16.街へ
俺たちは結局その二つの選択肢の内、街を回る方を選ぶという方を選んだ。
部屋の中に閉じこもっているよりは、部屋の外に出て、いろいろなものを見た方がいいとは俺の論だが、みんながさっき竜車の中から見えた景色を気にしていたし、また部屋の中で待たされるのは嫌だという空気が濃くなっていたからでもあった。
そんなこんなで城下の散策をすることになったのだが・・・
「なんで、お前がいるんだよ!」
「いやーぁ、君たちを見守っておく役割の人が必要だと言われてね、来ちゃったんだ。」
まるで用意していたセリフのように流暢に喋るロラン。
あくまでもロランは、飄々とした態度を崩す気はないようだ。
「来ちゃったんだと言われてもなあ。」
近くにいるだけで不快だとでも言うように、神崎は手をひらひらと振る。
逆に女性陣の反応は真逆で、体の中心で手を組み、目をキラキラさせて、心待ちにしていたと言うような様子だ。
まるで、そう、何か能力でも使ったかのように。
「どうかな、神崎くんだっけ。こっちの世界に来て、目新しいものもあるだろう?僕が君がいいと思ったものを買ってあげよう。それなら、僕もついて行ってもいいかな?」
ロランの提案に迷うそぶりを少し見せたが、『それなら。』と言いそうだった神崎を俺は目で制し、
「ロラン、まさか仲間に能力なんか使ってないよな?」
疑惑をロランにぶつけた。
だが、ロランは、
「いやーぁ、そんなことするわけないじゃないか。第一、君たちにそんなことをするメリットは僕にはないじゃないか。心外だよ。そんなに気になるんだったら、君の能力で確認したらいいんだよ。僕に聞くよりも先にね。
そんなことよりも、城下を見て回らないかい?」
そんな疑惑をかけられたのにロランはのうのうと言った。
でも、みんなはもう俺がかけた疑惑についてあまり気にしていないようでーーーーーー
「「「「「いこーっ!!」」」」」




