59、 失敗は成功のもと
不器用・センス無し。
でも、失敗にも悪いことばかりじゃないみたい。
ママちゃん大好き! ちゅ!
今年こそ。
去年失敗したフォンダンショコラ。
今度のバレンタインは、成功するぞ!
気合いを入れて作った。
オープンレンジの中でいい感じに膨らんでる。
やったね。
焼き上がって仕上がりを確認すると。
…なぜ?
なぜ、しぼむ…。
さっきまであんなに綺麗だったのに!
何がダメだったのか、わかんない〜。
あー、やっぱ違うの作るかな。
保険で買っておいたマシュマロ。
これにチョコかければ、見た目も味も◎なんだけどさぁ。
手作りは彼女の特権。
そんなふうに思って、張り切ったんだけど。
心も萎んでしまった。
2度失敗したものをもう一度作る気には、さすがにならない。
SNSで見た人は簡単に成功してたのになぁ。
「ただいまぁ」
ママ帰宅。
一応味見をしてもらう。
「あら?これは……とっても美味しそうね。
…うん、美味しいわよ、見た目はともかく。朱海くんに?」
「…と、ママ達にもなんだけどね。どうしようかなーって」
1年たっても進歩なし。
…やっぱり、マシュマロかな。
「ねえ、クレープは?」
「クレープ?」
「そう、これを軽く崩して、生クリーム可愛く飾って。紙皿に乗せて」
それ、いいかも!
早速、薄〜く伸ばした生地を焼いて、まあ、結構厚めだけどいいや。
ママが買った生クリームと、キレイな色のチョコスプレーを合わせてみた。
「ねえ、凄く良いよね」
「本当、美味しそう」
「…あげるなら、味見は必要じゃない?」
「半分こ、しよっか」
ナイフで半分に切った食べてみる。
「…美味しい」
「上出来!」
これは、いける。
紙皿は白くて味気ないけど、クレープに乗せたチョコスプレーの色がちょうど良く映えてる。
材料を全部使ったら、ちょうど10個。
家族の分まで、出来ちゃった。
「ママ、ナイスアイデアだよ」
「ふふ、お役に立てて何より」
ラップをかけて、ラッピングは…
まぁ、イマイチだけどそれなりには見える。
やった!できあがり!!
冷蔵庫を開けたら、クレープだらけ。
みんなの分もあるから許してもらおう。
「もう持って行く?」
「明日!ちゃんと14日に渡したいから」
「そう、じゃあ台所片しておいてね」
台所を見るとそれはそれは‥。
夢中で気づかなかった。
あー、洗うのかぁ。
「ママ〜」
「ママちゃん?」
「大好き、ちゅ♡」
「はい、手伝いましょう」
ママは大好きとちゅーで、わがままを聞いてくれる。
ご褒美があるとヤル気が出るらしい。
大好きとちゅーがご褒美になるんだ。
いつか朱海さんにも試してみよう。
「たーこ、何で笑ってるの?」
「ええ? いや、何でもない」
残ったフォンダンショコラの端っこを、口に入れて誤魔化してみた。
甘い♡




