなさいお姉さま」

「それにしてもミアの投げてる瓶の中身も恐ろしい効果ですわね…」

「メイド長仕込みなので効果は確かです」


「さて、貴女方が此処の長ですね、こちらにうちのご主人様が滞在しておりませんか?

もう7日ほど帰ってきていないのですよ」

「さぁ、知らないね、それに急に攻め込んできてこの責任はどう取るつもりだ?」

「そうだそうだ、通告もなく攻め込んで来ると他の神がだまっていないぞ」

「通告は送りましたが追い返されたようですので、実力行使で家探しに来ただけですよ?」

 何やら狐さんの声が聞こえるが声が出せないのでどうしようもない。

「通告なんて来てないぞ、そっちの勘違いじゃないのか?」

「おかしいですね、こちらにも確かにメイドを送ったはずですが」

「え、あれ狐の使いだったの?」

「まじ?どこぞの木端がわきまえずメイドを使いに出したのかと思った…」

「ええ、どこぞの木端ですみませんね、ところで再度お聞きしますがご主人様はこちらにおられませんか?

もう残っているは此処だけなのですよ」

「え、なんて言った?」

「ですから、もう残っているのは此処だけだと」

「他の神の領地は?」

「もう存在していませんね、誰の使いかも確かめることも気づくことも無い木端など存在する意味はないでしょう?」

「…」

「…」

「すみませんでしたー!」

「わたしたちがやりましたー!」


「あー、久々の光だー」

「お待たせしましたご主人様、お迎えに上がりました」

「ありがとね狐さん」

 ようやく解放され体を動かし日を浴びる、縛られたままずーっと閉所に閉じ込められるのはちょっとつらい、寝返りうてないし。

「ところでそこの二人は如何します?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「すみませんすみませんすみません」

 ガタガタ震えながら二人とも土下座していた。

「狐さん的には?」

「今すぐ消滅かと」

「まあ冗談は程々に…」

「ご主人様を誘拐したのですからこれ位は」

 冗談ではあるが威圧しているので二人は土下座したまま固まり、恐怖により漏らし始めた。

 あーあー…綺麗な絨毯が…

「で、実際妥当なところは?」

「領域の消滅は確定、眷属は協力を申し出たところに送りましょうか、私たちの所には必要ありませんし。

二人は…どうしてほしいですか?」

「たすけてくださいたすけてください」

「命だけは…命だけは…」

 下半身と絨毯をびしょびしょに濡らして命乞いをしている。

「助かりたいですか?」

「はいっ!」

「お願いします!」

「では二度とこんなことをしないと誓いご主人様に忠誠を」

「わかりました、この身をご主人様に捧げます」

「私の好みもご主人様に捧げます」

 狐さんが何か怪しい動きをしている。

「はい、こちらでしっかりと契約をさせていただきました、これでもう逃げようとしても逃げられませんからね」

「いえいえとんでもない!」

「絶対に裏切りませんから!」

「とりあえず汚れた服を何とかしましょうか、ご主人様は一足先に屋敷に戻ってお風呂に入れてあげてください、服は用意してありますので」

 狐さんに言われたとおりに二人を連れて屋敷に戻り入浴させ、用意していたメイド服に着替えさせた、しかしなんか気になること言ってたような…


 夕食前に戻ってきた皆の前で二人が謝罪、ルシフがやっぱりこうなったかーって顔で見てた。

 誘拐されてから暫くは簡単な物しか食べていなかったらしいので合成に肉と魚のフルコース。

 皆泣きながら食べていた、誘拐した犯人の二人も泣いていた、罰として夕食抜きになったから。

 後で何かこっそり作ってあげよう…


「ではご主人様、その身の程を知らない二人に色々教えてあげてくださいね」

 狐さんが椅子に座りこちらを見ている、二人は怯えているが…

 何に対して怯えているのか、狐さんか、これから行われることか、それとも両方か…

 どちらにせよ逃げられないのでどちらも腹をくくるしかない。


「そう簡単に意識を手放すようでは満足させることはできませんよ」

 気絶するたび気付けをする狐さん。

「もう休ませて…」

「これ以上は無理…」

 テラとノクスは懇願してくるが…狐さんの監視があるから手を抜けない、ごめんね?

 その後の狐さんの気付けにより意識を無くしては取り戻しが朝まで続けられた。

 暫くの間テラとノクスに距離を取られるようになったが、だんだんと慣れくっ付いてくるようになった。


「ふと気になってたこと思い出したんだけど」

「どうしましたか?」

「いやー…あの二人をお風呂に入れた時二人のサイズに合わせたメイド服が用意してあったけど…

あれ何時から用意してたの?」

「誘拐される前日ですね」

「誘拐されるのが分かっていたと、そしてそれを放置したと…」

「その通りです、邪魔にしかならない領域とそこに滞在する勘違いしている者達を潰せて、さらに神族のメイドも二人入手できて一石三鳥くらいですね」

 夕食に来た時からすでにメイドにする気満々だったらしい…

「結局は狐さんの思い通りに事が進んだと…」

「はい、本来の目的は領域の排除と掃除でしたが、誘拐する計画を立てていましたので、これ幸いにと誘拐させて身分をメイドに落としてやりました」

 誇らしげに尻尾を揺らしている狐さん。

 狐さんが干渉して誘拐させたらそりゃ証拠も出ないわ、探す側が証拠握りつぶしてんだもん…

「ご主人様もメイドが増えてよかったではありませんか」

「まあ…それは…」

 これからも狐さんの気分次第でメイドが増えていくんだろうなぁ…そう思いながら狐さんを7日分たっぷりと可愛がった。

 他のメイド達も暫く仕事はお休みだな。


 7日間ずっと捜索活動を続け、屋敷の事がおろそかになっていた結果一つの悲劇があった。

「どうして…こんなことに…」

「もう手遅れだ…」

「まだ、まだ大丈夫な子たちがいるはずです!」

「もう無理だ!諦めるんだケレス!」

 7日間も放置されミントに支配されつくした畑を見て取り乱すケレス。

 ただでさえ繁殖力の強いミント、そしてケレスの生み出した特製の種に龍人メイドの鱗を粉末にした特別肥料…

 その繁殖力はすさまじく屋敷にまで迫ろうとしていた…

 ケレスどころかクロノアも半狂乱になり行動できなかったので狐さんがミントを消滅させて解決した。

 収穫するのを忘れたので後日また種を植えた、今度はちゃんと処理した。

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