プロローグ4〜ルールと能力〜
「異世界に行ってほしいの」
アルンは笑みを浮かべながら、そう言って、俺の方を見た。
「これが私のお願いよ。やってくれるかしら?」
俺は確認のために一応尋ねておくことにした。
「もしやらなければ、どうなるんだ?」
「しっかり説明してからなら断ることが得にならないことがわかるでしょうけど……まぁ、地球に帰すつもりはないわね」
脅迫か。なかなかやってくれるものだ。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、
「説明を聞いてからなら貴方もやってみようと思うはずよ。」
そう言って始まった女神アルンの説明をまとめるとこういうものだった。
俺たちは一つだと思っている世界だが、実はたくさんの世界があり、その世界にはそれぞれ一人ずつずつ神さまがいるということ。
神たちの間でどの世界が一番優秀かを決める戦いが一定の時期に行われること。
それには各世界それぞれ40人ずつ参加させられるということ。
今回はアルンとその姉のリセリス、アリシアとの三つ巴の戦いとなったこと。
それに勝つために俺に参加してほしいこと。
もしこの戦いに勝てば、勝者の報酬として、どんな願いでも叶えてくれるということ。
戦いが終われば、もとの世界に戻してくれるということ。
この7個で大まかな説明と言えるだろう。
アルン曰く、元の世界の家族を心配させないように記憶を書き換え、戻す時にまた記憶を入れるのだそうだ。
だが、俺が腑に落ちないと思ったところはどうしてこいつは俺の目的を知ったような顔で話すのかということである。
「まぁ、俺に損はないから行くか」
俺はすぐにそう決めた。
「うん!ありがとう!でも一つ、大事なことを忘れてたわ!」
「異世界に行ってくれる人には一つだけ一人一人に特別な能力をあげるということよ!」
「なんでもいいのか?」
「ええ」
「発火や重力、加速などなど選び放題よ!」
「よし、じゃあ俺はこういうかんじのものにしよう」
「りょーかい。伝えられたことをいい具合にに調整して与えておくわ。後、痛みを伴ってもいいのなら、さらに強力に出来るけど……」
そんな問いに俺は即答する。
「勝率を上げるためなら、やってやるさ」
「そう。それと、最後に一つだけ言っておくわ。自分の能力を過信しないこと。向こうで告げられるルールは守ること。最低限、これだけは守りなさい」
アルンは今までの朗らかな表情から真剣な表情になってそう言った。
「じゃあ、せいぜい一度きりの異世界ライフを楽しみなさい!」
すると、目の前が真っ白になり、どこかに移動していることを感じた。
こうして俺の戦いは幕を開けたのだった。
同時に俺の真の目的を果たすための第一歩も始まりを告げたのだった。
プロローグ終わりです!
土曜日or日曜日からの1章にご期待ください!




