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異世界創世記  作者: ねこたつ
4章 植獣世界と巨乳エルフ
76/164

4-5

 プラテンの群れに囲まれた三人はとにかくその場から逃げる。

 すると敵はニイトたちには目もくれずに一直線に火に向かって突撃した。

 体表面から粘液のようなものをだして、じゅーじゅー音をたてながら鎮火しているようだった。

 白煙と焦げ臭い臭いが周囲に広がる。最初に突っ込んだヤツが焼き焦げたのだろう。まるで自分の命すら厭わずに消火を優先しているみたいだ。非常に不思議な光景だ。


「ヤツら、身を挺してでも火を消そうとしているのか!?」

「おそらくな。ヤツらは火災の鎮火を何よりも優先する」


 たき火程度の火はすぐに消えた。

 だが、そうすると次なるターゲットはニイトたちだ。


「ヤバイ、囲まれて逃げ場がない」


 植物の魔物がぐるりと取り囲んでいた。木々に巻きつくヘビのようなヤツ、肥大化した根っこに無数の穴が開いたようなヤツ、葉っぱの鱗を纏った魚のようなヤツ、花の咲いたナマコのようなヤツ、サボテンでできたイモムシのようなヤツ、枯れ枝のガイコツのようなヤツ……。

 数え切れないほど多種多様なプラテインらが、ニイトらに狙いを定めて突進していた。


「どうしましょう!」

「くっ、せっかく助かった命を、まさかこんな形で失うことになるとは……」


 三者がそろって顔面を蒼白にする。


「いや、まだだ。マーシャ、左右に火の槍を放ってくれ!」

「はい!」


 再びマーシャが魔法を放つと、地面に炎の直線が生まれる。

 左右にそれぞれ一つずつ。すると集まったプラテインたちが一斉に群がる。するとモーセの海割りのごとくヤツラがいなくなった真ん中に道が産まれた。


「今だ! 中央を突っ切れ!」


 三人は全速力で走りきり、敵の群れを突っ切ることに成功した。


「はぁ、はぁ。お前たちはいったい何を考えているんだ! プラテインを食ったり、森の中で火を付けたり! 非常識にもほどがある! 狂っている!」

「悪かったよ! でも逃げられたんだからいいじゃないか」

「そういうことは逃げ切ってから言え!」


 オリヴィアが後ろを指差すと、鎮火を終えたプラテインの群れが怒り狂ったように三人を猛追してきていた。


「追って来やがった!」


 マーシャが後ろに《火の槍》を放って時間を稼ぐ。


「くそう、どこに逃げればいいんだ?」

「ヤツらは水の中までは追ってこない」

「何てこった! 最初の川まで戻らなきゃいけないのかよっ!」


 結局三人は来た道を一直線に戻ることになった。


「着いたぞ、飛び込め!」


 ザバン! と大きな着水音と飛沫を巻き上げながら、三人は再び下流に流された。


     ◇


 結局三人はもとの洞窟まで戻ってきた。すごろくで言うところのふりだしに戻るというやつである。


「酷い目にあったな。今日はもう日が暮れるし、この洞窟で休もう」

「なあ、ニイトとマーシャはやはり我と同じ集落の人間ではないな? 子供でも知っている常識が完全に欠如している。そんな状態で今日まで生きながらえるはずがない。いったい二人はどこから来たのだ?」

「疲れたから休むわ。おやすみ」

「ちょっと! 我は気になって眠れないぞ!」

「ならちょうどよかった。見張りを頼む。マーシャ、一緒に寝よう」

「はい! 喜んでお供させて頂きます」

「おいってばぁ!」

 

 オリヴィアの疑惑に沈黙を決め込んで、ニイトは就寝した。





 夜もふけた頃、ニイトはオリヴィアに呼ばれて起きた。


「ニイト、すまない。起きてくれないか?」

「どうした、敵襲か?」

「いや、違う。ちょっと困ったことになったようだ。胸が、おかしい。どうやら毒の影響が抜けきっていないみたいなんだ」

「どんな感じだ?」


 魔法で解毒したから毒の害は取り除いたはずである。しかし突き刺さった針が体内に残って害をなしている可能性は残っていた。


「胸の奥がときどきビリビリして、むずむずするんだ。じつは日中から違和感があったのだが、すぐに治ると思って言わなかった。そうしたらどんどん違和感が大きくなってきて……。その、言いにくいことなんだが、我の胸を調べてもらえないだろうか?」

「調べるって!? どうしたらいいんだよ」

「我の胸の奥のほうを指圧してみてくれないか?」


 それって、おっぱいを揉めってことではっ!?


「自分でできるだろ? それにせめて同姓のマーシャに頼めばいいじゃないか」

「それが無理なんだ。我らエルフの掟で、自慰や同性愛は固く禁じられている。胸を触ることはそれらに該当する可能性が高い。だから異性のニイトに頼むしかないのだ」

「何でそんなおかしな掟があるんだよっ!」

「エルフ族は妊娠する確率が非常に低い。ゆえにただでさえ低い出生率をさらに下げるような行為については禁止されているのだ。性衝動は必ず異性間で行うことが鉄則だ」

「えぇ!? じゃあ、エルフって乱交しまくってるってこと?」

「バカを言うな! ちゃんとパートナーを決めてその相手とだけしてるわ!」

「じゃあ、オリヴィアにもパートナーがいるだろ?」

「いや、我は独り身だ。一族の中でも微妙な立ち位置だったゆえ、今までに関係を持った男はいない。だからこれでもニイトに頼んでいるのは結構恥ずかしいのだぞ。わかってくれ」


 けったいなエルフの性事情を垣間見たニイトは仕方がないことなのかと思い始めた。


「じゃあこれは治療や検診の一環ってことだよな?」

「そうだ。緊急事態だからな。これによって後でニイトに面倒が及ぶことはないだろう」

「わかった。じゃあ、さっさと始めよう」


 するとオリヴィアはキュッとエルフ耳をこわばらせて固まる。


「どうした? 脱がないとわからないぞ?」

「いや、その。こういうことは初めてだから……。自分から服をはだけるなんて恥ずかしくて……」


 自分から胸を調べてくれと言ってきたくせに、いざそのときになると奥手に引っ込むオリヴィアにニイトは言葉を失った。


「ど、どうしたのだ? はやく済ませてくれないと、我は困る」

「いや、この状況に呆れるのに忙しくて」

「変なことを言わずに、我を助けてくれ。頼む、我からは恥ずかしくてできないから、ニイトが脱がせてくれ」


 もうどうにでもなれと、ニイトはオリヴィアの肌着を剥ぎ取った。


「あぁ……、っぅ……」


 瞬間、首から上が真っ赤に湯立つオリヴィア。エルフ耳が熱でしおれたように垂れ下がる。

 ニイトの眼前に晒された豊かな双丘。毒による炎症やただれは綺麗に治って、白い陶器のような肌に戻っていた。

 大きすぎず小さすぎない乳輪がこんもりと盛り上がっている。


「なんか、乳首がすごい立ってるぞ?」

「ぅうぁ……い、言わないでくれ……、こんな姿を異性に見られるだけでも恥ずかしいのに……」


 ニイトが肌に触れると、オリヴィアは大げさなくらいに大きく弾んだ。


「どうした? すげー、ビクッてなったけど、大丈夫か?」

「はぁはぁ、胸部全体が敏感になっているようなのだ。少し触られただけで、体中にビリビリが走る」

「それって、エルフがもともと持つ習性とかじゃないよな?」

「断じて違う! 我もこんなことは初めてだ。おそらく毒のせいで胸の中にダメージを負ったのか、あるいはトゲが内部に取り残されて暴れて刺激をしているのだと思う」

「どうすりゃいいんだよ?」

「いろんな方向から指圧してみてくれ。敏感なところから外れればきっと症状は治まるはずだ」


 これは医療行為であって、決して嫌らしい行為ではない。そう自分に言い聞かせて、ニイトはオリヴィアの胸に手を這わせて、ゆっくりと指先に力を加えていく。


「んぁっ! はぅっ、あっ、ぁぁ、はぁ、はぁ!」


 エロかった。どうしようもなくエロい喘ぎ声だった。


「どうだ? 良くなったか?」

「うぅ、何だ、この感覚は。体中の力が抜けて、妙な刺激が全身を突き抜ける。まさか、毒が全身に回っているのだろうか?」

「それはないはずだ。毒は全て除去してある」

「ならばこの感覚は無害なのか。一体何なんだ。気持ちいいとさえ思えてしまう。もっと、強くやってみてくれ」


 頼まれたのでしかたなく、揉みしだく。


「んぁああんっ! ぁぁ、あ、ふぁあぁぁぁっ!」


 背筋を反り返してオリヴィアはよがった。ビクンビクンと水揚げされた魚のように体を跳ねさせて、ついには気絶した。


「まったく、何だったのか」


 寝息をたてるオリヴィアに脱ぎ捨てた肌着を着せて、ニイトはマーシャの隣へ戻るが、そこで見たくない光景を目にした。

 マーシャの猫耳がくいっとニイトの方向を向いたまま固定されていたのである。


「マーシャ、まさか起きてる?」


 返事はない。だが、ビクッと反応した猫耳のせいでタヌキ寝入りをしていることは明白だった。


「誤解しないでくれよ。これは事故だからな」


 するとマーシャはむくっと起き上がって振り向いた。複雑そうな表情を浮かべながら、上目遣いでニイトを見上げる。

 そんな顔をされてしまったら、ニイトも腹をくくるしかない。


「マーシャ、オリヴィアのは本意ではない事故だったが、今からキミには情欲を込めて行う。いいな?」


 するとビクッと肩を跳ねさせたマーシャはまつ毛を震わせながらコクコクとしっかり二度頷いた。

 まったく、こうなったのは全部オリヴィアのせいである。

 ニイトの両手はマーシャの形の良い乳房へと吸い寄せられていった。


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