投身
ようやく美有が保護されたのは、数ヶ月経ってからだった。スーパーで買い物をしているところを、見つかって、警察が保護した。美有は、逃げようとしたらしい。奏人はそこにいなかった。美有は、保護されるなり、腹痛を訴えて、病院に運ばれた。妊娠しているらしかった。
美有は、医者に、
「この子だめですか?」
と聞いた。医者は、
「予断を許さない状態です。」
と答えた。美有は、
「だめでも仕方ないと思います。」
と言って、動揺もしていないように見えた。
奏人、うまく逃げたかな?
美有は、考えた。逃げていてほしい。美有たちは、奈良に行こうとして、断念せざるを得なかった。諦めようとした時、空き家らしい建物を見つけて、そこに入った。後は、個人店での万引きと、SNSで出会った人と関係を持って援助させることで、暮らしていた。
奏人は、本当に見つからなかった。隠れ家も、美有の足取りからバレたのに、誰もいなかった。美有は、入院を続けた。美有は、奏人について、何も話さなかった。
皆、混乱した。中学生と高校生のきょうだいの家出ごとき、どうして、ここまで捜索しても見当たらないのか…。おかしい、と皆が思い始めた頃、美有が突如、出血して、流産した。
美有も命の危険に置かれた頃、奏人が用水路に浮かんで発見された。自殺か、事故か、はたまた他殺か…皆、分からなかった。
美有は、静かに語った。お腹の子は、奏人の子で、長生きできないと分かっていたけど、育ててみたかった。もし、私が捕まったら、逃げてほしいって言ってた。奏人は、用水路がどこに流れているか、気にしていた。落ちたら水に流されるだけ…そう言っていた。




