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ギルド研修

俺は犬族の村ダルメシアーン村生まれのダックス。


父親はトサ、母親はシーバ。


俺は子供の頃から近所に住む方耳取れた元冒険者のジイさんのケンから、冒険家時代の色んな話を聞いて冒険者に憧れていた。

だから村で一人前の年齢15歳になると俺ことダックスは、村を出て近くの町の冒険者ギルドに入った。


冒険に憧れてギルドに入って一週間。


憧れた冒険の旅!……なんて出きるなくて安全な所で薬草摘みに専念。


いや俺だって冒険者になったんだし魔物討伐がしたかったけど、装備がナイフしかない。これで冒険者とか言ったら確実に笑われる。其処らの幼児でも用意できる装備だ。


だけど武器とか防具を買う金が無い。村に居る時に冒険家になる時の為に少し貯えてたんだけど……うん、その、取られた。


相手は冒険者ギルドの先輩のクソヤロウ。

初めてギルドに登録したら冒険者の心得を教えてくれるとか言って、ほぼどうでも良い事を教えられて貯めてた有り金の殆んどを脅し取られた。  


ジイサンから質の悪い冒険者が居ると聞いてたけど、まさかギルド受付近くでそんな事をされるとは思ってなくて油断してた。

堂々とやられたのに冒険者の洗礼とか言われて誰も助けてくれない。


それで装備はナイフだけで俺自身も弱いから…何処の団にも入れて貰えない。


村に帰るのも嫌だし地味な薬草つみで装備を買う資金を集める為に頑張ってる。まぁ宿泊費と食事代で殆んど一日の儲けが消えるから何時の事になるか判らないけどな。


今日も薬草摘みに行こうと思ったら、俺みたいなFランクの新人の何人かに特別に教導してくれるって話を聞いた。新人の生存率を上げるギルドの試験的な活動らしい。だから今度は騙しじゃないししかも無料。


これは受けるしかないだろう。


朝方ギルドの隅に俺も含めてFランク七人が集まった。

大体同年代で初めて見る奴等がチラホラ。エルフにドワーフに…猫獣人……一人ローブ姿でだけ怪しいのがいる。 


ジイさんから聞いた事があるギルドで顔を隠す奴は大体厄介な奴なんだって!チビだけどヤバイと思っとこう。


なるべくローブの奴を見ないように教官を待ってると。


「…………お待たせなー」


教官が来た。来たんだけどな。来た教官は年齢がそんな変わらない。

見た目はやせ形の可愛い狐獣人の女の子。オマケにヤル気も元気も見えない。色んな意味で……大丈夫なのか?


「君ら~新人の育成を頼まれたAランクのヒーバリや~。ヨロシクな~」


「え!?」


え!?俺と殆ど変わらないのにAランクかよ!?Fの俺にとっては雲の上の存在!そんなお人が教官!?し、失礼な態度を取っちゃ駄目だ!

ジイサンから聞いた話だと見掛けで実力が判らないって言ってたし、外見で判断したらダメだ!


「「ヨロシクお願いします!!」」


殆んど同時に俺と同年代の新人の男女三人が挨拶した。


男二人とローブの奴は挨拶をしなかった。ローブのは違う所に意識が向いて挨拶して無い感じだけど、残りの二人は何だ?


ニヤニヤして、年が20越えてるよな?

年齢的に新人に見えない。……コイツら俺を騙した先輩と同類の臭いがするな。


「はい、元気が有って宜しいな。先ずは皆の自己紹介といきたいんやけど?…………君らはなんなん?新人や無いみたいやけど、ウチの指導受けにきたん?」


ニヤニヤしてた二人を見てる。やっぱコイツら関係ないのか。


「はぁ?ばかかよ。昨日全滅した団の生き残りのお前の指導何て受ける訳無いだろうが。ただ聞きに来ただけだよ」


全滅!?えっホントの話!?


「なにをなん?」


「何で昨日団を全滅させたばかりのお前が新人の指導を任されるんだ。どんな卑怯な事をしたら成れるのか教えてほしいんだよ」


「そうだな全滅した後の良い仕事の受け方なら指導して欲しいな」


「ああそりゃあいい!大した実力無い癖にその年でAランクだしな?ご指導頂きたいな。あ、身体でも使ってたら俺らには無理か!」  


うわぁ下衆だ。……けど話は本当なのか?


「バカか……単なる妬みの嫌がらせか。私は正式にギルド長の依頼を受けとるんや邪魔せんといて」


ヒーバリさんは相手にする気が無いみたいに鼻で笑った。


「へっ、偉そうに。お前ら気を付けたほうが良いぞ。コイツは仲間殺しかもしれないからな」


「な、仲間殺し!?」


あ、声に出してしまった。う、他の新人に呆れた様に見られてる。そりゃあんな嫌がらせしてくる様な相手の話を信じるのはどうかと思うけどさ……


「はぁ?さっきから何ええ加減な事を言っとるんや?少し信じてるのが出てきたやん」


ヒーバリさんは馬鹿らしいって顔、嘘なのか?

最後のって俺のことだよな。後で謝った方がいいよな。


「オイオイ誤魔化すなよ!だってそうだろ。 昨日!お前の団のアバル団が盗賊相手に全滅したよな!なのに、何でお前一人が生き残って盗賊討伐が成功してるんだよ!そんな都合の良い事が起きるかよ!」


え、………た、確かにそれがホントなら可笑しいのか?具体的だから本当の事なのか?同じ新人の何人かも緊張して見てる。あれ?……ヒーバリさんは平然としてる。


「私が無事だったんは!女の子って理由で捕まったからや!それと盗賊討伐はウチが成功させてない!やったのは別人や!」


「Aランクのパーティが勝てなかった盗賊を討伐?誰がヤれるんだよそれ!他のAランクパーティは誰も動いて無いぞ!出鱈目言うな!」


「はぁ、出鱈目ちゃうわ。助けて貰ったのは事実やで。助けてくれた人は私と助けられた女の子達とギルド長が知ってる。ああ一応先に言うけど助けてくれた相手の事を言うんはギルド長に口止めされとるから、もし知りたいならギルド長に直接聞き」


ギルド長が保証してくれるのか。だったら嘘じゃ無いよな。

助けてくれたのAランク以上で行動を隠さないといけないとかかな?うーんAランクのパーティ倒せるとんでもない盗賊の話だし裏が有るのかも。


あの二人もトップが保証してる事は否定出来かないみたいだ。 

はぁ終わっ……


「だけどよ!…全滅は嘘じゃないだろ!」


………てない。


「またその話か?しつこいな。ギルド員なら相手しだいで全滅ぐらいあり得るの理解出来るやろ…………うん?そういえばアンタさっき仲間が殺されるの都合が良い言うたな!」


な、なんだ。ヒーバリさんから怖い空気が


「あっいや」


「へぇ!都合が良いなー!つまりアンタに取っては仲間が死んで報酬独り占めは都合が良いんか!ウチには仲間の殺し方を聞きに来たんか?生憎やけどウチは仲間に手なんて出さへんわ!」


ヒーバリさんが口撃で猛反撃


「はぁ!?ちが「新人の皆よーう覚えときな♪仲間殺しとか!ゲスな事言う奴はな相手に自分がやる事を言うんやで♪勉強になるやろ♪」


うわぁ仕返しみたいに遮って大声で


「て、てめえ!いい加減にしろよ!!」


「なんや心当たりあるから止めてほしんか?ゲス君?」


ひ、ヒーバリさんがどう見ても挑発してる。さっきまで冷静に見えてたけど切れてたんだ!?


「こ、このアマァ!」

「お、おいそれは止めろ!!」


おい、アイツ止められたけど剣を抜こうとしたぞ!?


「うわぁ剣に手ぇ掛けた!口封じか?怖いなー」


ここぞとばかりに周りにヒーバリさんが広める。剣抜きそうなのより着実に相手の評判を落としてくヒーバリさんの方が怖い。


「う、ウラアア!!」


キレた男が殴り掛かった!


「アブなぁ!」ガッ!

「グファ!?」


早! ヒーバリさんが拳を避けて腹に肘打ちかました。あ、相手が腹を押さえて蹲ろうとすると腕を一瞬で掴んで……


「いな!」ボッキ!

「ぐぎゃあ!?」


……追撃!?腕を片手で固定してもう片方の腕で肘辺りをぶっ叩いて壊した!? ツヨ!そ、そして容赦ない!


「やっぱり仲間殺しとか言う奴は気が短くて恐ろしい、なっ!」ボキッ!


「ギアアアア!!足がぁ!?」


エ、お、おい!?腕壊して蹲ってたのに、膝を剣の鞘でぶっ叩いて壊した。…やり過ぎなんじゃ。


「いきなりなに!「ぐげぁ!?」「なに?」あ、い や何でもない、です。「そう言えばAランクに可笑しな実力や言うてたな?実力見せた方が良いんか?」スイマセン!Aランクで可笑しくないです!謝りますんでで勘弁してください!!」 


うわぁ、さっきまでいっせい良かったのに頭下げてるよ


「うん?謝るんやったら頭高いな?」


うわぁ、土下座してるよ。


「もうそこまでするなら許したるよ♪けどその危ないの早く連れて行ってな。暴れられたら怖いから」


(((絶対にアンタの方が怖いし危ないよ!)))


何か周りの奴と心が一致した気がする。


「は…はい!!すぐにいきます!!行きますんで!」


悶絶してる奴ほ引き摺られて二人が去ってたよ。


「ごほん、それじゃあ自己紹介してくれるか?」


えっ!?何事も無かったみたいに!?


「うん?さっきの気になる?大丈夫やでギルドでは喧嘩は御法度やけどアレは向こうが全面的に悪いんやし…………納得してないみたいやなその目は………」


いやだってあの男の怪我は幾ら何でも酷いだろ。肉体が商売道具のギルド員があんな事されたら……。


「もしかしてやり過ぎとか思ってんの?

う~ん………あんなさっきの奴等はギルド長の依頼や言うた後に、噂だけでウチの信用を落とそうとしたやろ?依頼の新人教育には信用が必要やのにやで?嫉妬か何か知らんけどギルド長が出した依頼の妨害を公衆の面前でしたんや。 むしろアレだけで済んで運が良いで。ホントならギルドから追放や」


そんな罰が重いのか!


「まぁ依頼の事を抜きにしてもヤったけどな」


や…やんのかよ。


「まぁ当然だな。あんなのにはアレぐらいはヤらなきゃいけねぇ」


スキンヘッドの大剣背負った強面男。 絶対に強い!後普通に恐い!……ヒーバリさんよりは怖くないけど


「うん、ベイグンどないしたんや?」

「ああ、……さっきの騒ぎをギルド長が聞いてな援軍だ」

「あ、アチャー、援軍ってことは失敗するかもって思われたんか」

「まぁ良いから続けてくれ」


ギルド長から頼まれたって、あの二人どのみち終わってたんだな。


「あんた気楽でエエな。まぁええわ…なんやったかな?」 


「依頼の事を抜きしてもやる理由だよ」


「ああそうやった……何でやるのかやな?…新米の皆よーう覚えとき。ギルド員は信用、信頼が命や。

あー命言うても判らんか……例えば解りやすいのはギルドランクやな。信用がないとな幾ら強くても依頼を任せられる任せられへん。高ランクの依頼は特に信用が大事や、やから信用が無いとランクアップに不利や。ランクは皆の知っての通り収入に影響するで?」


「………収入」

 

耳痛いな。信用が大事か。そう考えたら適当な事で信用を無くす事を言ったアイツら最悪なのか?まぁヒーバリさんがその後で仕返しとばかりに貶めてたけど。


「そうだ信用は大事だろ?収入の他には仲間だな。信用が出来ない相手は誰も組もうとされない。一人だとどんな強くても……一部の例外除いたら…所詮数に対抗出来ない。例えAランクでもゴブリンが数百匹相手だと負けるぞ。信用出来ないモノ同士で妥協でパーティとかも有るが……大体内部崩壊する。

因みにヒーバリは実力も信用があるから俺の所の団に勧誘してる」


昨日全滅したのにもう勧誘されてるのか。ヒーバリさん優秀なんだな。ヒーバリさんは苦笑?


「まぁ新人教育終わるまでは保留やけどな。最後はギルド内での扱いや。同じギルド員やギルドの職員からの信用、特に受付嬢とかの信用が一番大事やで、仲ようなったらお得な色んな情報を教えて貰えるし、危険情報も教えて貰えるんや。

ウチが知る限りギルド員に嫌われて情報を教えて貰えんで、死んでしまったのが何十人も居るで。

…………最近で言えばウチ等の団やな。詳しく言えんけど情報を隠されたから全滅や」ボソ


「小声でもこんな所で言うなよ!?」


え!ちょ!え!?嫌われて全滅!


「まぁ此だけ言えば判ってくれたやろうけど、ギルドでの信用は収入にも命にも関わるんや」


「この事はさっきの奴等もソコソコの年数ギルド員だったから知っている筈だ。つまり奴等は只の噂でヒーバリの信用を落として、命を奪うか再起不能にしようとした屑野郎だ。お前ら嫉妬か妬みで他人を陥れ様とする奴等がギルドに残って欲しいか?」


確かに残って欲しくは無い。


他の周りで聞いてた奴も納得したみたいに頷いたりしてる。って、もしかして新人の俺達だけじゃなくて周りに納得させる為に話してた?


「さて納得したみたいやし……自己紹介始めてや。先ずはエルフの娘から。其処から右に順番にや」


「は、はい!わたしの名前はミズリです!年は16歳!弓と精霊魔法が使えます!レベルは5です!」


結構情報言うな


「次は俺か?俺はドワーフ族のガードル。年は16歳、槍と斧が使える。レベルは6だ」


ドワーフの奴も同じ。次は俺か。


「俺はダックスと言います。年は15歳。…………えー一応短剣を使えます。レベルは……3です」


やっぱ俺が一番低いのか。戦いなんて経験無いもんな。ナイフは短剣でいいよな?


「次はにゃーの番ですにゃ。名前はニャンリーですにゃ。同じく使えるのは短剣ですにゃ。レベルは7ですにゃ。皆よろしくニャン」


猫族か…………ニャーニャー、ウザい


「フン、一番レベルは高いのか」

「…………弱いいぬ野郎は別だけどにゃん」ボソッ


こ、このやろう!耳のいいいぬ族の俺にだけ聞こえる位で!…あれ?次は?


「…………お、おい最後だぞ」


ローブの奴はまだ別の所を見てる。


「あ、あー その子の紹介はウチがしよか。その子はシオンちゃん。えー格闘術が得意やで。レベルは……14や」


すげぇ!猫の倍かよ!しかも得意なの格闘なのか、こんなチビなのに。ローブのが何か言いたげなのは気のせいか?


なんかヒーバリさん目を逸らしてないか。


「おい「さて!自己紹介は終わったし。今日はメルウル退治かキャタピ退治やろか」


ベイグンさん何か言い掛けなかったか?


ま、いいか。二つとも確か最低ランクの魔物だよな。 やれるかな。


「教官、この人数だしもう少し上のを狙わないか?」


ドワーフめ余計な事を!他は賛成なんてしないぞ。

眼が合った猫が笑った。


「ニャーも同意見にゃん」


クソ猫やろう!俺が困ってるの判ったな!


「ふん、新米は勇気があるな…………どうする」

「そうやな………取り敢えず平原に行こか。少し上のランクのも出るけど彼処なら大丈夫やろ。」


「あのー賛成してないんですけど?あ、聞かれませんか。」


ポン


……なんかローブの奴に同情した感じで肩を叩かれた。



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