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8話 パーティの危機【追放した側視点】

 ――墳墓迷宮


 古代王朝の王が埋葬されており、そこには莫大な財宝が眠っていると古い文献に書かれている。


 事実、それを証明するように盗賊対策として複雑に入り組んだ通路や、至るところに仕掛けられている数々の罠。

 地上より凶暴が強い魔物が無数にいて、今なお多くの冒険者達の命が奪われ続けている。


 その危険極まりない迷宮を私達は進んで、数時間で五階層まで降りて来ていた。


 ――ゴウっ!


 唸る轟音と共に放たれた炎が、目の前のスケルトン達を焼き尽くした。


「ま、ざっとこんなもんですよ」


 ブスブスと燃え落ちるスケルトンを彼は満足そうに見ている。

 どうやら彼も迷宮に慣れて来たみたいで、怯えた様子はもう何処にも無い。


「ふむ。魔力も申し分無い、回復も出来る魔道士はやはり心強いな」


 サクサイの戦い方を見ていたハンズは、頷いて感心している。


「そうね。前の無能錬金術師より、よっっぽど役に立つしね」


 ハーディーが言うと、ハンズとサクサイは大声でケタケタと笑い出している。


 その後もサクサイの活躍で、私達三人は体力を温存したまま五階層を進んでいく事ができた。


「ちょっと、ハーディー。あまり一人で先に進むのは危ないわよ」


「ヘーキヘーキ。この通路、何回も来てるから今更危険も何もないでしょ」


 私の忠告を気にするでもく、ハーディーはズンズンと一人先を歩いている。


「リノアは気にしすぎだ。今までもあの無能錬金術師を先に歩かせても何も無かったんだぞ? ハーディーの言う通り何も問題は無い」


「……そうね。まだ上の階層だし、罠も強い敵もいないわよね」


 ハンズの言う通りだ。

 それにいざとなったら、サクサイもいる事だし問題は無いわ。


「じゃあ早く行きましょうよ、リノアさん。ハンズさん。ほら早く早く!」


「おい、サクサイ。そんなに走ると転ぶぞ――うん?」


 ――カチリ


 急かされたハンズの右足が、床に突起したブロックを踏んだのを私は目にした。


「……ねえ、今の音って……?」

「ふむ……間違いなく罠の起動スイッチだろうな……」


 何かが起動するような音が、壁の向こうから聞こえて来るのがわかった。


「壁が迫ってくる!? みんな、走って!」

「お、おう!」

「はは、はい!」


 私の合図と同時に、サクサイとハンズが走り出す。


 異変に気づいたハーディーは既に走り出していた。


「な、なんで罠なんかあるのよっ! 今まで一度もそんな事なかったじゃ無い!」


「文句はいいから、早く走って!」


 一直線に走り抜ける私達に、両壁がどんどん迫って通路が狭まって来ている。



 下の階層への入り口に全員が辿り着いたときに、壁は完全に閉じて路は塞がれてしまった。

 ぴっちりと隙間がもなく、もうそこから上の階層に上がる事はできない状況だ。


「……これなんなのよ! 今まで罠が起動した事なんてなかったじゃないのよ! もう、ムカつく!」


 イラついたハーディーが壁をずっと蹴っている。


「あの、僕は思ったんですが。今まで前任者が先頭を歩いてたって……それってその人が罠を見抜いて、皆さんを誘導してたんじゃないんですか?」


「――はぁ!? あの無能にそんな事ができるわけないじゃない! あんた、知らないからって適当に言ってんじゃないわよ!」


「ちょっとハーディー、落ち着きなさい。今は言い争ってる場合じゃないでしょ!」


 サクサイの胸ぐらを掴んでるハーディーを、ハンズが力づくで引き離した。

 それでも昂った気持ちをおさえられないのか、ハーディーはまた壁を強く蹴りだす。


「なぁ、リノアはどう思う? サクサイの言うようにあの無能が罠を回避して来たと思うか?」


 怪訝そうにハンズが私に問いかけて来た。

 アクアを知っていれば、そんな疑問も出てくるのは当然だ。


「分からないわ……でも、昔から勘のいい人だったから考えられなくはないわね」


「ふむ……そうか」


 幼馴染だったけど、あまり彼とは接点が無かった。


 一緒にパーティを組んだのも、私が新人だったし頼れる人も居なかったから仕方なしに組んだだけ……


 だから彼が罠を見抜けるような人とは思わないけど……今思い返せば、彼は妙に勘がよかった。


「まさかね……さ、みんな各自の持ち物を確認したら、下の階層に進むわよ」


 そうたまたま古い罠が発動しただけだ。

 アクアが罠を回避していたなんてあり得ない。


 私は気を取り直して、荷物の確認をしていたときだった。


 ――カチリ


「ま、また起動音!? 今度はどこ!?」


 私とサクサイ、ハンズに緊張が走ると、慌てて周囲を警戒する。


「……ごめん。あたしが原因みたい」


 申し訳無さそうな表情をするハーディーの爪先が、壁の中に刺さっている。


 ガコンと音を立てて、床が崩れ落ちた。


 その瞬間、私達は抜け落ちてできた穴から、真っ逆さまに奈落のそこに落ちていく。



 それから三日後。

 落ちるときに荷物を失い、満身創痍の私達は他のパーティの協力を得て地上に戻る事ができた。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いいたします!

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