8.遅れの理由と頼る理由
そして、数分後アリアさんは部屋の中にやってきた。
「ただいま戻りました。少し外の害虫掃除で遅れまして……。呼び出しにすぐにお応えすることが出来ず、申し訳ございません」
さっきまでの態度とはうってかわって、ロランは、
「ああ、大丈夫だよ。で、ちょっかいをかけてきたのは、どこの誰だったのかな」
「ヴィンロン侯の手のものでした。殺さずに逃してやりましたが、少し優しくしすぎたでしょうか」
すると、ロランは少し考える素振りを見せてから、
「いや、それでいいよ。アリアの判断は間違ってない」
「そうですか。それなら、よかったです。でも、ヴィンロン侯は一体何をお考えなのでしょうか。取り敢えずとはいえ、貴族の爵位を王からいただいたカイトさん達を狙うとは考えにくいですよね。ということは……」
「そうだね。彼は単に私のことが妬ましいだけなのだろう。異世界人を私が独り占めしたかのように彼は思っているだろうから。まぁ、その件についてはまた明日、もう今日だけれども、昼間にでも考えようか。取り敢えずアリアはカイトくんの話を聞いてあげてくれ」
そう言い、ロランは俺に話をするよう促してきたので、それに乗っかった。
「実は、アリアさんにお願いしたいことがあるんです……」
そう言って、アストルと戦うことになった経緯や、ロランにも話したわざと負けるという作戦に協力してほしいということを彼女に伝えた。
すると、アリアさんはにこやかに微笑んで、
「もちろん、ロラン様も私を使い潰すして、死なすようなことがない作戦なら、許可してくださるはずなので、なんなりと」
「それじゃあ、まず……アリアさんって、護衛より暗殺の方が得意だったりします?」
すると、アリアさんは驚いた様子で、
「どうしてそう思われたんですか……?」
俺がアリアさんを連れてきてもらった理由が彼女は暗殺が出来るような人間ではないかと感じたからだった。もちろん、アストルを殺してもらうといった為では全くない。
ただ、暗殺をするような人間なら……あの方法を知っているかもしれないと思ったからだ。俺の暗殺者に対するイメージは高速で、容易く人命を奪っていく人というイメージだ。
もしかしたら、自分の体を時間加速といった方法ではなく、物理的に速く動かす方法を知っているのではないか、と。
ただ、彼女がそうかどうかは確証はないものの、俺の中では確信に変わりつつあった。
この推理が当たっていればいいんだが……




