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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第1章 名はアグニ
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31 妖精の森

(全然小説と関係ないんですけど、筆者、よく湯あたりする人間でして。その時って本当に視界から色がなくなるんですよね。灰色ベースで白黒の世界になるんです。そのことを思い出して「色鷹」って名前を考えました)(((だから何)))


迷いの森だなんて言われる中を、迷わずに歩き続ける背中を必死に追っていると、金色に輝く芸素が飛び交い始めた。


深い森の中だというのに芸素の光のおかげで暗くなくて、むしろ明るいくらいだった。



 クスクス……


 ……クス クス…


 …クス……クス……



「…シリウス、何か声がするんだけど…」


誰かに笑われている。それも一人の声じゃない。


けど近くに誰も感じないし、実際こんな森の奥に人はいないはずだ。



『彼らがお迎えの相手だよ。あとは声の方向に歩き続ければ着く』



クス…


誰が笑ってるのかわからない。めっちゃ気になる。


クスクス…


なのにシリウスは構うことなく歩き続けている。


……クスクス



「だぁ~~~~!!!!もーーーー!誰?!!!!」



俺に限界が来た。

四方八方から笑われ続ければこうなってしまう。


するとシリウスは突然の俺の大声に驚きながら言う。


『びっくりしたー。急に大声はやめてよ』


「いやいや、説明して!?出てきて?!誰?!!」


シリウスは周りに漂う芸素を指で追いながら


『この声は人じゃないし、意思もない。ちょっと魂が宿っちゃった芸素。』



   え、この声芸素から出てんの?この金色から?



「嘘だろ…なんで芸素から声出てんだよ。芸素って生きてたのか?」


『いやいや、芸素は生命体じゃないよ。』


「じゃななんで……」



そう問いかけながら歩んでいると、奥の方に芸素の塊のような金色の壁がみえた。


それほど大きい壁ではなく、家のドアくらいのサイズ。

けれど金に輝く壁は光を発して、そこの場所が「異質」であることを物語っている。



『この中に入るよ』


「え、入るんですか?」


そう言ってシリウスはその金の壁に飲み込まれていった。



   え??怖いんですけど?

   これ俺も後に続かないとだめなの?



なかなか勇気が出ないが、腹をくくって突っ込んでいく。



するとその先に広がった景色は、


無数に芸素が飛び交う、何かの遺跡だった。



青々とした芝生や色とりどりの花々の上に、石でできた建造物が散らばり、その上には苔や蔦が生えている。それらを全て明るく芸素が照らしており、あまりにも幻想的な世界だった。



   あ、、、これ、俺知ってる

   いつか見た夢。

   そのことを急に思い出した。



『気づいたかもしれないけど、これはかつて天空人が住んでいた空の国の遺跡。我々、の祖先が暮らしていた時の建造物だよ。』



「……あぁ、知ってる。夢の中で…見た」


『そういえば言ってたね、そんなこと』



遺跡を見て歩き回った。

創世記の時代のものが目の前にあることに感動してしまう。



けど・・・



「シリウス なんで…地上(ここ)にあるんだ?」



   だっておかしいだろ。

   空の上にあるんじゃないのか?

   国はどうなったんだ?



俺の意図する質問を感じ取ったのか、シリウスの表情に影ができる。

けどすぐに優しい笑顔が戻った。


『よくわからないんだ。実はここ、「天使の血筋」しか入れないから調査されていないんだ』


「え、そうなの?」


『ああ。そうだ言い忘れてた。この周りの芸素たちは、ここに天空の遺跡があるから特殊に変化してるんだよ。』



周りでクスクスと笑っている芸素たち。

彼ら(?)はここだから生きているのような様子だということらしい。

つまり、この場所には特殊な力が働いてるってことになる。



「どうしてそんなことが起きるんだ?」


『だからわかんないんだって。けどたぶん、天空の世界は地上とは違ったんだと思うよ。もしかしたら上の世界では芸素は本当に生きてるのかもしれないしね』



シリウスがいたずらっぽく笑う。


けど、本当にもしかしたらそうなのかもしれない。

なんせ神の世界なわけだから何でもありだろう。


「ここ、『天使の血筋』はみんな知ってるのか?」


俺がまたミスらないためにも確認しておくと、シリウスはおかしそうに笑った。



『ごめん。「天使の血筋」もほとんどここの事は知らないんだ。数名だけかな。普通「天使の血筋」は迷いの森なんかに入らないからね。』



「え?そうなの?知られてる場所じゃないの?」


『知られてない場所だね。けど、「天使の血筋」しか入れないのは本当。他の人は芸素のお迎えが来ないんだ。だから永遠にどこかを彷徨い続けることになる。』



   え、、、こっわ。まじかよ。



『ちなみに、僕はこの芸素らを「妖精」と呼んでいる。彼らは意思もないし、生命体でもないけど、彼らがずっとこの天空人の遺跡を守り続けてるんだ。だから同じ血を引く僕らしか通してくれないんだよ』



「そうなのか。妖精、ね。守ってくれてるのならもしかしたら天空界では本当に意志ある生命体だったのかもしれないな」



『さぁ。どうだろうね。おっと忘れてた。こっちおいで』



シリウスの後に続いて遺跡の合間を縫って歩いていく。


柱が逆になっていたり、石畳や壁に細い線や跡が残っていたりしていた。



・・・



「まじで、、、?」


『ほら、これ絶対使えるでしょ?』



行った先にあったのは金色の砂の山だった。

なんだこれと思いながら近づいて手に取ってみた。



   ・・・おいこれ!芸素の混ざった砂鉄だ!!



「まじで?え、まじで?!こんなのあるの?!」


『天空にはこんな砂鉄があったのかねぇ』



   いやいやまじで?超凄くない?

   これだけでほぼ無敵じゃない?



これで剣を作れば剣に芸石をはめ込む必要がない。しかも余計なものを付けないから強度も抜群だ。


「うっわ~~~もうこれ反則じゃない?」


『けどここにしかないから、量産もできないし、どうしようもないんだよね』


もう絶対にスリーターの大公様のお気に召すものしか作れない。

どんなに下手な剣作っても絶対褒められるわ。うん。


「じゃあ、少し頂いていこうかな……」


そう言っておいて袋一杯に金色の砂鉄持って帰った。



   だって自分の剣も作りたいし。

   なんならシリウスにも作ってあげたいし。





こうして、


最後の、そして最大の素材を回収し、俺らはスリーター国に戻る帰路についた。










さぁーやっとお家帰りますよ!

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