6, たかこちゃんの悩み
最近、ちょっとだけ心がうるさい。
好きとか、違うとか、まだそんな段階じゃないはずなのに。
考えないって決めたのに、気づくと考えてしまう。
これはたぶん、はじまりの前の、もやもや。
最近ちょっと考えてしまう事がある。
それは…
朱海班長のこと。
よくわからないけど、一緒にいると楽しいし、安心するし。
好きか嫌いかって言われると好き。
イケメンだし。
優しいし。
だけど、友達からからかわれるような間柄でもないし。
付き合うとかそういうのでは、もちろん、ない。
だって朱海班長すごーくおにーさんだし、年なんか…いくつ年上?
それすらよく知らないし、私の事は迷子だったから親切にしてくれただけだし。
好かれるような事は、何一つ思い当たらなくて、
ぶっちゃけ班長の事も何も知らないのよね。
の・だ・がぁ、
初詣に誘われたし、行くって言っちゃったし、おもしろそうだし。
たこ焼き食べたいし、りんご飴も食べたい。
今回だってお笑いと、お礼の気持ちを伝えるためだったんだし…
それが終わったから、完了の予定だったんだけどなぁ…。
なんか言い訳っぽいけど。
私も高校受験もあるし、塾もあるし、ダンスもあるし、忙しいので!
悩んでいる暇はないんですけど!
あぁ…なんか気づくと考えちゃってる。
もしかして、あれって、デート?
でーと?
確か、英語の先生がデートって恋愛感情ありきで出かける意味合いだけど、海外の友人は純粋にお出かけすることもデートって言ってたんだよねって教えて下さったのよね。
では、あれは海外風おデート。
幼馴染の枠に入るかな。
うーん、今度班長に会ったら聞いてみるか。
って、えー、なんて聞く?
…恥ずかしすぎる、こんな事を考えているのがばれるのは、かなりヤバい。
自意識過剰だって思われるよなぁ。
今日もダンスで、先頭の車両。
窓のそばには…班長!?
「やあ、今日もダンス?」
「こんにちは、ダンスです。朱海班長はおでかけですか?」
「うん、バイト。映画館でね」
そうなんだ、知らなかった。
「俺、乗り換えだから、またね」
「はい、また」
今日は「おれ」なんだ。
…じゃないでしょ!また乗り過ごしちゃうじゃない!
「あの!実は私も乗り換えで」
「え?そうなの?じゃあ、この間は」
又、半端なタイミングでドアが開き、とりあえず降りた。
この間は…の続きの話と、あれこれ考えていたのをうまく説明するのは、
ちょっとはばかられてしまって、うつむいていると、朱海班長は私の顔を覗き込んで言った。
「あのね、バイト先、上りなんだけど、ダンスはどっち?」
「下りです」
なんか、居心地悪いなぁ、面倒くさい子だって思われちゃう、きっと。
「そっか、ゆっくり話したいんだけど、あんまり時間がなくてね。
今度先輩の大学でお笑いライブがあるんだけど、どう?」
え?誘ってくれるの?
又、行っても、いいの?
「行きます!行きたいです!」
「よかった。
じゃあ、日にちとか、わかったら連絡する」
私たちは堂々と(こそこそする必要はないんだけど!)連絡先を交換して、改札で別れた。
何だかまた、考えてしまう事が増えたような気がするんだけど、
ま、いっか。




